編集長コラム 
vol.79:仕事の最大の報酬は、より難易度の高い仕事 2005年07月12日(火)

 しんどくてつまらない仕事でもコツコツと取り組んで成果をあげ続ける人と、いつでも少し手を抜いて不安定な結果しかださない人の差は、2〜3年のスパンで明らかになって行きます。「仕事の最大の報酬は仕事」であって、期待されたことに応え続ける連続でこそ、常に次の難易度の高い仕事を任されて様々な高い能力が身につき、将来に実現できる理想の働き方の選択肢を拡げていく。そんなことに気づかされたのが、コタ株式会社の沖村英明さんの物語でした。
http://www.kyoto30.com/30okimura_f.html

 沖村さんは、「我慢が大切」が口癖のおじいちゃん子で、父からは「努力すれば必ず報われるから、好きな道を選べよ」と育てられ、小中学校ではサッカーに熱心に取り組みました。
 しかし、進んだ高校で県選抜選手のレベルを見て「これは無理だ」と、音楽活動に力を入れます。より広い世界を見るために広島を出て大阪の大学に進んでプロを目指して夢中に取り組みますが、音楽業界の厳しさを関係者から教わってその道も断念。「社会に出て、精一杯頑張れば成果が得られる仕事をしよう」と、コンサルティング営業ができるというコタに入社します。

 岡山支社に配属されて毎日数十件の飛込み営業をこなして、なかなか成果があがらなくても、「俺も乗り越えた道だ。頑張って損はない!」という上司の励ましに支えられて頑張る1〜2年。いつしか理屈だけでなく顧客に体当たりすることで高業績を上げられるようになりました。

 しかし、3年が経ったときに、京都本社の自社商品を扱う代理店を開拓・管理する新設の部署に異動辞令が出ます。そして、ほとんど全ての顧客が送別会を開いてくれる中で就いた新しい業務では、それまで培ってきたノウハウがほとんど通用しなかったそうです。
 全国各地の、数人から数十人の営業マンを抱える販売会社の忙しい経営者と代理店契約を結んでいく仕事。また、契約した代理店の営業マンたちに自社の営業方針や商品を理解してもらって業績を上げてもらう仕事。思ったように成果の出ない日々に頭を抱え込んだそうです。

 出張先で急性胃腸炎にかかるまで業務に励み、信頼する上司に相談を持ちかけると、「お前は間違っていない。自分らしく思いを伝えていけばいい」と励まされます。そしてまた小さなことから地道にコツコツと代理店の信頼を積み上げて、やはり業績を確実に伸ばしていきました。

 そんな4年を過ごした29歳に主任に抜擢されて、今度は4人のメンバーを任されたそうです。自分が教えられた上司のように指導をしてあげたい思いと重い業績へのプレッシャー。つい部下の成長を待ちきれずに自ら手を下してしまうジレンマ。誰しもがぶつかる管理職としての新しい試練を、いままた懸命になって乗り越える日々を送っていらっしゃるそうです。

 沖村さんは、「いつかこの事業をアメリカで展開して、さらに多くの人と出会いたい」という夢を持っています。これまでの沖村さんが成長してこられた過程を見ると、今の苦しさもいずれ克服して、数年後には必ず、より大きな部隊を任されてさらに難易度の高い管理業務を身につけ、いつかはこの夢を実現しているのだろう、と思えてなりません。「悔いのない仕事生活があるから、家庭も大切にできる」と、家事や育児にも楽しく取り組んでいるそうです。

 決してあせらず、期待されたことにコツコツと成果をあげていくことで、高い能力だけでなく、実現したい生き方・働き方を手に入れるチャンスが拡がっていく。「仕事の報酬は仕事」。体力的な無理が利く20〜30代は、そう信じて夢中に突き進んでいいのではないでしょうか。

 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
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編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
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