編集長コラム 
vol.63:迷いながら、突っ走る 2004年8月10日(火)

 人は誰でも、「憧れの生き方」を実現するための道をまっすぐに進みたいし、そのための「決断力」を身につけたければ、日々をスッキリと過ごしていたい、と思っています。
 しかし、「私が歩むべきはこの道で間違いない」と確信できている30歳なんてほとんどいないのが現実で、「迷う自分」をしっかり受け入れながらも、目の前のことに懸命に取り組むことの大切さをきようとNPOセンターの赤澤清孝さん(29歳)の取材で実感しました。
http://www.kyoto30.com/30akazawa_f.html

 赤澤さんは幼少期に母方の親族経営の印刷会社を遊び場にしていて、将来は自分で商売をしたいと思っていました。大手企業勤めの父や母からも大学進学を希望されて、厳しいクラブ活動も先生の指導を忠実に守る大人の期待に応えるための進学校生活を送ります。
 大学に入学すると、シッカリと自分の意見を持った先輩たちに憧れて生協の学生委員活動に夢中になり、病院の夜間バイトで知らなかった現実社会を垣間見て、阪神大震災や地域の福祉団体との接点などを機に、在学中に学生ボランティアセンターを立ち上げます。
 
 就職活動時期なっても、「まだ自分のやりたいことに巡り合っていない」と両親に頭を下げて大学院へ。そして卒業にあたっては、安定企業に就職を望んでいた父親に相談もせずに、センターをNPO法人化してその代表に就かれました。
 4年間を休むことなく業務遂行して、多くの方々から喜びの声をもらい、マスコミにも頻繁に取り上げられるようになり、月に数万円しか手元に残らない収入に将来不安を感じながらも、同世代NPOリーダーと励まし合いながら種々の困難を乗り越えていきます。

 28歳のときに半年間も迷った末に、NPO法人の活動を小休止して、市が運営する市民活動の交流施設の組織マネジメントの仕事を受託。そこで「組織人」としての働き方に直面します。それまでのように自分の思ったように事業推進していけないもどかしさ。他のNPOリーダーが自らの責任でどんどん活動を充実させていく姿を見て、強い焦りを覚えます。
 しかし赤澤さんは30歳を目前にして、「組織人」としての働き方をさらに精一杯経験してみようと、「迷い続けること」を決意されたのです。それが必ず自分の将来に活きるのだ、とご自身に言い聞かせて。

 「迷っている自分」「決断できない自分」に、情けない気持ちを抱くことはとても多いのではないでしょうか? しかし進路に迷いがあるときに最も問題なのは、同じ不安が自分のなかで堂々巡りして、動きが止まってしまうこと。迷いなんて決してなかなか吹っ切れるものではなく、そんなうちに大切な時間が刻々と過ぎていく。
 「迷って何が悪い」と置いて、その代わりに目の前のことに夢中に取り組み、さまざまな経験や積んで人脈を作っていく。それこそが実際に踏み切った決断を成功させる強い武器や自信になっているはずなのです。

 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
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編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
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