編集長コラム 
vol.25: 人を元気づけるさりげない一言 2003年7月7日(月)

 先週に引き続き、大阪での話。私の事務所が発行している雑誌のタイトルは「京都の30歳!」。京都の働く30歳前後の方に、「身近で、等身大の同世代が、何を考えながら働いているのか?」を紹介していくことで、自分らしい働き方をみつけるキッカケにしてもらおう、という目的です。
 ですから、京都に住んでいたり働いている人、もしくは京都出身でいまは東京や大阪などで働いていらっしゃる方などを中心に読んでもらえれば、ということで、京都中心部の書店さん、コンビニさんに取り扱いをお願いし、大変好意的にご協力をいただいています。しかし大阪はそうは行きませんでした。京都から大阪に通勤されていらっしゃる方に読んでいただきたいのですが、大手の書店さんのほとんどは取り扱いいただけませんでした。
 
 そのなかで唯一、応援してくださったある大型書店さんの雑誌担当の方。多分25歳くらいだと思います。初めてご挨拶にあがったときに、私が汗を流しながら懸命に説明するのを哀れんでくださったのか、即答で取り扱いを決めてくださり、有名ビジネス雑誌の真ん中にディスプレーしてくださいました。
 そう頻繁に大阪に出ることはできませんので、創刊してからはいつも何かのついでに飛び込みで売れ行きを確認しに行くのですが、どんなときも忙しい手を止めて温かく対応してくださる。そしてこの方の一言一言が私を元気にさせてくれるのです。
 「いつも突然にやってきてすみません」と詫びると、「何をおっしゃるんですか、ぜひいつでも立ち寄ってくださいねー」と心から言ってくださり、2週間たっても4冊しか売れていないときに「やっぱり大阪ではむずかしいのかなぁ」とつぶやくと、「大丈夫ですよ。手にとっている人も多いし、僕はいずれ売れると思いますよ!」と笑顔で励ましてくださる。
 初回納品部数がほぼ完売し、追加の納品に上がったとき私が「10月末の次号まで、創刊号を扱ってくれませんか?」とお願いすると、「次号が出れば、創刊号も横に並べて置いてもいいと思ってるんですよー」と提案まで頂き、問屋を通していないことで伝票処理の事務手間をかけていることをお詫びすると、「まったく問題ないですよ。事務手間なんて気にしないでください。本当に遠慮なくなんでも相談してくださいね!」…。

 この雑誌がいくら売れても、そのお店にもたらす利益は微々たるもの。なぜそんなに応援してくださるのか、その方は自ら語ろうともされません。しかし、その短い一言一言が私を勇気づけるのです。「少なくともここに応援してくれる人がいる」。そんな思いがこの人の言葉からいつも実感できるのです。「応援してくださる方々のためにも、へこたれてなんかいられない」と思うのです。

 ひるがえって私自身。多く出会う方々にどんな言葉をかけているのだろうか?結局は相手の何の役にも立てないことが多い中で、せめて相手が元気や勇気が出る一言をかけることができればな、と、この方を通じて痛感させられました。

 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
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編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
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