京都企業の動き

◆マミヤ都市開発

 不動産仲介を手がけるマミヤ都市開発(京都市中京区御幸町通竹屋町角、間宮克児社長)は、築年数が20年から30年ほどの古いマンション物件をデザイン性の高い部屋へ改装するプロデュース事業に乗り出す。従来の改装と異なり、部屋の中の間仕切りすべてを取り払って部屋を1つの空間としてプロデュース。マンション自体の古さを活かしながら、資産価値を高めるもの。20代後半から30代をターゲットに、顧客を囲い込む方針としている。
 マミヤ都市開発が始めるのは「Re:BORN cube (リ・ボーン キューブ)」プロジェクト。築年数が20年から30年ほどの中古マンションが対象物件。同社が、商品開発・顧客開発を担当。実際の施工を担当する施工会社、空間デザイナーと連携しながらプロデュースしていくもの。
 このプロジェクトでは、3つのビジネスモデルを想定している。1つ目は、まずマミヤ都市開発が中古マンションを取得。空間プロデュースと改装を施した上で、パッケージング化された商品として販売するパターン。2つ目は、老朽化などで空室率の高くなったアパート・マンションのオーナーにアプローチするもの。建物ごと改装を施し、入居者の募集や管理までも行うパターン。3つ目は、このプロジェクトにに興味をもつエンドユーザーから直接プロデュースと改装を受注するもの。ユーザーが購入した中古マンション、あるいは現在居住するマンションを対象にプロデュースと改装を実施するパターン。
 この事業では、改装後の物件を販売するほか賃貸することも可能。販売では、京都市内の物件を中心に、価格を1500万円前後に抑えた物件を提供する。賃貸とし提供する場合、物件により異なるものの、共益費込みでおよそ10万円前後の価格帯になる見通し。
 顧客ターゲットとして設定したのは、20代後半から30代の独身者。顧客の獲得と囲い込みを狙い同社は、プロジェクトに興味のある人々を公募。「Re:BORN cube メンバー」として組織化して、定期的に情報提供をしていく方針。会員公募には、プロジェクトを告知するパンフレットを作成。京都市内を中心にカフェ、バー、インテリアショップなど合計約100店舗に設置して募る。すでに50店舗での設置について了解を得ているという。
 同社は今後このプロジェクトで、毎月2〜3物件のペースで継続的に物件を提供していく予定。初年度売上高1億2000万円を目指し、2年目には売上高で5億円ほどの事業規模に育てる方針。
 マミヤ都市開発の間宮社長は「この手法で、これまで流通しにくかった築年数の古いマンションに個性的な付加価値を持たせられる。居住者の感性を満たす住まいとして、新しい市場を開拓したい」と話している。



◆オムロン

 オムロン(京都市下京区塩小路通堀川東入ル、作田久男社長)は、中期的な経営計画において、新技術の開発と中国事業の拡大を基軸に据えていくことを明らかにした。同社は2007年までに技術開発と中国事業に、あわせて約900億円規模の新規投資を行う。これにより、07年3月期のグループ企業を合わせた連結での売上高7500億円の達成を目指す。

 オムロンは今月発表した2004年3月期の決算短信の中で、中期経営目標達成のための重点課題として「技術を基軸とした成長」と「中国での本格的な事業成長」を掲げている。
 技術面においては、国内を中心に年平均150億円、4年間で総額600億円を新規に投入。同社が得意とするセンサー、制御機器、MEMS(微小電子機械部品)などへの研究開発費や設備投資に充て、新しく生み出された技術を事業化へつなげていく。
 1年ごとに成果と市場性を評価しながら事業の育成を進めていく。技術面における本年度の拠出は143億円。新技術が事業家された場合は、生み出された利益を次年度以降の投資額に積み増していく方針だ。
 中国事業では、生産設備や営業網、流通といったインフラ整備に、今後3年間で300億円の投資を計画。過去3年間の3.5倍に拡大する。部門別では工場向けの制御機器事業に全体の約4割、電子機器事業に約3割を充てる。
 中国市場は景気の過熱により近い将来の失速が予想されることから、06年までに年平均100億円の投資を行い、07年からは成果の回収に入る方針。
 また、現地のマネジメントを強化し、作田社長を議長とした「中国事業戦略会議」を新しく設置。4半期ごとに本社と中国との経営幹部を集め、事業戦略を練る。先日、上海で行われた第1回目の会議で、今後3年間の投資計画と売り上げ計画を策定した。
 オムロンはカンパニー制を導入しており、事業別に(1)制御システム機器、(2)電子・機構部品、(3)車載電装機器、(4)電子決済システム、(5)公共情報システムといった5つの社内カンパニーに分かれている。これまでの新規投資は、各カンパニーの予算の枠内で行っていたが、今後は本社が原資を持ち、カンパニーの事業展開を後押しする。
  同社は、新規投資により07年3月期までに新技術領域で500億円、中国事業で1000億円の売上高増を目指すとしており、連結で売上高7500億円の達成を目指すとしている。


