編集長コラム 
vol.55: 「くじけそうな気持ち」を支えてくれるもの(3) 2004年6月15日(火)

 3号作りを中心になって進めてくれた4人の編集部の仲間たちがいます。雑誌発行はまだ3号めですし、私はそもそも広告営業畑の出身で、コピーライティングも撮影も、編集や流通知識も、素人の域からスタートしていて専門的なスキルを持ち合わせていませんでした。このNPOを立ち上げて、すべてをゼロから身につけている状態です。
 ですから編集部の仲間たちへの指示は、すべてただ私自身の体や頭で感じることを完全な自信や根拠もないままに行うことになりますし、伝えたいことをなかなか体系化できないままに案件ごとに限られた時間を割いて指導せざるを得ないのが現状です。そして当然ながら伝えたいことがなかなか伝わらないことにイライラが募って行きます。「あれほど言って来たのになんでわかってくれないんだ!」…。そんな気持ちが声や顔にアリアリと浮かんできます。浮かぶだけならまだいいのですが、机をたたいてしまったりも…。

 
私にも10年以上のマネジメント経験があり、さまざまな状況でさまざまなメンバーの指導に当たってきてそれなりの自信もあるのですが、今回は、本来のみんなのチカラを思いっ切り発揮させてやれない自分のふがいなさに何度もくじけそうになりました。「もっと気持ちよく前向きに業務に取り組ませてあげられるのかも知れない」「他の良い指導者ならもっと各人が伸ばしたい能力をしっかりサポートしてあげられるのかもしれない」…。こんなにメンバー指導が苦しいならもう雑誌発行なんてやめて、一人のフリーライターとして生きていけばいいじゃないか…。

 そんな気持ちを吹き飛ばしてくれたのが、当の編集部の仲間たちの歯を食いしばった頑張りそのものでした。少しでも読者のみなさんに役立つものにしようと、一人の物語を完成させるまでに5回は書き直しを命じられます。初めに示したこととは全く違う指示が出ることも当たり前で、ゆっくり書き直してもらう時間もありません。雑誌づくりと平行してメルマガ発行やサイト更新のための情報収集やコピーライティングもあります。文章そのものだけでなく取材のスキルや撮影時の動き、取材対象者とのやりとり、ビジネスマナー、集団行動の取り方…。スキル以外のさまざまな注文や罵声も浴びせかけられます。毎日深夜まで業務は終わらず、週に3〜4日は自宅に持ち帰ってコピーを書かざるを得ない。そして頑張っても褒めてもらえもらえることもほとんどない…。
 「なんでこんなに頑張れるのだろう…?」。そんな気持ちがいつも頭から離れない。そもそも苦しい財政の中で給料も最低限しか出せていない。他にいくらでも割の良い仕事があるはずなのに…。

 こんなに仲間たちが頑張ってくれて少しずつ雑誌が完成に近づいて行っているのに、私がいま投げ出せる訳がない。そんな気持ちがくじけそうになる気持ちを支えてくれました。
 みなさんにも実は力を合わせて頑張っている仲間がいませんか? 決して自分ひとりが頑張っているわけではないし、一人っきりではなかなか頑張りきれないと思うのです。



 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
詳しい経歴はこちら
編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
トップページに戻る
(c) 2003 WOOCA. All rights reserved.