編集長コラム 
vol.52: 努力は必ず報われる 2004年5月18日(火)

 最近数人の30歳前後の方々に「努力って報われるものだよね」と尋ねると、ほとんどの人が首をかしげることにとても強い衝撃を覚えました。確かに期待していた「報われ方」そのものを手に入れることはなかなか難しい。しかし目の前の仕事にしっかり取り組み続ける努力こそが、本当に「やりたいこと」に出会えたときにそれで生計を立てていくための近道なんだなあと実感できた物語がありました。京都の有力タウン誌を発行している株式会社リーフ・パブリケーションズの西澤邦広さん(32歳)の物語です。
http://www.kyoto30.com/30nishizawa_f.html

 西澤さんは滋賀県の自然豊かな町でのびのびと育ち、幼いころからヤンチャに過ごします。高校に入ると先生から言われもない蔑視を感じて荒れる一方で、「早く自立したい」と言う思いも募らせ、専門学校卒業後は「やわらかい会社」にも目もくれず、自分を試せると思った猛烈な営業会社に入社します。
 面倒見の良い上司にも支えられて、1日約300件の新規開拓電話をかけ続けたり、同じ顧客に半年間毎週のように通いつめたりして、営業の基礎体力を急速につけて目標数字を追い続ける日々を5年間も過ごします。

 会社の姿勢に自らの将来への不安を感じて、後先も考えずに退職してめぐり合った「Leaf」という創刊間もないタウン誌の求人。京都出身のお母さんの影響で幼いころから京都という街が大好きだったことを思い出して迷わず応募。社長からは「その馬力で営業を盛り上げてくれ」と言われて、知名度の全くないメディアの広告営業に没頭して1年も経つと要領までつかんでしまいます。

 3年目に深いスランプに陥ったそうです。成績がほとんど上がらなくなり、眠れなくなるくらいに悩む日々が数ヶ月間も続く。上司からの長時間のアドバイスは退職勧告に聞こえる。しかし「この仕事を続けていきたい」とあせるばかりに、効率や要領ばかりに重点をおいていることが原因だと気づくと、こう思ったそうです。「営業なんだから数字をあげたらええんや! そんなん簡単や!」。

 西澤さんは語学が活かせる仕事を求めて、たまたま知った商品取引の会社で「力をつける」ためだけに、5年間も懸命に営業力を鍛え上げました。そのことが「好きなこと」に巡り合えたときに採用されることにつながり、「好きなこと」をあきらめざるを得ない状況を救ってくれました。「好きなこと」をしたいために努力したのではなく、ただ目の前のことから逃げずに没頭してきただけなのです。
 「努力は必ず報われる」。あせる気持ちを抑えてこの言葉を信じてみませんか?


 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
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編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
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