◆京都リサーチパーク

 民間のインキュベーション施設、京都リサーチパーク(KRP、京都市下京区中堂寺南町、浅井邦茂社長)は、バイオ分野に強い弁護士や会計士などの専門職を育成するプログラムを6月に開始する。カリキュラムには細胞生命学や医薬品規制などの講義が予定されている。バイオベンチャーに対応できる専門職を育成することで、起業支援の促進を目指す。

 「新規事業支援者育成塾」と名づけられた同プログラムは、ベンチャーの起業・運営を支援する専門職の育成を目的としている。対象となるのは弁護士、公認会計士、弁理士などの有資格者で、募集定員は25名。
 生命工学の専門家やビジネスコンサルタントらを講師に招き、6月19日から8ヵ月間にわたり計15回の講義を行う。受講生は特許や医薬品規制、ビジネス戦略の構築などについて学ぶ。カリキュラムには米国での研修も含まれており、8月には現地の先進的な事例を視察する予定だ。
 主催者であるKRP大学発ベンチャー推進室は「専門知識を必要とするバイオ分野に対応できる人材が特に不足していることから、同分野をテーマに選んだ」と話している。受講者には、技術者・研究者とのコミュニケーション能力や戦略的アドバイスの与え方などの習得を期待しているという。
 同プログラムはベンチャービジネスに対応できる専門職が不足していたことを受け、2001年にKRPが開設。年ごとに異なるテーマでカリキュラムが編成される。
 過去3年間、約60人が同プログラムを受講。KRPは今年3月には元受講生らを会員とする「KRPIM(インテレクチュアル・ミリュー)会」を設立。研修や情報交換などの会合を開き、会員同士の交流の場としている。
 KRPは仲介役となり会員と起業家たちとのマッチングを支援している。支援を受けた中で、6社がこれまでに法人格を取得、事業展開をしている。


◆ジャパンスタイルシステム


 友禅柄などをデジタルアーカイブ化し、コンピューターグラフィックスでデザイン作成を手がけるジャパンスタイルシステム(川邊祐之亮社長、京都市上京区油小路中立売下ル)は、同社がアーカイブ化したデザインを、インテリア向けに応用する事業に乗り出す。このほど、友禅柄を用いた家具を試作品として発表。家具メーカーなど事業パートナーの発掘を開始した。家具だけでなくインテリア全般にデザインを応用し、年内にも本格的な事業体制を整える方針だ。

 同社は今年2月、東京港区青山のホールで開かれた展示会「京都スタイルカフェ」友禅柄でデザインしたソファ「YUZEN COUCH(ユーゼンカウチ)」を出展した。この展示会は、西陣織工業組合、京都デザイン協会など38の団体で構成する「ファッション京都推進協議会」(会長:吉田忠嗣・吉忠社長)が主催するもの。カフェスタイルの空間で西陣織など京都の染物や織物の繊維素材をPRした。
 会場には繊維業界の関係者や若手デザイナーに加え、一般消費者も来場。訪れた一般消費者から直接、「購入できないのか」といった問い合わせがあったという。
 このため同社は、「友禅柄をあしらった家具などインテリアが一般消費者の需要を掘り起こす」(川邊社長)と判断。友禅柄を使った家具製作で本格的に事業化することを決めた。現在、試作品を発表するプレゼンテーションの機会を探るほか、提携に前向きな事業パートナーの発掘を行っている。
 具体的には、(1)家具・インテリアの大手メーカーと業務提携を締結し事業展開を図る、(2)ジャパンスタイルシステムが独自に開発・製造・販売の体制を整え、自社ブランドとして生産する、(3)中小規模のメーカーと共同で出資し合弁会社を設立した上で事業展開を図る、の3つの方法を模索する。
 同社はこれまで、スポーツ用品向けに友禅柄の応用を進めてきた。このため、インテリア商品の製造・販売などのノウハウはほとんど持っていない状況。このため、「大手メーカーと提携関係により、インテリア業界のノウハウを習得していきたい」(同)としている。
 川邊社長は「マーケットが盛り上がっているため、メーカーに対して企画・提案をしやすい状況。最初はソファという1アイテムに絞って、事業化・製品化を提案する。これを突破口に壁紙やラグ、室内装飾全般など、インテリア全般でデザインを提案していきたい」と話している。
 ジャパンスタイルシステムは、1997年に開始された和装デザインのデジタルアーカイブ研究会が起源。この研究会から若手の職人グループが生まれ、具体的な活用法を模索。2000年7月にこのグループがアーカイブ化した友禅柄がメーカーに採用されたことを受けて事業化を決め、2001年11月に会社を設立。京都のデジタルアーカイブ活動を促進した「京都市デジタルアーカイブ推進機構」(2004年3月に京都高度技術研究所へ事業移管)からのインキュベーション事例第1号となった。その後、2001年秋には、大手スポーツ用品メーカー、ミズノに友禅柄が採用され、シンクロナイズドスイミングなどの競泳用水着として商品化された。


