京都企業の動き


◆ソフィア・クレイドル

 
携帯電話向けソフトの開発を手がけるソフィア・クレイドル(京都市左京区田中関町、杉山和徳社長)が、世界展開を見据えたビジネスモデルの構築を進めている。秋以降、米クアルコムの基本ソフト(OS)「BREW(ブリュー)」を搭載した機種が増加することが見込まれているため、それに向けての布石を打つ形だ。現在、同社が開発中のミドルウェアを、携帯電話キャリア会社に無償提供し、エンドユーザーから直接課金するシステムを来年には導入するとしている。

 
ソフィア・クレイドルが構築しているビジネスモデルは、同社のミドルウェア「ソフィア・フレームワーク」を基盤として作られたアプリケーションが、ダウンロードされるごとに課金していくもの。同社は来年から、この課金システムを導入していくとしている。
 従来は、契約を結んだ開発会社にミドルウェアを提供して、ロイヤリティーを得るビジネスモデルを展開してきた。しかし、このモデルでは急増するブリュー向けアプリケーション需要に対応しきれないと判断。拡大基調にある市場に対応するため、新しいビジネスモデル構築の必要性に迫られた。
 ソフィア・クレイドルの杉山和徳社長によると、新しいビジネスモデルでは、同社のミドルウェアをキャリア会社やクアルコムに無償で提供。そのミドルウェアをキャリア会社がオープンソースで開発会社などに提供して、アプリケーションの供給を増やす。そして、ユーザーがアプリケーションをダウンロードするごとに課金する。課金した分の3〜5%をソフィア・クレイドルの収益とする。
 これにより、国内市場だけではなく海外市場での展開にも対応できるとしている。また、営業活動のためのコストを削減できるメリットもあるという。
 ソフィア・クレイドルが新しいビジネスモデルの構築を進める背景には、大容量データのやり取りが可能な「第三世代」と呼ばれる携帯電話ではのOSは、ブリューが世界標準になりつつあるという事情がある。
 国内ではKDDI(東京都新宿区、小野寺正社長)が2001年、同社の携帯電話サービス「au」に初めてブリューを採用。今年、秋からは対応機種を増やし、来年以降はすべての機種に搭載する計画という。これに伴い、NTTドコモやボーダフォンも一部の機種にブリューを搭載するとしている。また、海外ではすでに25のキャリア会社がブリューを採用しており、今後、中国などを含め急速に普及していくと見られている。
 そのため、ブリュー上で起動するアプリケーションの需要が急速に増加すると見込まれている。
 ソフィア・クレイドルが現在、開発を進めているのは「ソフィア・フレームワーク2・3」。主力製品であるミドルウェア「ソフィア・フレームワーク」の最新バージョンで、9月からの販売を予定している。
 新しいバージョンには「POP」や「SMTP」といったメールのプロトコル(通信規約)を加えるなどの機能を追加する予定。また、これまでのバージョンの不具合をすべて見直して、ミドルウェアとして5〜10年使用できる、完成度の高いものを目指しているという。


◆ルシアン

 婦人物衣料の販売を手掛けるルシアン(京都市中京区烏丸通六角下ル七観音町、野村直史社長)は21日、中国・上海にある「上海久光百貨店」に婦人服と下着の直営店舗をそれぞれ開設した。同社が中国に出店するのは初めて。今後、現地での事業拡大のための旗艦店として位置付けている。

 婦人服店舗は、百貨店4階の48平方メートルのスペース。都会に在住する20代以上の女性向けブランド「TRPP GIRL(ティーアールピーピー・ガール)」を提案していく。
 下着店は同百貨店3階に27平方メートルの売り場を確保。中国の女性にとって着心地がよく、機能性の高い商品を提案するとしている。20代から30代前半の外資系企業などで働く女性を主要なターゲットとしている。
 2店舗とも月額100万円の売上を目指すとしている。
 ルシアンは上海出店を足がかりに、他の都市への直営店出店、地方ではフランチャイズ展開を進めるとしている。婦人服分野では、10代や子供向けの商品展開を図る。下着分野では、大連にある自社の縫製工場などと連携。日本からスタッフを派遣し、接客マナーなど、現地での社員教育を徹底するとしている。


◆日本電産

 
日本電産(京都市南区久世殿城町、永守重信社長)は、グループ内の物流機能を、昨年買収した三協精機製作所の物流子会社に一元化し、物流コストの削減に乗り出す。このほど、同子会社の新たな物流拠点を京都に開設することを決めた。このほか、中国・上海や、タイなどにも物流拠点を設け、世界中のグループ傘下企業の物流を一元化する方針。この取り組みにより、連結ベースで営業利益を5%改善することを目指す。

