編集長コラム 
vol.20: 「小さな約束」を守るということ  2003年5月26日(月)

 雑誌の創刊にともなって、多くのマスコミの方々とご縁を持つようになりました。ある新聞の記事を見て事務所まで訪問してくださった、とある週刊紙のコラムニストの方は創刊の背景をコラムに掲載してくださるということになり、念入りに取材をしてくださいました。

 その取材の中で、31日に開催する読者イベントに、どれくらいの参加者が集まるのか不安に思っていること漏らすと、コラムの掲載の前にそのイベントの告知を載せましょう、とおっしゃっていただきました。とてもありがたい話で「ぜひに」とお願いしたのです。
 
 ところがそれ以降、取材いただいたコラムの内容に関するご連絡は何度かいただいたものの、イベント告知に関する話は一切出ません。私も雑誌の売れ行きのほうが心配で心配で、イベント動員のことまでほとんど気にもかけられず、「もしかしたら忘れていらっしゃるのだろう。あるいは、他の案件が一杯で、うちのイベントを紹介するスペースはないのかもしれない。コラムを掲載してくださるだけで十分ありがたい」と、ほとんど気にも留めずに2週間ほどが過ぎていきました。

 そして、雑誌販売の忙しさが落ち着いてきて、さてイベントもしっかりと集客しなければカッコがつかないぞ、と少し焦りが出てきたときに、その方から週刊紙が届けられました。そこにはしっかりとスペースを割いて、私たちのイベントの告知が掲載されていたのです。すぐさま私は御礼の電話を入れて、「なにか私にできそうなことがあればおっしゃってくださいね」と伝えていました。

 その方にとっても、私にとっても、最も重要なことは週刊新聞の第一面に掲載されるコラムのほうでした。日々多くの人と接しているといろいろな口約束をしますが、忙しさが押し寄せてくると、「『最重要』のことさえキッチリとやっていれば…」と、小さな約束を後回しにしがちになります。そして「一番大切な約束はなんとか守れたのだから、小さな約束はご勘弁いただこう」などという気持ちもでてきます。

 しかし、約束の大きい小さいは誰が決めるものなのでしょうか。依頼した側と依頼されて引き受けた側。約束を引き受けた側にとっては「小さいこと」に感じても、依頼した側にとってみれば、とても重要なことかもしれないのです。でも相手にとっての重要性をじっくり考える余裕もないのも事実です。

 約束に「大きい」「小さい」はないのではないでしょうか。「約束」は「約束」でしかない。引き受けた側が重要に感じようと、重要には思えなくても、約束したら必ず守る。そんな姿勢の人にしか信頼は集まらないことだけは、間違いありません。

 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
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編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
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