会社で地位やポジションがあがってしまった人のなかで、“その地位やポジションに見合った言動をしなければならない”と急に肩に力が入り、その人の本来の持ち味を失ってしまうケースを時おり見かけます。 地位やポジションがあがるということは、当然ながら新しい「役割」を期待されているわけで、そのための能力開発やスキルアップ(たとえば管理職になった場合は、組織作り・運営という技術など)に、懸命に取り組まなければなりません。しかしそれは、それまでその人が築き上げてきた「働き方」「生き方」を崩さなければならない、ということではないはずです。 人間味あふれる指導力で後輩を引っ張ってきた人が高いポジションについたとたん、責任の重さや業務内容の膨大さからか、突然メンバーの悩みや不安に耳を貸せなくなってしまい、命令口調のコミュニケーションしかできなくなる人がいます。こんな場合、メンバーにしてみればその人に対する期待が大きかっただけに、裏切られた感がなお一層強く、組織は目もあてられないくらいに沈滞化していきます。 先日、ある上場企業の、30代後半の部長級の方の結婚披露宴にご招待していただきました。場所は大阪の超高級ホテル。この方は入社以来、営業マンとして常にトップの成績を残すだけでなく、職場全体の盛り上げ役を常に後輩達の先頭に立って実践してきた人でした。 飲み会でも後輩の声にいつも耳を傾け、明るく励まし続けてきました。ストレスを解消するため、せっかくの社内行事を盛り上げようと、女性からヒンシュクを買いながらいつもパンツ一丁になって率先して大騒ぎしていました。それは課長になっても変わりません。そして昨年10月からは東海地区の事業を統括する責任者に抜擢され、なお一層、役割責任の中で多忙な日々を送られています。 その人望から、式は笑いにあふれかりとても楽しく過ぎていきました。そして最後の最後、その方は自らパンツ一丁になってキャンドルサービスを始めたのです。新婦のご両親の手前、かなりの勇気が必要だったとは思いますが、多忙の中せっかくの休日に集まった来賓や後輩や部下たちに、少しでも楽しんでもらおうという気持ちだったのだと思います。自分に対する期待は裏切ってはならない、と。 組織の統率者は、さまざまな能力や冷静さ、厳しさが必要です。しかしそれはその統率者一人ひとりの人間性に立脚したものでなければ、決して組織は活き活きとはしていきません。自分の人間性を殺して「役割」をこなそうとすると決してうまくいかないのです。組織側もそんなことを望んではいません。「役割」と同時にその人の人間としての力に期待しているはずなのです。この方の場合、いくら偉くなっても、部下やメンバーからいつも素直な意見や悩みごとを気軽に持ち込まれるような存在でありつづけるでしょう。 いくら偉くなっても、結婚式という晴れの舞台であっても、決して自分への期待を裏切らないようふるまったこの魅力ある男性に、心からエールを送ります。 |
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100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表 1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。 詳しい経歴はこちら 編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。 |
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