編集長コラム 
vol.81:経営者は誰のために働いているのだろう? 2006年07月04日(火)


私はリクルート在籍当時から経営者のお話を聞くのが大好きで、少なく数えても500人は下らない中堅・中小ベンチャー企業の経営者にご面談をいただいてきました。そんなこともあって、昨年末から「京都の30歳!」編集部では、「CEO-KYOTO〜経営者の生き方から自分を活かす〜」というサイトの編集・取材・執筆のお手伝いをさせていただいています。
http://www.ceo-kyoto.com/

 このサイトは、京都本社の人材関連ビジネスの会社が運営をしていて、働く20代の方々の「働き方発見・学び」のキッカケになることを目的としています。
 働く場を選ぶことはその企業の最高責任者の考え(価値観・思想)に共感・共鳴することから始まるべきで、会社の顔としての社長ではなく、一人の人間としての経営者が悩み、苦しみ、リスクの中で決断をしてきた背景にこそその「考え(価値観・思想)」が反映されている、というコンセプトのもと、月に2人のペースで京都の社長の「物語」を紹介しています。

 実は、私のそれまでの経営者とのご面談は、仕事の関係上、会話の内容がどうしても企業経営や人材採用・育成に偏ってしまっていました。ですから、この「CEO-KYOTO」での一人5時間もの取材で、各経営者の生き方や決断の歴史をジックリとお聞きするにあたって、「いったいどんな話が飛び出すのだろう…」と、毎回かなりの緊張感を持ってその場に臨んできました。

 すでに14人分の取材を完了していて、当然ながらさまざまな強烈な感想を持ちました。そして、その中で一番驚いたことは、「経営者になってからもっとも苦しみ、迷い、悩み、なかなか決断ができなかったのはどんなことですか?」という質問に、一定の成功を手にされたほとんどの経営者が、「社員」「従業員」との関わりに関するエピソードを出してこられたことです。

 と言うのは、私は、そんな人材がらみの話ではなく、もし失敗すれば自分の家族にさえひもじい思いをさせてしまうリスクを感じながらも、大きな借り入れまでして投資を決断したエピソードがたくさん出てくると思っていたのです。

 経営者が、経営の道を歩むことを決めた動機は、本当に千差万別です。そして、会社を存続させ、発展させるためのその猛烈な執念やエネルギーの源も、経営者によってバラバラです。どの経営者も、「俺は社員や従業員のためだけに頑張れるのだ」などという単純なキレイごとは決しておっしゃられません。

 しかし、どんな動機で創業しようが、何をエネルギーの源にしていようが、心ある経営者は、「本質的に社員や従業員のためにならない決断」をしたときには必ず事業がおかしくなることを知っているようです。そんなことをのの取材活動を通じて痛感しました。

 自立している経営者であれば、家族を路頭に迷わせてしまうリスクは経営者になった時点で織り込み済なのでしょう。そして、「社員」「従業員」との間の数多くの苦悩を経験してきて、「社員」「従業員」の成長に心を砕くことこそ経営には大切で、さらにその成長した姿を見ることの大きな喜びを知っているからこそ、猛烈に忙しい時間を割いてまで人の育成に頑張れるのだと思います。

 100人に100通りの「働き方」。バブル崩壊後に社会に出た今の30歳は、自分で自分の「働き方」を決める「新しい時代のトップランナー」です。そしてどんな「働き方」を決断しようとも、最終的に決して後悔をすることのない唯一の観点があります。
 「あなたが頑張って働くことは、自分以外の誰のためですか?」
 家族のため、職場の仲間のため、自分を信頼してくれる人のため、お客様のため、地域のため、社会のため…。迷い少なく働いている30歳は、みんなこの観点が明確です。
 このコラムでは、取材などで出会った方々から学んだこと、気づいたことを、そんな観点から説明していきたいと思います。

★編集長:宮崎 健(ミヤザキ タケシ)

 モチベーションスタジアム代表
 1962年生まれ。大学卒業後、1986年株式会社リクルート入社。200社の企業の採用・教育・コミュニケーション等のコンサルティングなどに携わる。1997年社内研究機関から選抜され、経営者の意思決定の研究、働く人のモチベーション研究に取り組む。2002年フレックス定年制度によりリクルートを退職、NPOとして2003年に雑誌「京都の30歳!」を創刊。2007年企業の若手人材育成のバックアップを業務とする「モチベーションスタジアム」を設立。
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編集長へのメールはmiyazaki@kyoto30.comまで。
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