京都企業の動き


◆エニイワイヤ

 
工場向けに省配線システムの開発・製造を手がけるエニイワイヤ(京都府長岡京市井ノ内、斎藤善胤社長)はこのほど、生産ラインに設置されている機器の電力量を計測するシステムを開発した。このシステムは、個別の生産機器ごとに使用電力量を計測できるもの。個別の電力使用量が分かることで、機器1つ1つの使い方に合わせた省エネルギーができるようになるという。企業の生産設備のほか、サーバーのレンタルなどを手がけるIT系企業などをターゲットに販売活動に乗り出す。

 エニイワイヤが開発したのは、電圧と機器ごとの電流を計測し、電力量を計測できる機器システム。同社が保有する省配線システムを応用した。
 このシステムはまず、生産機器につながっている既設の電線に1つずつ、クランプと呼ばれる電流計測用の小型機器を設置。既設の配電盤から電圧を測定するための配線と合わせて、個別のクランプから電力測定用のターミナルへ配線を行う。
 電力量は、電圧と電流量をかけ合わせた数値で求めることができる。配電盤上の電圧は一定であることから、個々の機器に流れる電流量を計測すれば、個別の機器ごとに電力を計測することができる。このため、電力測定ターミナルでは、生産機器ごとの電流量を電圧にかけ合わせ、電力量を計測。計測したデータを変調し、既設の汎用電線で発信する。
 発信されたデータは、デジタルデータに変換するための機器に運ばれ、企業内のイントラネットに乗せることができる。デジタルデータに変換されたデータは、サーバーなどに蓄積できるほか、パソコン上で分析を加えることもできる仕組み。
 従来、電力計測用のシステムは、コストと配線のための手間が大きかったという。道路に例えると、計測したい機器から直接、1本ずつ専用道路を敷設して1台の車で1人の人間を運ぶような構造だった。これに対し、今回のシステムの場合、幹線道路を敷設し、大型バスを走らせて1度に多くの人を運ぶ構造になる。
 具体的には、電力測定ターミナルでは16個の生産機器の電力を同時に測定することが可能。測定されたデータは、ほかのデータと混在しないよう印をつけられる。既設の汎用電線でデータを運ぶ際に、電流、電圧、周波数、パルスと4つの変調を同時に使うため、“4車線”を使うことになる。
 同社は今回、数千台規模でサーバーレンタル事業を手がける企業からの要望で2003年9月、電力計測システムの開発をスタートさせた。同年11月には、基本システムが完成。このほど、本格的な販売活動に乗り出した。
 従来の電力計測システムに比べ、およそ2分の1から3分の1程度のコストで導入が可能という。すでに、大手メーカーの半導体製造工場で導入されているほか、レンタルサーバー会社への納入など複数の商談が進んでいる。
 エニイワイヤの齋藤社長は「京都議定書で二酸化炭素削減の数値目標が設置され、企業の省エネが具体的な目標として課題になっている。生産現場で電力量を削減するには、どの機械がどれだけの電力を使っているかを最初に知ることが必要。こうした省エネニーズだけでも大きい」と話している。



◆ソフィア・クレイドル

 
携帯電話向けソフト開発を手掛けるソフィア・クレイドル(京都市左京区田中関田町、杉山和徳社長)はこのたび、携帯電話用基本ソフト(OS)「BREW」に対応して、画面サイズの拡張や複数のアプリケーションを同時に表示できるソフト「ソフィア・ウィンドウズ」を開発。商品化に乗り出した。同社によると同ソフトにより画面サイズの制約なく、携帯電話向けのマルチウィンドウ型アプリケーションを開発することが可能になったとしている。同社はコンテンツプロバイダーやBREWを搭載する国内外の携帯電話キャリア会社へ同ソフトの採用を拡大し、ライセンス収益につなげていく戦略だ。

