編集長コラム 
vol.80:堀江さん 誰のためにやったのですか? 2006年01月24日(火)


 この編集長コラム「30歳!誰のために働きますか?」を執筆し始めて3年以上が過ぎました。
 それからこれまでの間に、働く目的を見失いがちで孤独感・不安感の強いフリーターに象徴される「30歳」世代の対極として、新しい時代を自らの才覚で果敢に切り開いていく「30歳」として彗星のように現れ、名を轟かせたのが、ライブドアの堀江貴文さん(33歳)でした。

 過去のこのコラムでは、「30歳」世代の別の代表である貴乃花については、少しコメントもしましたが、これほど話題になっている「30歳」ながら、堀江さんについてはメッセージすることができませんでした。
 それは、彼がどのような人物なのかを、まったく測りきれなかったからです。もちろん、彼の言動や行動にも注目し、彼の著書も数冊読みましたが、それでも理解は進まない。
「まあ、それがこの人の凄さであり、いまの『30歳』の特徴なのだろう」
としか考えられなかったのです。

 そして、もし、今回検察が彼に突きつけた容疑が事実なら、彼はいったい「誰のために」「何のために」、あのようなことをしたのでしょうか? 
 今後、私はこの点をどうしても確認していきたい、と思っています。

 彼は、特にプロ野球の参入表明などを通じて、古い価値観や体制を守ることで既得権益を手放そうとしない先輩世代の醜悪さを浮き彫りにして、同じ世代の胸をスカッとさせてくれました。
 また、ビジネスモデルを作る力や決断のスピード、強い意志のもとにリスクを背負って立ち向かう姿勢があれば、若くても広い世界に向けた強い発言権を得ることができるのだ、と同世代に夢を与えてくれました。

 しかし今回の事件は、純粋な投資家を裏切っただけでなく、「やはり、こんな悪事に手を染めたりしなければ、若者は無力のままなのだ」という失望を同世代に与えてしまったのではないでしょうか? 期待が大きかっただけに、このショックは相当、尾を引くのではないか、と思うのです。

 ただ、一点、いったい彼は、主に「誰のために」「何のために」、今回指摘されている違法行為に着手する決断をしたのか、ということだけはシッカリと見ておきたいのです。

 驕りや思い上がりがあったことも確かでしょうし、自らの強烈な金銭的欲望や煩悩を満たすために突き進んだことも間違いないでしょう。
ただ、もし、
「閉塞感や不安感に苦しむ同世代や後輩世代のために、俺が突き進むしかないのだ」
という想いが少しでもあったのならば、彼もこの日本社会の大きな転換期に生み出された犠牲者のひとりなのかもしれない、と思ってしまうのです。

 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 NPOワーカーズ・オープンコミュニティ・エイド(WOOCA)代表
1962年生まれ。株式会社リクルートに16年間勤務。数百社の採用・研修・CI・広報・イベント企画と、メディアの企画立案・組織オペレーション、働く人のモチベーション研究などに携わる。2002年6月独立し、現在に至る。
詳しい経歴はこちら
編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
トップページに戻る
(c) 2003 WOOCA. All rights reserved.