編集長コラム 
vol.41: きっと誰かが見守ってくれている 2004年1月13日(火)

 昨年9/16にサイトに掲載した琵琶湖ホテル・平井琢磨さん(32歳)の取材では、無心で仕事に取り組んでいればきっとその姿を見ていてくれている人がいる、そう思っていいのだと確信しました。

 
平井さんは、高校のときにテレビで見た黒服のホテルマンに憧れて、専門学校を経て京都の有名ホテルに就職します。顧客からはとても高く評価されているそのホテルでは、個々の人が自分の業務にはとても真剣には取り組んではいるものの、職場の仲間がお互いの想いをぶつけ合って、喜びや成長を分かち合う雰囲気がほとんどありません。上司や先輩からはただ指示をされるだけで、目的をしっかり説明されることはほとんどなく、成長の手ごたえを感じられない若手社員はヤル気を失って行ったそうです。
 平井さんは自分自身のモチベーションを何とか保ちつつ、そんな後輩のひとりひとりに、業務時間を越えて親身に相談に乗り、自分の経験を交えて個々の仕事の意味や働く目的などを語り続けます。決して誰かからの評価を得るためではなく。

 別の事情もありそのホテルを5年で退職し、2年間のフリーター生活を経て、別のホテルに転職。アルバイトを中心にロビーの従業員が構成されているそのホテルでは、以前のホテルのような接客姿勢がほとんど見られず、平井さんがその改善を託されます。しかしなかなか思うように動いてくれないアルバイトや、現場の声に耳をあまり貸してくれない上層部に、「俺はここまでやっているのに…」と投げやりになってきます。
 あるとき偶然に、ほとんど会話もしなかった前ホテルの支配人と再会すると、「お前がやらなきゃどうするんだ。以前はあきらめずにやっていたじゃないか!」と言われたのです。そして1ヶ月の現場研修の講師まで買って出てくれたそうです。
 見ていてくれた人がいた。平井さんがその後、アルバイトたちと一緒になって顧客満足の高いロビーチームを作り上げて行ったことは言うまでもありません。

 以前に「YELL! 40歳からのメッセージ」というコーナーで、フューチャーベンチャーキャピタルの伊藤さん(http://www.kyoto30.com/40yell/40ito.html)を取材したときにも、自信喪失しながらも新しい仕事の勉強を一人コツコツと続ける姿を隣の部署の責任者が見てくれていて、新会社の立ち上げメンバーとして抜擢されたというお話をお伺いしました。

 決してこんなことはアテにしてはいけないのですが、顧客や仲間のために、あるいは自分の成長のために、決して投げやりにならずにコツコツひたむきに取り組むその姿を、きっと誰かが見てくれている。そしてそんな人が何かのキッカケで自分を支えてくれる。そんな風に思ってもいいんじゃないでしょうか。少なくとも私はそう信じて行きたい。


 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
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編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
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