 これまでは携帯電話でメールなど1つの機能を立ち上げると、画面が固定されるため1度消さないと次の機能を起動することができなかった。ソフィア・ウィンドウズでは携帯電話の画面サイズを仮想的に拡張。パソコン画面のようにメールやアドレス帳など、複数の機能を同時に立ち上げて閲覧することが可能になる。画面サイズの制約がなくなることからエクセルやワードなど、大きなデータもスクロールして見ることができる。同ソフトはコンテンツプロバイダーがコンテンツに組み込んでいれば、BREW搭載の携帯電話利用者はコンテンツをダウンロードするだけで利用することが可能。
 同ソフトが対応しているBREWは、米国のクアルコムが開発した携帯電話の統一規格OS。現在、世界では23の携帯電話キャリア会社が採用している。日本ではKDDIがBREWを採用しており、同社の携帯端末でソフィア・ウィンドウズの利用ができる。
 ソフィア・クレイドルは同ソフトの事業展開を進めるため、新しいアプリケーションを制作するためコンテンツライブラリーの販売と、同ソフトをもとに開発会社が制作したコンテンツをダウンロードした個人利用者から月額使用料の5%を同社の収益とする、2通りのビジネスモデルを描いている。
 同ソフトの価格は1アプリケーションにつき30万円。ソフィア・クレイドルのホームページで受け付けている。同社によると今年は国内のコンテンツプロバイダーを中心に顧客を増やし、来年以降は国内外のキャリア会社へ同ソフトの採用を働きかけていきたいとしている。また1顧客につき3000万円でソースコードを公開するとしている。同事業の今年の売上目標は200アプリケーションライセンス、6000万円。来年は海外での展開も視野に入れていることから3億円の売上げを見込んでいる。
 また、今年後半にはNTTドコモの第3世代携帯電話FOMAのOSとしてリナックスやシンビアンの搭載が計画されていることから、これらに対応したソフィア・ウィンドウズを開発して採用を働きかけていくとしている。



◆ビーコス

 
翻訳や人材派遣サービスを手がけるビーコス(京都市左京区吉田、金春九社長)はこのほど、遠隔会議システムのサービス提供を始めた。これは、ライブカメラと音声マイクをパソコンに設置し、インターネットを通じて会議や通話ができるもの。月々の利用料を1000円に設定。企業の遠隔地会議システムや個人向けのテレビ電話として、販売に乗り出す。

 同社が始めるサービスは、「VOIM (Video On Internet Messenger)」。韓国の電子機器メーカーからライブカメラとマイク付きヘッドフォンを仕入れ、機器販売も合わせて行う。
 このサービスでは、サービス提供の基盤となるサーバーを韓国に設置。同国内では、通信環境が整っているほかサーバー管理費が安いことから利用料を低く抑えられたという。
 また、韓国の市内通話料金が1分間に日本円でおよそ2.5円ほどであることから、韓国へのネット電話サービスとしても利用できるという。
 同社は1998年、金社長が当時の留学生仲間6人と共同事務所を立ち上げたのがきっかけ。京都市内の大学に通う留学生をスタッフとしてネットワーク化し、企業などから翻訳業務を請け負うビジネスモデルを構築した。2001年10月に株式会社化した。
 これまで、大手企業などから翻訳業務を受託するほか、人材派遣サービスを提供。留学生のネットワークを背景に現在、104ヶ国におよそ3000人のスタッフを登録しており、翻訳業務では82の言語に対応する。
 今回の遠隔会議システムのサービス提供は、こうした留学生のネットワークから入る情報がきっかけという。同社の金社長は、「留学生のネットワークを新しいビジネスチャンスを生むプラットフォームとして活用していきたい」と話している。



◆尾池テック

 金銀糸など装飾材料の製造を手がける尾池テック(京都市上京区智恵光院通今出川上ル桜井町、宇野允社長)はこのほど、繊維に竹炭と純銀をコーティングする技術を開発し、同技術で作った繊維素材で作ったベストを商品化した。この製品は、金銀糸の製造に使われる技術を応用したもの。繊維を炭や銀でコーティングすることにより、繊維自体に消臭などの効果を持たせることができるという。同社は今後、機能性繊維素材の開発を進め商品ラインナップをそろえる方針だ。

 尾池テックが開発した繊維素材は、「竹炭シルバーフィルム」。このフィルムは、ポリエステルやナイロンなどの繊維原料にまず竹炭の粉末を蒸着。次に、金銀糸を作る技術を応用して純銀を蒸着させたもの。コーティングした炭により保温効果や消臭効果が、純銀により抗菌効果や電磁波の遮断効果があるという。
 同社は2002年、新事業立ち上げの一環として機能性繊維素材の開発を開始。竹炭を安定的に蒸着させる技術を確立したことから、竹炭と純銀をコーティングしたフィルム開発に乗り出した。2003年にフィルムの量産化が可能になったことから、秋にベストとして商品化した。
 現在、繊維素材として「竹炭シルバーフィルム」の糸を製造販売するほか、この素材を使ったベストを製造。このほど、アパレルの卸会社を通じて販売活動に乗り出した。
 同社は今後、蒸着技術を応用した機能性素材と商品の開発を加速させる方針。燃えにくい糸(難燃糸)の研究に取り組むほか、数百本の繊維糸をより合わせた太目の糸に竹炭成分を加えた製品を開発している。
 尾池テックの渡部伸二常務取締役は「和装業界全体が低迷するほか洋装も以前のような伸びを見せない上京。伝統的な蒸着技術を応用して機能性の高い素材や製品を開発することにより、新たな収益の柱を作りたい」と話している。
 尾池テックは、刺しゅう用金糸製造販売店として1876(明治9)年に創業した尾池工業(京都市下京区仏光寺通西洞院西入ル、尾池均社長)の子会社。尾池工業の加飾材料部門を分離独立させ、1998年に設立された。
 尾池工業は1951年、真空中で金属を蒸発させ、ポリエステルやナイロンなどのフィルム表面に金属の皮膜をつくる真空蒸着技術を導入。従来、手作業で行われていた金銀糸などの装飾素材の製造に量産化の道を開いた。現在、同社は真空蒸着技術を利用して工業部品、包装材料など様々な用途で利用されるフィルムを生産している。
 尾池テックは尾池工業の供給するフィルム素材を、二次加工して金銀糸や装飾素材などを制作、販売している。繊維のほか蒸着技術を応用して包装用の軽くて光沢のある塗装用の金属粉を製造・販売している。西陣の和装生産者や洋装メーカー、海外のアパレルメーカーなどが主要な顧客。また同社の生産は、尾池工業や外部の工場に委託する体制を構築。尾池テックは製品開発と営業に特化した事業展開を行っている。


