編集長コラム 
vol.31: 35歳への道(2) 2003年9月02日(火)

 35歳から「役割」「責任」に押しつぶされて元気を失ってしまうくらいなら、35歳まではフラフラしたほうが良い。

 フラフラというと定職につかずに短期間で職を転々とすることをイメージさせると思いますが、ここでは少し意味合いが違います。「生き方」「働き方」に対する考え方がグラグラして構わない、というニュアンスで解釈してください。その結果で転職という決断に至ることもあってしかるべきでしょう。

 
35歳からは自分を取り巻く「人」が急速に増えていきます。配偶者や子ども、配偶者の親や親族、配偶者の友人・知人、子どもの面倒をみてくれる幼稚園や小学校の先生・地域の方々、職場の後輩・部下、顧客や出入りする外部の協力者、自分自身の親や親族との関わり・・・。

 たとえば、管理職という「職種」はそれまでの営業職や研究職、販売職などとはまったく違う「職種」です。営業や研究などそれぞれの職種で個人としては高い実績をあげてきていても、それと部下を通じて実績をあげることはまったく違う「仕事」になります。
 これまでほとんど自分のペースで使えていた時間は、部下のペースに合わせざるを得ない場面が多く出てきますし、自分には簡単にできたことでも、部下にはできなかったり考え方自体が違ったりします。それまでともに苦労をしてきた後輩の頑張りや成績が思わしくなければ、上司になってしまえば人事考課では厳しい評価をつけざるを得ない。部下から自分への批判もあがってきます。
 5人の部下をもつということは、大げさに言うと5人分の職業人としての人生に大きな影響を与える立場につくということです。管理職になる前には、「私がその立場になれば…」と理想を描くのですが、実際にその立場に立つと、それを実現する難しさに直面します。部下だった時代に上司から言われて頭に来たことも、いざ自分が上司になるとその意味がわかってくる。指導の仕方で次第では部下の将来性をつぶしてしまうこともあります。
 部下のことを真剣に考えたときに、それまで自分が持っていた「組織において大切なこと」という考え方を、変えざるを得ないこともあるのです。

 「少しでも早く出世して、ビジネスを通じて組織を率いる人間になりたい」という気持ちが強いなら、まっしぐらに管理職を目指して突き進み、早くそれを体験してみましょう。そこで大きな壁にぶつかって、苦労・苦難を乗り越えて「組織を率いること」が果たして本当に自分のやりたかったことなのか?を考えてみる。どうもそれが違うようなら別のことに方向転換しても構わない。転職して別の仕事や組織で管理職を体験してみる手もあれば、人の上に立つより自分のペースを守れる働き方にコース変更してみるという手もある。フラフラ・グラグラすればいいのです。

 30代になると、自分を取り巻く人がどんどん増えて行きます。では、自分を取り巻く「人」、特に自分がある程度の影響を及ぼしてしまう「人」のなかでいったい自分は「何を大切にして働き、生きる」のか? それをゴツゴツと頭を打ちながら見つけだして行く「旅」ができるのが35歳あたりまでではないでしょうか?                                         (続く)



 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
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編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
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