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■京都企業の動き
◆アクティブリンク
松下電器産業の社内ベンチャー制度から生まれたベンチャー企業に、京都大学出身でロボット製作の個人事業を手がける高橋智隆氏が参画することになった。高橋氏は、京都大学在学中に独自の二足歩行技術を開発し、ロボットを自主製作。今年4月に開かれたロボット展示会の「ROBODEX2003」にも出展していた。今後、外観デザインを重視したロボットを製作する予定で、開発されたロボット技術は、介護などに応用が期待される技術に応用される見通しだ。
高橋氏は、1975年生まれの27歳。立命館大学産業社会学部を卒業後、99年に京都大学工学部物理工学科に入学。この3月に京大を卒業した。京大では機械システムコースでメカトロニクスを専攻。在学中からロボットの製作を手がけていた。
高橋氏が参画するのは、今月6日に設立されたベンチャー企業のアクティブリンク(京都府相楽郡精華町、藤本弘道社長)。この会社は、藤本氏がウェアラブルパワーアシスト技術の研究開発を目的に松下電器の社内ベンチャー制度を活用して設立した。
ウェアラブルパワーアシスト技術は、人体に駆動機器を装着して筋力を補助したり、筋肉に負荷を与えることができる技術。介護時に介護者の筋力を補助するなどの面で応用が期待されている。アクティブリンクでは当面、アクチュエーターなどの基礎技術を固め、ロボット技術の研究開発を行う。ロボット技術の開発を発展させる形でウェアラブルパワーアシスト技術を開発する予定だ。
高橋氏は、ロボット技術開発の中でロボットの外観デザインや機能、機構設計などを手がける。これまで製作したロボットをデザイン重視で設計してきた手腕が買われた形だ。
高橋氏が保有するロボットの二足歩行技術も、ロボットの外観や機能を重視したことから生まれたという。具体的には、人気アニメ「ガンダム」のプラモデルを歩かせられないか、と考えたことがきっかけだった。
体自体が小さいため、自律二足歩行は困難だった。そこで、鉄板の上を歩かせることにし、足底に電磁石を配置。足の動きと電流を制御することで、鉄板に足底を吸着させながら二足歩行させることに成功した。
この技術は、技術移転機関の関西TLO(京都市下京区中堂寺、大野豊社長)を通じて民間企業に提供されている。現在、ラジコン模型製作の京商(東京都千代田区、鈴木明久社長)を通じて商品化され、全世界で4000体ほどが売れているという。
高橋氏はまた、ロボット展示会の「ROBODEX2003」(4月3日〜6日に開催)に、新作ロボット「NEON(ネオン)」を展示していた。「ROBODEX2003」が手塚治虫のマンガ「鉄腕アトム」の誕生日に合わせて開かれたことから、アトムを意識して外観をデザインしたという。「NEON」もまた、電磁石による吸着式の二足歩行が可能なロボット。デザインが先行した形で製作したため、腕や足などの機構や配線、バッテリーの配置などに苦労したという。
◆石田大成社
中堅印刷会社の石田大成社(京都市中京区丸太町通小川西入ル、阿部達三社長)は、100年以上続く老舗だけを集めたオンラインモールで、独自企画商品の販売を始めた。和菓子と漆器を組み合わせて1つの商品にするなど、ネット上の異業種交流を実現したのが大きな特徴。ネット通販事業者の間では京都の老舗に対する関心が高まっているが、同社は独自企画商品で差別化を図る。
このオンラインモールは「京の逸品 老舗モール」(http://www.shinise.ne.jp/)。このほど同モール内に、コラボ(共同企画)商品専門の「老舗モール★セレクトショップ」をオープンした。
モール運営スタッフが出店している老舗と直接交渉して、同セレクトショップ向けの独占商品を開発している。
第1弾として、生菓子の老舗「かま八老舗」(上京区五辻通浄福寺西入、1806年創業)と漆器の老舗「漆器の井助」(下京区柳馬場通五条上ル、1818〜30年頃創業)のコラボレーション商品「京漆器で楽しむデザート各種」(10000円)と、日本酒の老舗「山本本家」(伏見区上油掛町、1677年創業)と錫・銀器の老舗「清課堂」(中京区寺町二条、1838年創業)のコラボレーション商品「京都の源兵衛さんセット」(4800円)――の2商品の販売を始めた。
このほかにも、夏のギフトシーズンに向けて、15種類のコラボ商品を企画した。価格は2500円から10000円まで。