◆京都リサーチパーク

 京都リサーチパーク(以後KRP、京都市下京区中堂寺南町、浅井邦茂社長)の一角で、このほど新しい施設の建設が始まった。2001年6月に6号館が完成して以来、およそ2年ぶりの新施設建設となる。同施設には大手のコーヒーショップやレストランが入居する予定で、今年夏の開業を目指している。 新施設が建設されるのはKRP西地区の七本松通と五条通に面した角地で、これまで駐車場などに利用されていた場所。同施設には東西に2棟の建物が配置されることになっており、東側の建物にはレストラン、西側にコーヒーショップが入居する予定。新施設の建設に伴い、五条通側には自動車の出入口が2カ所設置されるという。

 同施設建設の関係者であるKRP企画部の鈴川和哉開発室長によると、もともとKRP周辺に飲食店などが少ないという問題を解消するため、アメニティ施設を設置しようという構想は以前からあったという。同室長によると新施設の設置計画が具体化したのは約1年前。テナント企業を対象に行ったアンケート結果などを踏まえて、誘致する飲食店を決定した。しかし、既存のKRP施設内で営業したのでは利用者が限定されるため採算がとれないとの判断から、より幅広い需要を見込んで五条通に面した新施設を建設することになった。これにより周辺地域の住民や五条通を通行する人たちの利用も期待できるとしている。
 KRP広報部の細江隆志さんによると「KRPで働く人々に充実した施設を提供したい。入居企業の方々の食事や仕事の打ち合わせ、休息などに利用してもらいたい。また、外に開かれた施設として地域住民などの利用も期待している」と話している。


◆秋江

 
全国の社寺向けに西陣織のお守り袋を製造する秋江(京都市上京区堀川通上立売下ル、秋江義弘社長)はこのほど、自動織機を用いて幅が約1m80cmの織物を織る技術を開発した。一度の織工程で表裏にそれぞれ異なる柄を描くことができるもの。長さは、必要に応じて数メートルから数十メートルまで織ることができる。従来、西陣織帯地の場合、幅は9寸(約27cm)長さは1丈2尺(364cm)が基準。写真や絵画などのデジタルデータで柄を配し、巨大織物のタペストリーとして商品化に乗り出す。

 同社が開発したのは、多重織と呼ばれる織物技術を応用したもの。従来の織物は、経糸(たていと)を1つ置きに引き上げ、緯糸(よこいと)を通すことで文様を織る。このため、経糸と緯糸が1点に1対1で交差する。
 多重織では、十数本の緯糸を使用。経糸が1に対して緯糸は多の関係で交差することになる。同社は、この緯糸に使う糸の色を重ねる順番を変えて織る技術を開発。表面に出る色が立体的に見えるほか、色を重ねるような表現が可能になった。また、一度の織工程で表と裏の文様を変えて織ることも可能になった。
 技術開発にあたり、同社は新たに経糸の引き上げを制御する電子ジャカードを導入。コンピュータグラフィックで作成した文様データを直接ジャカードに伝えることで、文様を織るノウハウを開発した。
 この技術により、写真や絵画などのデジタルデータから直接、巨大タペストリーの織物を織ることができる。また、水彩画の微妙な筆のタッチや、絵具の濃淡のほか、写真を精密に織物で描くことができる。
 これまでに、小学校の絵画コンテストで優秀作品となった絵画や寺院の建物写真をタペストリーの試作品として作製。それぞれ小学校と寺院に寄贈した。また、ライトペンを使って写真原版に絵を描く現代アーティストのジミー西村さんの製作した坂本龍馬のアート作品を織物に織り、博物館に寄贈した。
 同社は、社寺向けのお守り袋の製造・販売が売り上げの大半を占めている。お守り袋のデザインを多様化することが求められたことから、コンピュータグラフィックを使ったデザイン手法を開発。袋の形状や柄、配色などを自由に配置して、少量多品種のお守り袋製造に対応してきた。
 1996年頃にこのデザイン手法が「自社商品の開発につながる」(秋江社長)として巨大織物の技術開発に着手。2000年から、一部で試作品の製作を始めた。
 同社は今後、個人や博物館、寺社などに向けた商品開発に乗り出す。これまで開発した技術のコストダウンを進め、幅1.5m長さ1.2mほどのタペストリーを10万円台で提供することを目指す。


