編集長コラム 
vol.29: 夢を実現する本当の力 2003年8月5日(火)

 「私には絶対に実現したい夢があるんです」。そう目を輝かせて話せる人が少なくなっているのかも知れません。将来の基本的な生活の見通しすら立てられない社会になってしまた今の時代、これは仕方のないことなのでしょう。しかし、7/30に掲載したスペイン語通訳・翻訳のフリーランス・上野真理子さん(30歳)は、さまざまな困難を乗り越えて一歩ずつ幼いころに描いた夢に近づいていく「力」がありました。

 
上野さんが、“飢餓に苦しむ人々を助ける仕事がしたい”という夢を持ったのは小学校6年生のとき。その後は英語の能力を高めるために少ない時間をやり繰りして勉強を続け、専門学校も就職先も英語に携われることを最優先に選びました。職場の上司や同僚による迫害や、予想もしなかったスペインでの3年半の極貧生活に耐え、今も主婦業をこなしながら、語学で収入を得る道を類まれなる行動力で少しずつ切り開いていらっしゃいます。夢に出会ってから20年近くたった今でも、決してあきらめていません。

 彼女のその夢を決してあきらめない背景には家族の存在があります。画家になりたいという強い夢を持つご主人。2人の夢を見守る義理のお母さん。懸命に上野さんを育て上げ、専門学校にも通わせてくれた、スペイン行きまで認めてくれたご両親や、陰に回って応援してくれる弟さん。
 「私の夢は私ひとりのものじゃないんです。多くの人の想いを背負っているから、簡単にへこたれるわけにはいかないんです」と上野さんはおっしゃいます。

 幼いころに描いた夢をここまで追いかけ続けられることは、とても珍しいことでしょう。たいていは夢を実現する難しさを知った段階であきらめてしまったり、少し足を踏み出しても次々と訪れる困難に出会って挫折してしまうケースが多いのでしょうか。

 夢の実現には「想いの強さこそがすべて」とよく言われますが、その想いを「持ち続けられる力」のほうがなお一層大切なような気がするのです。そしてその力は、そもそも一個人のものであったはずの「夢」が、実は多くの人に支えらなければ実現に近づかないという「気づき」と、その支えてくれる方々への「感謝の気持ち」から生まれるのだと思います。

 「やりたいことがみつからない」。そんな声が多く聞かれます。描いた夢はどこにいってしまったのでしょう。自分に期待し、見守り続けてくれる多くの人のたちはひとりもいませんか?そんな人を思い出してみることで、夢に半歩でも踏み出せる力が出てくるかも知れません。


 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
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編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
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