編集長コラム 
vol.64:一人で考えていても、「自分らしさ」なんてわからない 2004年8月24日(火)

 「きっとどこかに『私らしさ』を活かせる別の仕事があるはずだ…」。そうは思ってはいても、それがいったいどんな仕事なのか、どうやってそれを見つければいいのかがわからない。ときおり立ち止まって自己分析をすることは大切ですが、いつも同じようなことで堂々巡りをしてしまって、なかなか新しい発見なんてできないのが普通です。
 実は「自分自身では気づけない自分」を他人が知っています。一人で考え込んでしまわずに、いろんな世界のさまざまな人との接点を持つことの重要性を再認識したのが、ワコールキャリアサービスの派遣社員・浦島朋子さん(29歳)への取材でした。
http://www.kyoto30.com/30urashima_f.html

 
浦島さんの幼いころは、みんなの先頭に立ってバトミントンやドッジボールで走り回り、いじめられている下級生や一人ぼっちの同級生の世話を焼く女の子。しかし「幸せな結婚」こそ女性が目指す人生、と育てられ、やりたいことも思い浮かばず、進路についてもまったく自分の希望を親に聞き入れてもらえない。少しずつ、限られたほんのわずかな人にしか心を開かなくなり、ささいなことで「消えてしまいたい」と思うようになります。
 父からの紹介で入社した会社で大勢の同期や後輩たちとオフィスワークやOL生活を満喫します。しかし2〜3年も立つとマンネリ感が出てきて、「自分らしい仕事」「私がやりたい仕事」さがしが始まります。OAスキルを身につけるための通い始めたパソコンスクールなどで、生まれて初めて「生徒さんに喜んでもらえるPCインストラクターこそ、私の天職!?」と感じて、6年勤めた会社を惜しまれながら退職しました。

 しかし「働かない期間」ができてしまうと、そのたびに自分の存在意義を見失ってしまい、「このまま死んでしまうのかも…」という恐怖心が募ってくる。とにかくバイトや派遣で仕事口を見つけては、「働かない期間」を作らずに、いろいろな職場で多くの人と接して、業務外のことでも進んで引き受けて、自分自身を実感を得る日々を送ります。
 そんな2年間を経て、派遣されたある大手企業で、目的を共にした大勢の仲間と励ましあいながら働く喜びを知ると、PCインストラクターという目標に疑問を感じ始めます。そんなとき職場の上司から、「どんな環境にもすぐに溶け込んでいけるのが君の長所。人事の仕事が向いているかもね」と言われて、「困っている人を支える仕事こそ私らしい仕事なんだ!」と気づかれたそうです。今はそれを実現する仕事を目指して日々業務に励んでいらっしゃいます。
 自分を見失いそうになったとき、壊れそうになったとき、決して一人で考え込んではいけません。そんなときこそ勇気を出して、「私、どうしたらいいと思いますか?」といろいろな人に素直な気持ちをぶつけてみる。あなたが知らないあなたのことを、きっと誰かが気づかせてくれるはずです。

 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
詳しい経歴はこちら
編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
トップページに戻る
(c) 2003 WOOCA. All rights reserved.