 
◆村田機械

 
産業向けに繊維機械や情報機器の製造を手がける村田機械(京都市伏見区竹田、村田大介社長)はこのほど、ゴルフシャフトを開発した。このシャフトは、炭素繊維の複合素材を組みひもの技術で編み込むことにより作ったもの。組みひも技術の応用で、シャフトの剛性を自在に設計できるという。同社はこれまでに、社員や取引先などを対象に試験販売を実施。マーケティング戦略を確立した上で、商品化に乗り出す方針だ。

 村田機械が開発したゴルフシャフトは、「MUSCLEBRAID(マッスルブレイド)」。剛性の異なる2種類を開発。同社社員や取引先などを対象に、これまで約100本を定価24000円(税別)で試験販売した。
 炭素繊維の複合素材を用いたゴルフシャフトは従来、シート状の素材を巻く形でシャフトに成形する方法が主流。今回、村田機械が開発したのは、炭素複合素材の糸を編み込むことでシャフトに成形する技術だ。
 具体的には、組みひもの原理を応用。3方向から炭素複合素材の糸を編み、筒状のゴルフシャフトに仕上げる。従来のシート素材を巻く方法に比べ、強度の境目が出来にくいほか、必要に応じて飛距離や安定性、剛性などを設計することができる。また継ぎ目がない均一な肉厚のシャフトを作ることが可能という。
 同社が開発した技術では、筒の軸方向に斜めに編まれる糸の角度を調整できる。編み込みの最初と最後で角度を次第に変えていくこともでき、シャフトのねばりやしなりを滑らかにすることができるという。
 同社は2001年、炭素繊維やガラス繊維の複合素材を使った製品開発の一貫としてゴルフシャフトの開発を開始。2003年春に試験評価を行った。これまでに試験評価機関で製品の評価を行うほか、プロゴルファーに実際に使ってもらうことで商品化に取り組んでいる。
 今後時期を明確にしていないものの、すでに年産2万本が可能な生産技術を確立しており、マーケティング戦略を描いた上で販路や価格など商品化に向けた検討を進めるとしている。



◆クロイ電機洛照会

 
照明器具メーカー中堅のクロイ電機(京都市下京区西七条八幡町、松浦敏朗社長)を退職したOBたちの集まりであるクロイ電機洛照会(会長、臼田諄司氏)が、省エネ・地球温暖化防止の活動に取り組んでいる。電気使用量などの削減を目指して、OBたちがこれまで蓄積してきた家電に関する知識や技術で生かしており、退職者の新しい活躍の場となっている。

 同会の会員の村上薫さんらが会員らの連帯を高めるための事業として参加を呼びかけ、2002年から同会の一部有志が省エネ活動を開始。同年8月、東京に本部を置く財団法人省エネルギーセンター(会長、那須翔氏)によって「クロイ電機洛照会省エネ共和国(大統領、臼田諄司氏)」として認定された。
 省エネ共和国は独自に省エネや温暖化防止の目標を掲げて活動を行う団体。全国で82の団体や学校が認定されており、認定団体には省エネルギーセンターの支援を受けることができる。
 クロイ電機洛照会省エネ共和国は、01年の電気、ガス、水道の年間使用量を基準として、それぞれの使用量を通年で1%ずつ削減する独自の目標設定をしている。メンバーのうち9家族がこの取り組みに参加して成果をあげている。また、各メンバーがそれぞれ居住している地域で、講演会やパネル展示などの啓発活動、保育園に太陽光発電システムを設置支援などの草の根の活動にも参加している。
 「退職者は時間があり、知識もある。地球環境や温暖化防止に貢献できる省エネ活動にはやりがいを感じるし、電気のやりくりを楽しみながら取り組める」と村上さんは話す。
 同団体は2月20日、大阪で行われる第4回省エネ共和国サミットに参加し、活動内容の事例発表を行う予定だ。



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