編集長コラム 
vol.62:「生き方」選びから「働き方」を選ぶ 2004年8月3日(火)

 仕事と家庭のどちらを取るか?ということが女性にとって人生のとても大きな問題だと言われます。「○○さんの奥さん」「○○ちゃんのお母さん」としか呼ばれないためには、パートや内職をするか正社員として家庭を犠牲にするしか道がほとんどなかった時代と比べて、今は女性が「自分」をしっかり実感しながら家庭生活も充実をさせられる、いろいろな働き方が可能になってきています。そんなことを実感した、インターネットビジネスで起業されたアミナー/未来製作所の五十川 弘美さん(29歳)の物語をご紹介します。
http://www.kyoto30.com/30isogawa_f.html

 お父さんは勤めていた染物工場が解散してゆっくりとした仕事に就き、お母さんが複数の仕事をこなして家計を助ける家庭で育った五十川さん。年の離れた妹さんのようにお母さんに構ってもらえない寂しさを感じると同時に、家庭を守るためにやりたいことを我慢する母の姿も目に映ります。

 小学校のときに映画監督になる夢を描いて、高校のときに現・共同経営者の田中さんとタッグを組んで作ったビデオは、学内で金賞に輝くほどの優秀作。しかし目指していた芸術系の大学受験を反対されて家を飛び出し、大手外食チェーンに新卒入社します。
 働くからには上を目指そうと、時間を忘れて夢中に仕事に取り組みますが、性別と学歴の壁に愕然として3年半で退職。1年の海外留学を経て、女性が大半を占める発毛サービス会社で分刻みで2年間を働いていたとき、この働き方では自分が実現したい家庭づくりとの両立ができない、と気づきます。

 そんな中で思いついた、インターネットを活用したアイデア募集ビジネス。周囲の反対を押し切って起業をして、当然のようにさまざまな苦難に襲われます。しかしそれを乗り越えられたのは、この仕事が、寂しい思いをしたご自身の子ども時代の経験やいつも陰に回っていたお母さんを見て感じ取った「どうしても実現したかった働き方」を可能にするものだったからではないでしょうか? 家で夫や子どもたちにたっぷりと愛情を注ぎながらも、「自分」をシッカリと実感できる仕事を、インターネットが可能にしたのです。

 派遣の労働環境も整備され、働く女性のための年金や税の議論も活発になり、少しずつ保育のための施設・サービスも充実してきている。パートから始めて、子どもから手が離せるようになった頃には責任ある役職につける道も出てきました。またかつては特殊な技術を持っていなければ在宅でヤリガイのある仕事はできませんでしたが、今はインターネットでさまざまなアイデアが収入や充実感に結びつく。
 五十川さんのような「実現したい生き方」への強い思いさえあれば、仕事と家庭の両立問題はかなりの部分が解消される時代なのかも知れません。

 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
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編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
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