京都企業の動き


◆ジュピター

 おもちゃの企画・開発を手がけるジュピター(京都市伏見区周防町、中山誠社長)が、指紋認証技術を取り入れたゲームの開発を進めている。身体障害者向けに、ゲームのコントローラーなどの入力手段の改良を試みる事業の一環だ。現在、京都府立京都すばる高校(京都市伏見区向島西定請、的場敏信校長)と連携しながら、企画を検討している段階だ。ゲーム業界で指紋認証技術を導入する動きは珍しい。

 ジュピターの中山社長が、指紋認証技術に着目したのは昨年の11月。この技術は身体的特徴で個人を認証する、バイオメトリクス認証技術の一つ。オフィスなどへの出入りを管理するセキュリティシステムで、すでに利用されている。情報の入力が簡単であることから、身体障害者向けに応用できないだろうか、と企画の構想を始めた。
 一般に市販されているゲームは健常者向けに作られている。通常、ゲーム用のコントローラーは指を多く動かす必要がある。そのため、身体に障害のある人がゲームを楽しむことは簡単ではない。同様に楽しむためには指示を与える方法を簡単にする必要がある。そこで着目したのが、指紋認証技術を応用した操作の入力方法だ。
 中山社長によると、指紋認証技術を使うとしても、当初の段階では精度の高いものを作ろうという意図はないという。現在、具体的な構想としてあるのは「相性占い」などのミニゲーム。指紋を読み取ることで、プレイする人に説得力を与えるようなゲームの開発を目指しているという。
 現在「検討中の段階」(中山社長)としながらも、今後1年をめどに開発を進めていきたいとしている。
 同企画を進めるにあたって克服しなければならない課題はコストの問題だ。指紋認証技術は高額なため、商品化するためには低コスト化を実現しなくてはならない。また、開発するゲームに「指紋認証技術を使わなければならない」必要性を提示することも課題としている。
 中山社長は昨年12月、商品開発の一つの試みとして、京都すばる高校に働きかけた。授業で協力している同校企画科1年生から「指紋認証技術を使ったゲームの開発」の企画案を募る。その結果、80余りの企画が集まった。それらの中には、赤ちゃんの育成をシュミレートするものや、シューティングゲームなど様々なアイデアが出された。ジュピターはこれらの企画案を検討して、商品化へ向けての可能性を探るとしている。
 ジュピターは指紋認証技術を使ったゲームの開発を新規事業と位置付けている。企画構想中の段階としがらも、音声認証やタッチパネル方式など、様々な入力方法を検討していきたいとしている。すでに任天堂など、大手のゲームメーカーへも働きかけているという。
 中山社長によると、入力方法を多様化しようという発想は、現在のゲーム業界には乏しいという。そのため、結果的に身体障害者への配慮がされていなかった背景があるという。「実現するかどうかは未定だが、可能性を探る価値は充分にある」と意気込みを語った。 



◆オムロン

 関西私鉄の共同乗車チケット発行などを行うスルッとKANSAI(大阪市中央区、新谷和英社長)とオムロン(京都市下京区、作田久男社長)は、自動改札機に連動した携帯電話向け情報配信サービスを始める。両社12日、このサービスを提供する会社を合弁で設立。スルッとKANSAIがインフラの提供と会員募集を、オムロンがシステムの構築・運用を担当する。
 この合弁会社は「PiTaPa(ピタパ)グーパス」(大阪市中央区、浜瀬富雄社長)。資本金は1億円で、オムロンが65%、スルッとKANSAIが35%を出資。従業員数は6人。
 新会社が始めるのは、携帯電話向けのメール情報配信サービス。自動改札を通過時に利用者の携帯電話にイベント情報や広告情報などを配信する。
 具体的にはまず、利用者が自分の年齢や性別、頻繁に利用する乗降駅、趣味などの情報を登録する。利用者が乗車のために駅の自動改札を通過すると、10秒程度で自動的にイベント情報などを携帯電話にメール配信する。降車のため自動改札を通過すると、降車駅周辺のイベント情報のほか、商業施設のバーゲン情報などを同じようにメールで配信する。
 いずれも携帯電話を、自動改札機に触れることで配信を行う仕組み。利用者は登録情報を変更するなどカスタマイズすることにより、受け取る情報を選ぶことができる。
 収益構造は、広告収入により確立する。私鉄沿線にある商業施設やイベント主催者が主なターゲットという。顧客が登録した属性情報に応じて、配信する情報を選別することから、「広告効果は高い」(スルッとKANSAI広報担当者)としている。
 現在、関西私鉄事業者などで組織するスルッとKANSAI協議会が情報誌と連携するほか、加盟店向けの代金決済サービスとも連携する方針という。



