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演劇を続けたくて選んだ派遣社員という働き方。 |
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教師という職業のまじめな両親のもと、大好きなマンガや映画は「読むもの」や「見るもの」で、作る側にまわるなど考えもしなかった。大学で演劇と出会い、没頭する。偶然知った派遣社員という働き方で演劇との両立を続けた。劇団を立ち上げて5年目のある日、仕事との両立では甘えがでると思い込み、「女優になります!」と宣言して働くことを辞めた。 佐野 まき子さん 31歳 京都市在住 [派遣社員・朗読家] |
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しつけの厳しい両親のもとを離れ、大学で演劇に出会う。しかし、迷いなく就職した。 福井県敦賀市で生まれ育つ。共に教師である両親は、教育熱心でしつけに厳しかった。テレビはほとんどNHKばかりで、8時以降は見ることも禁止。それでも、何一つ不自由することなく育ててくれた。「きっと両親に怒られないことが正しいことに違いない」。将来は自分も同じように平凡でも幸せな家庭を築こうと考えていた。 幼いころから親に隠れて大好きなマンガを何時間も読みふけった。人並み以上にとりつかれたが、せいぜい好きな作家の絵をまねる程度で、オリジナル作品を描く気などは起こらなかった。 中学2年のとき、「グーニーズ」を見て映画にのめり込み、外国の俳優にファンレターを何度も出した。両親に隠れて、休日はいつも友達の家でビデオ鑑賞をした。 京都での大学生活。親元を離れ、観劇や映画鑑賞などを満喫していると、1年目から留年した。サークルはなじめず辞めてしまい、落とした1単位のためだけに通学する毎日。気づけば友人も減っていた。孤独を感じるものの、1年間ひたすら一人でビデオ鑑賞や読書、ゲームをして持てあました時間を過ごした。 2年に進級。たまたま大学の演劇部員に誘われ、裏方として演劇に関わり始める。友人に勧められて1回きりの約束で初舞台を踏むと、「一番よかった!」とほめてもらえた。「演劇なんかに足を突っ込むと人生が狂ってしまう…」。「平凡だけど幸せな家庭を築く」ことからはほど遠い世界に対する思い込み。それも、演劇の楽しさでたちまち消えた。 3年のとき、劇団を立ち上げる。24時間出入り自由の稽古場での練習と舞台に明け暮れる毎日を過ごした。「まだ演劇で食べていけない以上、きちんと就職しなければ」。卒業間近になって就職情報誌であわてて仕事を見つけた。 偶然知った「派遣」の存在。毎日の多くの人との交流で楽しい仕事もあると気づく。 従業員5人の会社の事務員。たいした仕事もないのに勤務時間中に席を立つことも許されない。周囲の人とも気軽に話せず、休むことなどとてもできない雰囲気。「仕事というものは、たとえ辛くても背筋を伸ばして黙々とこなすもの」。そんな思い込みからまじめに取り組んだ。「辞めたければ辞めればいいんだよ」。半年後に聞いた同僚の一言。「…そうなんだ!」。迷わずすぐに退職した。 正社員としての転職が決まらず始めたアルバイト先で、給料の安定した「派遣社員」の存在を知り、さっそく派遣会社に登録した。 パソコンに押されてほとんど売れなくなっていたワープロの販売促進業務。量販店を訪ねてこちらの目的を伝えても冷たくあしらわれるばかり。「会社も大して期待してない業務だし」。本来のおしゃべり好きな性格から、気負いなく話しかけ続けると、量販店の店員も受け入れてくれるようになった。 自ら進んで商品の講習会を行い、販促の提案もする。コツコツ訪問を続けると「言われたとおりにやったら売れた!」と言ってもらえ出した。その姿を見て、上司は社員になるよう誘ってくれた。「演劇と仕事の楽しさって両方同時に味わえるんだ!」。 次のページヘ |
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