「京の逸品 老舗モール」は2000年3月に開設。現在約50店舗が出店、およそ1500点の商品が販売されており、京都の老舗商品専門のオンラインモールとしては最大級。
◆まぐまぐ
メールマガジン配信最大手のまぐまぐ(京都市下京区中堂寺、大川弘一社長)はこのほど、野村総合研究所(東京都千代田区、藤沼彰久社長)とコニカビジネスマシン(東京都中央区、川上巧社長)の2社と共同でオンデマンド出版の実験を開始した。
これは、「リアルタイムパブリッシング」と呼ばれるシステムを用いたもの。新聞社や出版社などのコンテンツを保持する企業が、コンテンツのデータをネットワーク上のサーバーに送信。ユーザーが購入を希望するごとに一部ずつ冊子を作成し、販売するという仕組みになっている。
今回の実験でまぐまぐは、同社が配信するメールマガジンから出版希望を募り、このシステム向けに編集した上で出版。「まぐまぐ文庫」として販売する。まぐまぐは現在、16のタイトルを発行している。
「リアルタイムパブリッシング」では、サーバー上にコンテンツのデータを送るだけで販売までが可能なことから、世界中の新聞を販売することも可能。書店で製本機を導入している場合、在庫を抱えずに一部ずつ必要なだけ販売できる。
まぐクリックと関係強化
メールマガジン広告のまぐクリック(東京都渋谷区、西山裕之社長)は10日、まぐまぐの株式70株を取得し、連携を強化すると発表した。株式はおよそ1億3000万円ほどで取得した。
まぐクリックは、まぐまぐが発行するメルマガを主な広告媒体として扱っている。広告主の要望が多様化していることから、今回の資本参加を通じてまぐまぐと新規媒体を立ち上げる狙いがあるという。
まぐクリックは、これまでもまぐまぐが発行する転換社債を引き受けたほか、まぐまぐに対し女性向メルマガストアの営業譲渡などを行っていた。
◆ローム
半導体大手のローム(京都市右京区西院、佐藤研一郎社長)と物質・材料研究機構(茨城県つくば市、岸輝雄理事長)は5日、無痛針を用いて肝機能を診断できる検査チップを開発したと発表した。両者の共同研究によるもので、このチップを使えば、従来の肝機能検査を簡便に行うことができる。また、検査にかかるコストも大幅に抑えることができるという。今後、医療現場や在宅での実用化をめざす。
チップは、物質・材料研究機構の生体材料研究センターの研究プロジェクト(研究代表者:堀池靖浩氏)にロームが参画する形で開発された。
検査は、シリコンの無痛針によってごく微小の血液を採取。チップ内で血液を分離し、得られた血液の血漿という成分中の酵素の状態を検出する仕組み。
チップ自体の大きさは、およそ2cm四方で、わずか数分間で検査をすることができる。基盤材料にはペットボトルなどにも用いられているポリエチレンテレフタラートを採用。安価で使い捨てが可能となっている。
このチップを用いると、アルコール性肝障害や肝臓ガン、など肝機能に関する検査を行うことができる。従来の検査では、自動分析装置を用いて数時間から数週間ほど時間がかかっていた。このため、今回開発したチップは、日常的な検査や、在宅での検査などに使うことができるという。
このチップに用いた無痛針は、エッチングでシリコン基板上に高さおよそ500マイクロメートル鋭い針を作成したもの。針が肌を刺すと、血液が基板上に設けられた直径100マイクロメートルの細かい穴を通って採取される構造になっている。被験者の痛みによるストレスを低減する。
またこのチップは、採血から検査、診断までの一連の操作を一つのチップ内で連続して行うことを可能にした。検査中は、採取した血液成分と検査の試薬を混ぜる必要がある。両者は、ミクロの溝を掘った基板を組み合わせたマイクロミキサーを開発し、従来試験管の中で行っていた操作をチップ内に収めたという。
今後両者は、医療現場や在宅での実用化を行う方針。このため、測定精度の向上、安全性試験を経て、厚生労働省の承認取得を目指すとしている。
バイオチップ
バイオテクノロジーの機能を小さな基盤上で形成させたチップのこと。
今回のチップは生理的な反応過程をチップに閉じ込めたものだが、生体の機能を電子回路技術に動員しようとするものや、遺伝子工学的な操作をチップ上で行うものなどもあり、用語法は確定していない。
◆マイクロメディックス
医療器具の研究開発を手がけるマイクロメディックス(京都市下京区中堂寺、小久保正社長)が、ミクロのセラミック球を用いたガン治療器具の基本的な技術開発にメドをつけ、このほど本格的な営業活動に乗り出した。この医療器具は肝臓ガンなどに効果があるとされるもの。従来の治療法に比べ、患者の体に負担が少なく治療費も軽減できるという。年内に、実用化に向けた開発パートナーとの契約を目指す。
