編集長コラム 
vol.35: 35歳への道(6)−「半歩」の積み重ね 2003年9月30日(火)

 「人が恐怖を感じる瞬間は?」というアンケートでの断トツの1位回答は、「初対面の人と会う瞬間」なのだそうです。

 
前回書いた、自分とは違う「働き方」をしている人の話を聞くこと、これがなかなか難しい。人は自分と考え方などが近い人同士のコミュニケーションをしたがります。安心感を保てるからです。多忙な今の30歳前後の方々は、プライベートの時間に疲れた気持ちを奮い起こして、「初対面の人と会う瞬間」を求める気になれないでしょう。
 ですから幼なじみや学生時代の友人たちとの旧交を温めることからスタートすることが手っ取り早い。気心も知れ、緊張もすることなく、それぞれがさまざまな方向やさまざまな働き方をしていますので、とても参考になります。ただ、住むところが離れ離れになっていたり、生活パターンも違えば、忙しい時期も違うので、これはこれでなかなか会うのに骨が折れる。
 もうひとつは、仕事関係以外の交流の場に参加してみることです。会社の同僚が会社以外の友人に会いに行くのに仲間入りさせてもらったり、以前から興味を持っている趣味やスポーツなどのサークルに参加したり、気楽な交流会などに参加してみる手もあります。

 
私はこんな動きも「偉大な半歩」だと思います。今所属している会社などのコミュニティの人以外の考え方に触れること。ひと月かふた月に一度くらいは気楽な交流の場で、いろいろな働き方をしている人の話を聞いてみて、「ふーん」「へぇー」と思ってみる。自分が悩んでいたことがいとも簡単に解決したり、同じような不安や迷いをみんなが持っていることがわかったり、自分が結構恵まれていることに気づいたり…。「何の役に立っているのかわからない」ような感じが1〜2年続いても構わない。
 でも何かのキッカケで少し興味・関心を持つような話を聞いたときに、もっと詳しく教えてもらう。自分の思ってることや感じていることも話してみる。こんなことが次の「半歩」。深く興味を持てば、日常業務に差し支えない程度で少し手を出してみる「半歩」。手を出してみて、「これはやっぱり求めていたものじゃない!」と思えばすぐ辞めればいい。

 
実際に転職などの大きな「一歩」を踏み出してゴツゴツ頭を打ってもいいし、いろいろな「半歩」を積み重ねる道もある。そんなゆっくりとした動きができるのが、まだまだ若い30歳前後の方々の大きな特権です。35〜40歳になって家庭や地域、職場で大きな「役割・責任」を背負ってしまってからは、よほど腹をくくらなければそんな時間は取れなくなりますから。


 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
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編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
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