◆京セラコミュニケーションシステム

 京セラの子会社で情報通信サービスなどを提供している京セラコミュニケーションシステム(KCCS、京都市伏見区竹田鳥羽殿町、森田直行社長)はこのたび、USBキーでイントラネットに接続できる企業向けメールサービスの提供を始めた。認証機能を充実させることで、送受信の際のセキュリティを大幅に強化している。KCCSは同サービスを提供することにより、企業メール活用の場を広げることを狙いとしている。

 同メールサービスは、KCCSが提供しているビジネスポータルサイト「BizW@lker」に新しく追加された機能。インターネット経由で機能を期間貸しするアプリケーション・サービス・プロバイダー(ASP)で提供されている。パソコンだけではなく、携帯電話やPDAなどの各種情報端末から会社のイントラネットに接続し、社内メールを送受信することができる。
 同メールサービスは、統合認証ソリューションである「ネット・ビューロー」と組み合わせることで機能の拡張が可能。オプションとしてユーザー情報の認証にUSBキーが利用できる。この時使用される個々のUSBキーには、1人1人のユーザー認証情報があらかじめ入力されている。このため外部のパソコンを使用する場合でも、USBキーを差し込めば自動的にユーザー情報を認証し、メールの送受信ができる。
 同サービスを導入することにより、オフィスの外からでもイントラネットと同レベルの安全性でメールの送受信をすることができる。セキュリティ機能を向上させることにより、社内メールの活用の場をより広げることが同サービスの狙いだ。
 営業や保険会社の外交員など、外勤スタッフを多く抱える企業への需要が見込まれている。KCCSは大手企業を主なターゲットにして、同サービスの導入を働きかけていきたいとしている。 同メールサービスの基本使用料金は1つのIDにつき月額1000円。USBキーの認証には別途料金が必要。利用数によって料金は変わってくるが、100名規模で使用する場合の認証料金は123万9千円(税込み価格)が目安となっている(KCCS広報部)。KCCSは50社程度の企業ユーザーを見込んでおり、今後2年間で1億円の売り上げを目指している。
 KCCSによると「これまでのBizW@lkerのユーザーはもちろん、新規のユーザーの獲得も目指していきたい」(広報部)としている。



◆キョークロ

 
金属の表面処理を手がけるキョークロ(京都市山科区東野、寺田理社長)はこのほど、機能性の高いコーティング加工を始めた。この加工は、多色の色付けが可能で腐食防止効果が得られるほか、環境対応としてクロムを使わないコーティングもできるもの。少量多品種で加工ができ、携帯電話のアンテナ基地局に使われる部品などで需要が高まりつつあるという。同社は、機能性加工処理のラインナップをそろえ、新規の顧客開拓を加速させる。