同社は2001年12月に、当時京大教授だった小久保氏らが中心となって設立した。熱処理技術のネツレン(登記社名:高周波熱錬、東京都品川区、大谷茂久社長)のほか、医療機器メーカーなどから出資を得ている。
これまでに、酸化イットリウムというセラミック材料を用いた微小球による放射線ガン治療器具の技術開発を進めてきた。このほど、京都大学と共同で進めているガン治療の動物実験で一定の成果が得られたこと、治療時の技術開発が進んだことから、実用に向けた営業活動に乗り出した。
実用化するには、臨床試験などを経て医療器具として厚生労働省の認可を受ける必要がある。このため、まずは臨床試験に向けた開発パートナーとの契約獲得を目指す。具体的には、外部のエージェントや代理店などを介して医薬品メーカーや医療機器メーカーなどと契約する考え。これまでに数社との接触があるという。
このセラミック微小球を用いたガン治療は、欧米などで先行事例がある。同様に放射能を持たせるために、酸化イットリウムというセラミック材料が用いられているが、含有量が17%ほどにとどまっていた。マイクロメディックスでは、酸化イットリウムの含有量を100%にした微小球を開発。治療効果を高めることに成功した。
従来の放射線治療に比べ、治療すべき局所のみに放射線を当てることができるほか、開腹手術なども必要としない。また、治療そのものも簡便に済むことから、この治療のために長期入院が必要となることはないという。このため、同社は国内の肝臓ガン患者の4分の1にこの治療を施したとして600億円の市場があると見ている。
◆京セラ
京セラ(京都市伏見区竹田、西口泰夫社長)は5日、中国で太陽電池の製造販売を行う「京セラ(天津)太陽エネルギー有限公司」を設立すると発表した。同社はこれまで、中国の無電化村に照明用ソーラー発電システムを寄贈したほか、辺境地へソーラー発電システムを納入していた。
このほど、中国の天津市政府から会社設立の許認可を受けた。設立にあたっては現地企業の出資も得る合弁形式で行う。設立された会社は、太陽電池モジュールやシステムの開発・設計・製造から中国におけるソーラー発電の販売、施工、メンテナンス・アフターサービスまでを行う予定。
中国で太陽電池の生産拠点を開設する日本企業は、京セラが初めて。京セラとしても海外で太陽電池製造拠点を設けるのはこれが初めてとなる。
今回開設する拠点で生産する太陽電池は2004年末で、年間12メガワット規模となる予定。同社は、グループ全体での生産規模を今後、2003年末には80メガワット、2004年中に100メガワットに拡大していく。併せて生産体制も整備していく方針。
京セラは75年、国内でもいち早く太陽電池の研究開発に取り組み始めた。86年には、現在の主流である鋳造を採用し、多結晶型シリコン太陽電池の量産を開始していた。また、太陽電池の原料となるシリコンウエハーの生産から製造、販売、施工・アフターサービスまで自社による一貫した事業体制を構築している。
中国では、西部地域における「光明工程」と呼ばれる無電化村電化プロジェクトが始動しているほか、2008年に開催される予定の北京五輪、2010年開催予定の上海万博など、国家プロジェクト目白押しとなっている。
◆ジャパンスタイルシステム
スポーツ用品大手のミズノ(大阪市、水野正人社長)は26日、京友禅の意匠を活かしたデザインを手がけるジャパンスタイルシステム(京都市上京区小川通中立売上る、川邊祐之亮社長、http://www.jss-kyoto.jp/)と共同で開発した女性向け水着「千代紙」を6月10日に全国で発売すると発表した。帯状の千代紙を、茶室の天井に使われる竹の「網代編(あみしろあみ)」に織り上げたデザイン。ミズノは、長年水泳を続けているベテランスイマーの間で水着のデザインへのこだわりが高まっているとみており、和風デザイン水着のラインナップをより充実させていく方針だ。
ジャパンスタイルシステムは前身の職人グループ「クロス・ザ・ポイント」時代の2001年夏からミズノの水着デザインを手がけている。今年で3年目になり、企画レベルから商品開発に参画できるようになってきたという。
千代紙は京都の公家が愛用していた金箔などをあしらった色紙や短冊が武家(江戸)に伝わって変形したもの。京友禅とは異なる系統の意匠だが、今年が家康による江戸開府400周年に当たることから、江戸文化をデザインに採用した。
