編集長コラム 
vol.04: 「せっかくやるんだったら少しでも役立つものを」そんな時間を使ってますか?
2003年11月15日(金)

 今回は、身内話になりますがご容赦下さい。今、私のサイトのトップページを飾っているミュージシャン・伊藤忠之さんの話です。

 伊藤さんは現在29歳。自分が伝えたいメッセージを自らがメジャーになることで少しでも多くの人に伝えていこう、と1年前にミュージシャンとしての道を決断しました。そして一定の収入を確保できていたゲーム音楽の作曲活動をストップさせ、苦しい生活の中、アルバイトで音楽活動費を捻出しています。そのアルバイトのひとつが、私の「京都の30歳!」というコミュニティサイトの作成なのです。

 伊藤さんは、まだ“マイコン”と呼ばれていた頃から“パソコン”に夢中になり、コンピュータやネットに関する知識はとても豊富です。しかし商業Web構築・デザインはしたことはなく、この半年で急速に技術を高め、私のサイトなどでの実践を通じてさらにスキルアップをしていっています。そんなことで、あまり多くのアルバイト料をお支払しているわけではありません。
 
 私のサイトは、月に2回大幅な情報更新をします。シロウトの私が撮影した使い物になりにくい写真の画像処理を毎回9点前後。そしてまだまだ試行錯誤中ですので、新しいコンテンツのオープンや、小さなデザインリニューアル、新しい機能の搭載など、毎回膨大な作業が発生します。

 あるとき、伊藤さんが演奏するライブの準備と、私のサイト更新の作業日が重なってしまったことがありました。さらに悪い事に、伊藤さんは風邪までひいてしまったのです。更新日の夕方になってもほとんど決めた作業は進んでいない状態。
 私は、たいしたバイト料もお支払していないのに、これまでとても真剣に仕事に取り組んでいる伊藤さんにとても感謝していました。ですから、「できる限りのことはやって欲しいが、体をこわすことが一番いけないので無理をしないように」と電話で伝えたのです。

 そして、翌日ネット上にアップされたサイトを開いて私は驚きました。今回指示した作業点がひとつのもれなく完璧に仕上がっているのです。そればかりか、私が書いた文章に手が加えられており、サイトの読者にとても読みやすい形に仕上げられているのです。そんな指示はまったくしていないのに!
 私への更新作業終了のメールは、AM5:14に送られてきていました。

 「なんでそこまでやってくれたの?」と電話で聞くと、「ここまでせっかくやったのだから、少しでも読者に読みやすくしたかっただけですけど・・」と、ポツリというのです。
 多分、決められた作業はAM4:00には完了していたのだと思います。ねむいし、風邪で体もギシギシと鳴るくらいキツイ。でも、「あと少し僕が頑張りさえすれば、もっと読者に喜んでもらえる・・」。そんな気持ちで最後の1時間は頑張ってくれたのだと思います。
 
 これで私の伊藤さんへの信頼は完全なものになりました。そしてそんな姿勢・時間の使い方のできる伊藤さんなら、どの世界でもいずれ支援者が生まれて成功していくのだろう、と確信しました。

 自分を雇ってくれている会社のために仕事をしていると、このような動きは絶対できません。エンドユーザーをいつも意識して仕事できている人の強さ。企業は顧客があってこその存在。だから企業としてもこんな動きが実はもっとも嬉しいのです。

 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
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編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
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