◆サンコール

 自動車のエンジンなどに用いられる弁バネや情報関連機器などの製造を行うサンコール(京都市右京区梅津)は7日、幸元攻取締役・常務執行役員営業部門長が社長に就任するトップ人事を内定した。今ア勝弘社長は、代表権のある会長に就任する。いずれも6月25日の株主総会後、取締役会を開き正式に就任する予定。

 幸元氏は、徳島県出身の59歳。武蔵工業大経営工学科を卒業後、旧三興線材工業へ入社。パソコンのハードディスクに使うサスペンションなど情報関連機器の部品部門が長く、2002年4月からは営業部門を担当している。
 サンコールはここ数年、OA機器や情報機器、通信機器などの部品事業を強化している。自動車部品では弁バネ製造などで材料から一貫して部品までを製造する体制を構築。材料レベルから加工できるノウハウを、情報通信関連部品の製造に応用している。
 昨年末には、本社工場敷地内にナノテクセンターを建設。材料レベルの加工ノウハウをナノ領域にまで深めるため、全社の開発体制を同センターに集約させる方針を打ち出した。特に、精密度が高く要求される情報通信関連製品の技術開発を進める方針。

こうもと・おさむ
1945年徳島出身。武蔵工業大学経営工学科卒。70年にサンコール(旧三興線材工業)へ入社。情報関連機器を手がけるSMP部門で課長、部品事業部長などを経て99年6月に取締役SMP部品事業部長に就任。執行役員制度の導入にともない、2001年から執行役員SMP部品事業部長に。2003年6月から取締役上席執行役員営業グループ長。2004年4月から取締役常務執行役員営業部門長。


◆中小企業診断所

 中小企業などの経営相談、経営支援を行う中小企業診断所(京都市中京区蛸薬師通室町西入、米田明社長)はこのほど、中小・零細規模の企業向けに社内の情報システムを診断・コンサルティングするサービスを開始した。中小・零細規模の企業では専任のシステム管理者を置くことができない実情がある。このため、第三者的にクライアント企業の立場に立つ情報システム管理の支援サービスを始めたという。初年度80件の受注を目指す。

 始めたのは「ITサポーター制度」。このサービスは、中小・零細規模の企業などを対象に情報システム管理を受託するもの。
 サービスを受けるにはまず、社内の情報システムについて使用しているパソコン、ネットワークなど使用環境の調査とシステムの診断を受ける。次に、企業が支援してもらいたいメニューを付加していくスタイル。
 基本料金としてパソコンの使用台数が2〜5台程度の規模の場合、システム診断に9万4500円の料金に設定。付加する支援サービスでは年間で5万400円でサポートを受けることができる。
 サポートメニューとしては、IT機器の購入相談や、購入時の交渉支援、ソフトの購入相談・支援、障害状況の出張調査、各種の設定・調整作業などがある。また、社内ネットワークの設定やサーバーの管理、社内の情報システム研修なども受託する。
 中小企業診断所はこの3月、中小企業236社を対象に情報システムの活用方法についてのアンケート調査を実施。23社から回答を得た。この調査で、回答企業のおよそ7割が、家電量販店などでパソコンやソフトなどを購入したことがあると回答。一方、トラブルで苦労したことがあるとした回答も5割を超えた。
 同所の米田明社長によると、「従来、中小企業の情報システムはシステム会社に丸投げするのが一般的」という。社内に情報システムに関する知識を持つ人がいないか、いても専任することができないのが実情。このため、社内ネットワークを構築していても、十分に使えない事例も多いという。
 また、パソコンが低価格化したことなどから、十分な情報システムの知識がないまま、量販店などで機器、ソフトを買い求めるケースも増加。情報システムとしての最適化が図れていない場合が多いという。
 同所は、この「ITサポーター制度」をソフト開発などを手がけ米田氏が社長を兼任するシスポート(京都府京田辺市)と連携して実施する。
 具体的には、中小企業診断所が情報システムの診断・コンサルティングなどを行い、シスポートが社内システムの最適化作業、メンテナンス作業などを行うもの。
 今後、従業員数が20名以下の小規模事業所を対象にサービスを展開。合わせて、システム管理者を養成するための研修など人材育成を行う事業に展開する方針という。

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