編集長コラム 
vol.61:「生涯の仲間」がいますか? 2004年7月27日(火)

 仕事を通じて「生涯の仲間」を作ることはできるのでしょうか? 特に企業づとめをしている人は、一日の大半を過ごす会社内での業務外コミュニケーションが希薄になっていく一方で、忙しくてプライベートな時間もなかなか取れず社外の人との深いお付き合いも難しい。
 逆に生活は不安定でも「夢の実現」のために個人で本気で突っ走っている人は、自分自身の考え方や生き様そのものが仕事に直結するケースが多く、仕事を通じて出会った人と深い付き合いが始まる可能性が高いのかもしれません。そんなことを考えさせられたのが映画監督・監督助手の服部大二さん(31歳)の取材でした。
http://www.kyoto30.com/30hattori_f.html

 服部さんは、田舎の高校でビーバップハイスクールよろしく仲間たちと遊びやケンカに明け暮れ、一方でエンターテイメントや映画の世界に強い憧れを持って大阪の映像関係の専門学校に進まれます。
 学校からの実習生として送り込まれた京都の映画撮影所で、下働きから始めて監督助手としてロクに睡眠がとれなくても、憧れの世界で働ける幸福を実感して卒業後も働き続けます。
 しかし30歳も近くなって、普通に働く友人たちの幸せな家庭生活を垣間見ると、仕事がないときには工事現場のアルバイトで食いつないでいる自分の将来への猛烈な不安も込み上げてきます。「途中で投げ出すようなカッチョ悪いことなんてできるか!」と事あるたびに自分に懸命に言い聞かせておられたそうです。

 一匹狼の集まりの職場では徒弟制度の名残りが強く残り、人を人とも思わない扱いを多く受けたり、着実に実力をつけて次第に重要なポジションを任されると周囲から妬みや嫌がらせを受ける。「もう辞めてやる!」という衝動を何度も思いとどめさせてくれたのは、疲れた体、限られた時間をやりくりして夜を徹して夢を語り明かし、互いに助け合ってやってきた年代を問わない仲間たちでした。
 「俺はただ監督になりたいんじゃない。この仲間たちと一緒に映画を作りたいんだ!」。そんなことに気づけたのはつい最近のことなのだそうです。

 服部さんのようにやりたいことが明確な方は、その仕事に向けた明確な情熱を表現しやすく、強い想いが人を呼び、意見をぶつけ合うことで、衝突することも多いでしょうが互いが互いを深く理解できていく。ただし、そんな仲間とのめぐり合いと裏腹に生活は不安定なままです。
 逆に、一種の安定を求めて企業勤めをするときに、さまざまな口実を使って本気で仕事や仲間にぶつかって行かないことで、時間的な自由を保てる貴重な20〜30代を浪費しているのかも知れません。とにかく目の前の仕事や仲間に情熱を傾け続けてみること。結果として「生涯の仲間」との巡り合いが生まれていくのでしょう。



 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
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編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
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