発売するのは男性向け3タイプと女性向け3タイプ。価格は男性向けが1枚5200円、女性向けが1着9200円。全国のスポーツ用品店やデパートなどを通じて初年度2万枚を販売する計画。
ミズノによると、スイミング市場を支えるプールスイマーには、長年スイミングに親しんでいるベテランユーザーが多く、水着の機能性やデザイン性へのこだわりが強いという。特にデザインに関しては、「美しい色や柄」「珍しい柄やデザイン」など『他の人が着ていない、きれい水着』への関心が高いのが特徴だ。
こうした中で和風デザインは第一線の競技スイマーからフィットネス目的のスイマーまで幅広く受け入れられる傾向があることから、ジャパンスタイルシステムとのコラボレーションが継続的に続いているという。
デジタルアーカイブの実用事例第1号
ジャパンスタイルシステムは、産官学連携による「京都デジタルアーカイブ研究センター」から生まれた実用化事例の第1号に当たる。ミズノというユニークな商品戦略を取る企業との出会いが、小さな芽をじっくりと育てているといえる。
同社の前身は和装関連の若手職人でつくるクリエーター集団「クロス・ザ・ポイント」。同集団はデジタルアーカイブ研究センターの研究室を確保し、伝統的な和装関連技法をパソコン上の描画ソフトなどで実現する手法を開発した。ジャパンスタイルシステムの川邊社長はこのうち、手描き友禅の意匠をデジタル描画する技法を踏まえて、衣料品の企画・デザイン・生産流通を手がけている。
最近は和風の意匠のTシャツを開発し、京都と東京で「元禄Tシャツ展」を開くなど、独自の商品開発を強く志向している。川邊氏は、「企画やデザイン受託だけでなく、製造部門と連携を取れる『メーカー』として会社を発展させていきたい」と話している。
◆川島織物
自動車内装材で大手の川島織物(京都市左京区静市市原町、青戸紘社長)は28日、中国・上海に販売子会社を設立すると発表した。自動車メーカー向けの営業体制を強化する。中国で自動車向け高級シート素材への需要が高まってきたことが背景にある。併せて、中国で市場が拡大しているインテリア向け織物製品のマーケティング基盤も整備する。2006年度に4億5000万円程度の売り上げを見込む。
新会社は「上海川島織物貿易有限公司」。資本金は20万米ドルで、本社は上海市浦東新区の上海街高橋保税区内に設ける。従業員は6名で、董事長には川島織物専務の上田一秋氏が就任する。設立は6月末。
主な取り扱い製品は自動車内装材とインテリアファブリックで、マーケティング・輸出入・中国内販売と、中国内の現地工場の管理も行う。
販売先としては、日系企業だけでなく中国の現地自動車メーカーなども想定している。
同社は、中国の自動車業界が生産体制の強化を打ち出していることから、「それへの対応を急務と考えている」としている。また、カーテンなどインテリア向けの需要も高まっているという。
川島織物は日本、中国、アセアン、北米、欧州を市場のコアとしており、各地に生産拠点を分散させて世界最適生産・最適調達の体制づくりを進めている。一方、国内の「本社・市原事業所」と「滋賀事業所」は技術開発の拠点化する方針を打ち出している。
◆サンコール
京都企業各社の決算発表が集中する5月。今年は黒字見込みから赤字に転落する企業や、大幅赤字から黒字転換し「V字回復」を達成した企業などまだら模様だ。長引くデフレ不況の中、回復基調に乗った企業は、どんな「筋トレ」をして、新しい収益構造を確立しようとしているのか。営業利益が大幅に伸びた精密部品メーカー、サンコール(京都市右京区梅津、今ア勝弘社長)の製造現場を訪ねた。
前年比100%増益
サンコールの2003年3月期連結売上高は約255億円。前期に比べおよそ10%ほどの伸びにとどまった。これに対して本業での利益を示す営業利益は26億3000万円近くに達した。対前年比100%近い増加だ。
同社の主力事業は自動車向けの素材・部品製造。売上ベースで6割以上を占める。その中でも弁ばねと呼ばれるエンジンに使われる部品製造は得意な製品の一つとなっている。本社工場と愛知県の工場から各自動車メーカーに日々納品されているものだ。
弁ばねとは、自動車のエンジンで吸気排気をするバルブの上部に取り付けられるばね。エンジンの燃焼室近くの高温環境で何万回となく縮んだり伸びたりすることが要求される部品だ。国内自動車メーカー向けには最終製品を、海外メーカー向けには弁ばねの材料製品を販売している。
