編集長コラム 
vol.34: 35歳への道(5)−「良い決断」に向けて 2003年9月24日(水)

 このシリーズの最初に、35〜40歳を境にして組織から「今後の身の振り方」の決断を迫られる、と書きました。
 その決断の主な方向性は以下のようなものが考えられます。
 ・同じ組織の中で、まだまだ経営幹部などのより高いポジション・待遇を目指す
 ・同じ組織や関連会社で、待遇が悪化することも前提の上で、専門的な力を着実につけていく
 ・早期退職制度などを利用して転職をする
 ・派遣などの新しい雇用形態の道に進む
 ・その組織から仕事を請け負う業務委託などの形で独立する
 ・SOHO・起業・開業などで完全独立をする

 どんな道に進もうとも、成功の約束はありません。大切なのは、「良い決断」をすることです。「良い決断」には以下の2つ条件が必要になります。
  1)魅力的でかつ自分で実現の可能性を感じられる複数の選択肢があること
  2)その中からひとつを選択した時に起きる最悪の結果を覚悟すること

 特に重要なのは2)です。基本的に人は自分の力量を過大評価する傾向があるので、どんな魅力的な道に対しても「私ならやれるかも」と実現の可能性を感じています。しかしその道を選んだときの「最悪の結果」を生々しく学んでいるケースは多くありません。

 特に組織人の30歳前後の方々は、人減らしの中で業務に忙殺されて、仕事関係以外の人との接点がますます少なくなっています。派遣社員や独立開業者、転職経験者、業務委託などいろいろな形で働いている人の話をジックリ聞く余裕もありません。そのなかで、転職情報誌や独立情報誌、派遣会社のPR広報誌に載っている成功事例だけで判断をせざるを得なくなります。
 「決断」とは「決めて」、「断つ」こと。魅力的な情報を中心とした決断は、この「断つ」作業が弱いのです。今現在手に入れられているものを捨てる覚悟、さらにその道に進んだときに起きうる「最悪の結果」を覚悟した決断は、自分でも信じられないパワーを引き出してくれるのです。

 ですから、30歳から35歳の間は、とにかく自分とは違う「働き方」をしている人の話、特に苦しいこと、ツライことをいかに多く聞けるかがとても重要です。それが後々に後悔しない「良い決断」をするための第一歩です。


 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
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編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
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