編集長コラム 
vol.06: 永遠のテーマ「相手の立場に立つ」(1)  2003年11月30日(土)

 今回は、特定の人物との「働き方」を紹介するのを一回休んで、少しテーマを設けて書きたいと思います。
 『30歳――誰のために働きますか?』の根底に流れる初歩的な考え方は、『相手の立場に立つ』という努力をしつづけるという重要性です。
 『相手の対場に立つ』。こんなことが完璧にできるはずは絶対にありません。しかしこの姿勢こそが、仕事をはじめとしたすべての人間関係を前に進めていくための、最重要で永遠のテーマだと思っています。

 人間はそのほぼすべての人が自己中心的です。たぶんマザーテレサさんとか、そのあたりの方でないと本当に“利他”的に生きている人はいないのではないでしょうか。利他的に生きようと意識している人でも、「利他的に生きられる自分」になりたいからそうしている場合がほとんどでしょう。だからまず自分はジコチューだ、と割り切ってしまうことが大切なんだと思います。ただその中で、どれだけ自分の頭と体に圧力をかけて、「相手の立場に立とう」と努力できるかが、最も重要だと思います。

 わかりやすい例で、就職や転職での面接の場面 を取り上げてみましょう。あなたがあるベンチャー企業の面接に臨んだとします。その会社は急速な店舗展開をしていて、今回の募集は既存店の売上低迷を打開する人の募集です。面接相手は役員の方々で、最終面接は社長。あなたならどんな準備をして面接に臨みますか?
 この場合、面接相手がベンチャーの経営陣ですから、まだまだ経営のあらゆるジャッジに経営者自らがタッチせざるを得ず、とにかく分刻みのスケジュールで動いていることが予想されます。また経営者の頭の中は、顧客のことと、自社および自社商品・サービスのこと、そして競合企業の動きのことで頭が一杯です。

 実際にあった話ですが、ある応募者は、その企業の店舗を可能な限り回り、その企業のターゲット顧客に近い複数の友人にヒアリング調査をし、さらには競合するだろう店舗を視察してきたそうなのです。そして短い面接時間を想定して、そのそれぞれについての3枚物のレポートを作ったそうです。重要なのはそのレポートの内容ではありません。面接する相手の立場に立ったときに、自分ができることは何なのかを徹底的に考えたこと。そして思いついたことを限られた時間内で実際に動き実践した、その姿勢こそが大切なのです。当然のようにその方は採用されました。

 とにかく忙しいビジネスマン。普段の仕事だけで精神的にも肉体的にもクタクタです。しかしその中で、どれだけコミュニケーションする相手の置かれている状況を理解しようと努力できるか。そんな姿勢は必ず相手に伝わり、お互いにとって良いコミュニケーションが前に進んでいくのです。

 今後は、これまでのように私が取材した人の『働き方=WorkWay』話を紹介していくのと同時に、この『相手の立場に立つ』という永遠のテーマを少しでも体系的にご理解いただけるよう、ときおり今回のように取り上げていこうと思います。皆さんのご意見・ご感想をぜひお願いします。

 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
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編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
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