03年3月期の売上高増加は、この自動車向け弁ばね部品が大きくけん引した形になった。自動車部品分野だけを見ると、対前期比11%の伸び。金額では全売上の63%を占める160億円だ。電子・情報機器関連の部品売上も対前期比23%以上伸びているが、売上規模は自動車部門のほぼ半分。増収効果は自動車部門のほうが大きい。
この自動車向け弁ばね部品が伸びた最大の背景は、各自動車メーカーが昨年しのぎを削った新型コンパクトカーの投入にある。サンコールは、コンパクトカーに必要な弁ばねを供給できたわけだ。
コンパクトカーを作る最大のネックは部品の小型化と軽量化にある。板金の厚さが1mm違うだけで大幅な軽量化が実現できる。軽量化は燃費の向上にもつながるため、自動車メーカーは細かい部品1つ1つの仕様を見直すことになる。弁ばねもこれに漏れず、軽量化が要求された。コンパクトカーに用いられる弁ばねは特に、高温環境で小さく、かつ何万回何十万回という伸縮に耐えられる強度が必要とされる。このとき、サンコールの強みが全面に出ることになった。
弁ばね軽量化に成功
同社は1943年、三興線材工業として創業以来一貫して材料から部品作りに取り組んできた。弁ばねに関しても、大手鉄鋼メーカーと素材から共同で開発し、人事交流までも行っている。この中で、向上の生産ラインで加工しやすく、強度も保てる素材作りに取り組んだ。
弁ばねは、線材(断面が円形の細い鋼材)に一定の前処理と加工を行い作られる。狭い穴に線材を通し、絞るような形で引っ張り出して必要な太さに加工するものだ。従来の弁ばね素材は、断面が円となっているものが主流。しかし、コンパクトカーに用いる太さで円形にすると必要な強度と耐久性が得られない。断面をわずかにだ円形にすることで必要な強度を確保した。
この材料から作りこむ点と、形状を工夫した点が強みになった。
ナノテク開発力強化へ
同社の大幅な増益を支えたのは、こうした本業での収益増加に加えて、経費節減の果たす役割が大きい。98年、仕入れ原価を全面的に見直す「原価改善活動(GKK)」に着手。期の初めに各部署が目標値を定め、4半期ごとに厳格な評価と目標の再設定を行うものだ。この活動を始めて5年、全社員が土曜日に出社して取り組むこの活動が定着してきたという。
また、2001年度からは執行役員制度を導入。成果主義にもとづく責任と権限の明確化と意思決定のスピードアップに取り組む。2002年度からは、事業部ごとに分かれていた営業部門を全社に統合。今年度からは国際営業部を新設し、海外営業に積極的に乗り出し始めた。
本社敷地内には現在、ナノテクセンターの建設が進められている。超高精度の技術開発を行う施設で、部門ごとに分散している開発スタッフ約150名が今秋にも完成するセンターに結集する予定だ。分散していた技術者の交流を図り「電子・通信機器で培った技術を自動車部品に応用するなど、社内の技術開発にヨコの繋がりを持たせることが狙い」(業務企画部)という。
◆武田総合病院
医療法人医仁会武田総合病院(京都市伏見区、武田隆久理事長)はこのほど、ウェブを通じて健康診断をするシステムを本格的にスタートさせた。インターネット上から申し込みができ、利用者が自分で検体を郵送することで簡便に健診するもの。健診結果と項目ごとに応じた解説はウェブ上で確認でき、検査履歴も管理できる。家族や友人にギフトとしてプレゼントすることも可能で、医療機関の少ない地域住民や多忙な人に需要があるとみている。
この健診システムは「気づいてネット」(http://www.kizuitenet.com/)。血液検査を元に生活習慣病の予防検査をするキットとオプションでクラミジアの検査ができる。基本キットが5800円(税別)でクラミジア検査キットは3000円(同)とした。
このシステムでは、インターネットや携帯電話などから申し込むと検査キットが送られてくる。自分で簡単に採血や検体を採取する。専用容器で病院宛に郵送すると、12種類の項目で検査がされる。この臨床検査は、医療検査会社のいかがく(京都市伏見区羽束師、久川芳三)が担当する。
検査結果は全てオンライン上で管理され、完了すると電子メールで配信。ネット上の専用ページで利用者自分のデータを確認できる。この際、ネット上には検査項目に応じた解説や、健康時の数値などが表示される仕組み。また、データを履歴管理することから項目ごとに時系列でグラフ表示をすることができる。
これらのシステムにより、利用者が自分で健診を行いながら健康管理をできるようにした。同病院は、多忙な人などが気軽に健康検査を受けることで予防医療を進めるとしている。
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