編集長コラム 
vol.44: 35歳までは「中距離走」の繰り返しで行こう 2004年2月10日(火)

 人生をマラソンにたとえるケースがよくあります。オリンピック選手の君原さんはいつも「次の電信柱まで走ろう。次の電信柱まで」と自分に言い聞かせて完走を目指されたそうです。短期的に見たときにこのお話はとても納得感が高いし、勇気づけられます。
 35歳までは、「中距離走」をときおりインターバルを取りながら連続して走る、という感じがいいのではないでしょうか? 昨年10月8日にサイトに掲載した株式会社三笑堂の五十嵐真吾さん(31歳)の取材ではそんなことを実感しました(http://www.kyoto30.com/30workway/30igarashi.html)。

 五十嵐さんは、中学のテニス部でも高校のハンドボール部でも「やるからは一生懸命にやりたい」と、ときにはケンカになるくらいまでチームメイトと真剣な意見をぶつけ合います。
 「自己成長」というキーワードで選んだ三笑堂に入社し、介護分野の新規事業に配属。担当地域を与えられると顧客開拓に没入し、1年も立つと自分ひとりでは担当できないくらいのクライアントを獲得。それから3〜4年は悩む後輩たちを叱咤激励しながらも、事業の黒字化のために個人営業スキルを向上させ続けました。

 27歳のころに営業形態が変更されると、「意地でも今は辞められない!」と、一緒に頑張る仲間のために営業効率をあげるためのシクミづくりに深夜2〜3時までの連続残業の日々を過ごします。収益化を急ぐ経営陣を説得するためのデータ検討や資料作り。
 「利益はあとからついてくる」という信念が揺らぎそうになっても逃げ出さず、1年半後に黒字化を見事に達成させられるのです。
 今は40人の大所帯をあずかる課長になって、とまどいながらも管理職としての能力向上に苦闘をされているそうです。

 五十嵐さんのビジネスマン生活は3〜4年くらいのスパンで能力開発の内容が変わって行っています。これは決して偶然ではありません。目の前の業務に脇目も振らずに、自分が納得するまで没頭することで、周囲からより高いレベルの期待が次々にかけられるのです。そしてその期待に応えるためにまた夢中になって取り組んで行く。そんな連続です。

 10年も20年も先まで見てしまうと、その人生の長さに途方にくれてしまいます。まずは目の前の業務に2〜3年間はとにかく没頭してみる。そしていったん落ち着いて自分を省みるインターバルをとってみる。勇気を持って2〜3ヶ月休んだほうがいい。そして次の目標を設定してみてまた2〜3年全力疾走してみる。そんなことを10年くらい続けていけば、35歳になったころには相当な総合力が身についているはずです。3ヶ月や6ヶ月の「短距離走」ではなく、「中距離走」の感覚が大切ではないでしょうか?


 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
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編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
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