 キョークロがこのほど開発した加工処理は「キョークロマイコート(舞妓塗)」。製品に応じて付加する機能を選べるほか、10色の中から自由に色づけすることもできる。また、環境対応として人体に害があるとされるクロム酸を使用せずにコーティングが可能としている。
 従来のめっき・コーティング加工は、まずネジやボルトなど加工する部品に亜鉛やアルミなどでめっきを施す。このめっき後、クロム酸を使ってコーティングすることにより、腐食の進度を抑制させた。
 同社が開発したこのコーティング加工は、亜鉛やアルミなどでめっきを施す工程までは同じもの。めっき後のコーティングにポリエステル樹脂を用いたコーティングをすることで、腐食を抑制させる仕組みだ。
 具体的には、ネジやボルト、ナットなど金属同士を接合する部品に厚みが5〜8ミクロンの亜鉛めっきを施し、その上に5〜8ミクロンの厚みでポリエステル樹脂をコーティングする。亜鉛めっき表面にが腐食し、溝やキズができるとその中にポリエステル樹脂が流れ込む。このため、部品の表面が平らに保たれる。
 同社はこのコーティング工程の開発に伴い、京都市山科区の本社工場で少量部品の表面加工ができる生産設備を整備する。このほど、小型のコーティングマシンを導入。300坪ほどの工場スペースを新築し、コーティングの加工ラインを整備する。
 同社は従来、山科区の本社工場ではめっき加工を、滋賀県栗東市の滋賀工場ではコーティング加工を行っていた。滋賀工場では、試作や開発段階の少量部品に対応した小型コーティングマシンを備えている。今回本社工場に導入した小型コーティングマシンは、少量品のコーティングに対応したもの。試作や開発段階の部品は従来通り、滋賀工場で行うとしている。
 キョークロの寺田社長は「携帯電話のアンテナ基地局向けの部品は現在、月産で1万5000個ほど加工処理している。デジタル家電や自動車の情報化・高機能化に伴い、少量の機能性部品のニーズも高まる。こうした先端分野での少量品加工に対応し、こちらから技術提案や商品提案をすることで、需要を開拓できると考えている」と話している。


 
◆大日本スクリーン製造

 
大日本スクリーン製造(京都市上京区、石田明社長)のFDPカンパニー(津田雅也・カンパニー社長)は、TFT液晶ディスプレー用製造装置の生産スペースを従来に比べおよそ65%拡張し、5月から生産体制を増強する。液晶に使われるガラス基板が大型化しているほか、アジアを中心に液晶ディスプレーの需要が拡大。装置の大型化に伴い、生産スペースの拡張が必要になったという。

 現在、液晶ディスプレー用のガラス基板は、第6世代と呼ばれる幅1500mm長さ1800mmのものと、第7世代と呼ばれる幅1870mm長さ2200mmのものなどが中心になっており、大サイズ化が進んでいる。ガラス基板が大サイズ化すると、1枚のガラス基板からより多くの液晶ディスプレー用パネルを生産できるため、生産効率が上がるというメリットがある。
 同カンパニーはこのほど、彦根地区事業所内の遊休スペース3200uを生産スペースに転用。クリーンルームなどの設備を新設し、およそ8100uの生産スペースとして衣替えした。また、同カンパニーの2003年12月末の受注高が、2003年3月末に比べ2.4倍に拡大。今後、アジアに拠点を置く液晶パネルメーカーの設備需要に応える。
 具体的には、第7世代に対応したTFT液晶ディスプレー用塗布現像装置を今年の夏に新たに投入する。この装置では、30インチクラスの液晶パネル生産のほか、40インチ50インチのパネルにも対応するという。
 この新たに投入する製造装置は仕様により異なるものの、1台12億6000万円、初年度年間で15〜20台の販売を見込むとしている。



◆フューチャースピリッツ

 
ウェブプロデュースやレンタルサーバー事業などを手がけるフューチャースピリッツ(京都市下京区中堂寺、谷孝大社長)はこのほど、東京都渋谷区に事務所を開設した。同社は従来、東京にも多数の顧客を有しするが、拠点を設けず個別に対応していた。東京に拠点を設けたことにより、既存顧客へのサポート体制を強化するほか、関東方面で新規の顧客開拓に取り組む方針という。

 フューチャースピリッツが事務所を設置したのは、東京都渋谷区恵比寿。同社は先月、ウェブサイトや携帯電話向けコンテンツ開発などを手がけるビー・ティー・ビー・ダブリュ(東京都世田谷区、安井裕人社長)の事業を統合した。この事業統合を受け、フューチャースピリッツは、ビー・ティー・ビー・ダブリュのスタッフを引き継ぐ形で東京に拠点を開設した。
 フューチャースピリッツの顧客構成比は、およそ50%が東京方面の顧客で残り50%が関西方面という。これまで、レンタルサーバー事業の顧客やウェブプロデュースの顧客などに対し同社は、京都から個別にスタッフを派遣し、対応した。今後、ビー・ティー・ビー・ダブリュのスタッフが東京拠点で常時、顧客のサポートができる体制を整える。また、サポート体制が整った段階で新規の顧客開拓体制を構築。特に、需要の多い関東方面での営業活動を活発化させる。



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