 
日本電産の永守社長は23日、京都市内のホテルで開かれた株主総会後に記者会見し、京都に物流拠点を新設することを明らかにした。グループ傘下の日本電産シンポがこのほど、長岡京市におよそ1万uの土地を取得。その一部約3000uに日本電産ロジスティック(長野県)の物流拠点として、延べ床面積およそ2600uの物流施設を建設する。新拠点は、京都・滋賀地域に本社を置く日本電産シンポや日本電産、日本電産リード、日本電産キョーリなどの物流を担う。
 日本電産ロジスティックはもともと、日本電産が昨年買収した三協精機製作所の物流子会社だった三協流通興業。今年4月に社名を変更し、グループ内で物流を一手に引き受けるよう位置付けられた。
 この子会社は、三協精機製作所のグループ企業間の物流だけでなく、取引先や仕入先などからも物流業務を受託していた。また、重機の運搬に強いという。このため今後、国内のグループ会社の物流を手がけるとともに、取引先や仕入先などの物流業務も請け負う方針としている。
 また、国外では年内にも法規制が緩和される中国・上海に物流拠点を開設。グループ内で行われる日中間の物流も手がける。中国での物流網を構築後、タイに置くグループ企業の物流網を整備していく方針。
 これらの物流再編により、日本電産ロジスティックはトラック数300台の体制を構築する。また、国内の物流業務だけで、現在35億円の売上高を、2007年に100億円に引き上げることを目指す。日本電産グループでは、連結ベースで営業利益を5%改善することを目指すとしている。


◆互応化学工業

 繊維向けの薬剤などを製造する互応化学工業(京都府宇治市伊勢田町)は11日、中国・広東省に合弁で新会社を設立すると発表した。この新会社は台湾の化学メーカーと合弁で設立するもの。互応化学工業側が、台湾メーカーに製品に関する特許やノウハウなど製造販売の実施権を供与。中国・広東省の東莞市に設立する新会社で生産から販売までを行う。

 設立する新会社は、「聯致互応化学有限公司(仮称)」。資本金は1000万米ドルで、互応化学工業が35%台湾の化学メーカーが35%を出資。残り30%は関係する個人などが出資する。
 新会社は今秋にも設立する予定。2005年の稼動を目指す。新会社では主に、プリント配線基板・多層プリント配線基板など電子部品向けのレジストインクを生産。年におよそ1000トンを製造する体制を整える方針。
 また互応化学工業は11日、柳井清社長が代表取締役会長に就任し、池上幸一常務が社長に昇格するトップ人事を発表した。経営体制の若返りが狙いとしている。

いけがみ・こういち
1953年京都出身。76年に大阪工業大工学部を卒業後、互応化学工業へ入社。96年に取締役就任。取締役北陸営業所長、取締役研究部長などを経て2002年6月に常務に就任。


◆堀場製作所

 堀場製作所(京都市南区吉祥院、堀場厚社長)は10日、ナノテクノロジー分野の機器開発を手がける新組織を設置したと発表した。従来個別に置かれていた営業部門と、開発担当者などを集約。専門組織として立ち上げ、ナノテク分野の最先端素材を分析する機器開発を強化する。

 同社が設置した専門組織は、「JY・オプティカルインスツルメンツ営業部」。これまで同社は、営業担当者は営業部門に、アプリケーションの開発担当者は反動田事業部門に、システムエンジニアは工場・設計部門にそれぞれ配置していた。今回、営業担当者とアプリケーションの開発担当者、システムエンジニアを東京の拠点に統合し、30名の規模になった。
 新組織では、グループ傘下のジョバンイボン社が保有する光分析技術と、堀場製作所が保有する光学分析を融合。有機ELなどの次世代ディスプレーやカーボンナノチューブなどナノ素材を分析する機器開発を手がける。
 開発された製品は主に、研究者向けに展開する。具体的にはウェブサイトや技術セミナーを通じて研究者ニーズを把握し、産学連携の共同研究も進める方針。営業部門と開発者を集約化したことで、新領域の分析機器の開発を目指すほか、営業からコンサルティング、設計、据え付けまでを一貫して行う体制を整える。



◆ワコール

 「Tシャツブラ」は、肩ひもの取り外しが可能なもの。肩や背中を見せるアウターに対応した。表面にレースや縫い目のないカップで、カップの肌側には綿を混入したメッシュ素材を使用。特許出願中の技術を用い、カップ下のメッシュ部分からカップ内側に空気の流れができるようにした。価格は税込み5565円から。クールブルー、ワイン、ブラックなど全5色をそろえ、7月までに11万枚を販売する計画。

 「ゆかたランジェリー」は、浴衣向けのインナーウェア。京都の舞妓や芸妓などに意見やアドバイスを求めて開発したもの。吸水速乾性に優れた素材を使用し、まとわりつきを軽減。襟元からランジェリーがのぞかないよう、ネックラインを深いV字に切り下げた。商品はカップ付スリップ、カップ付キャミソール、スリップの3つで構成。7月までに計3200枚を販売する。
 「UVカットシリーズ」は、紫外線をカットする糸を使用した素材を採用。手袋とネックランジェリーの2つで構成している。手袋は。手の甲から二の腕までをカバー。ネックランジェリーは首と首まわりをカバーする構造になっている。7月までに2商品合わせて1万2000枚を販売する計画。



◆立命館大学

 
立命館大学(京都市北区等持院北町、川本八郎理事長)はこのほど、この春に開設した法科大学院をJR二条駅の東側、およそ8000平方メートルの土地に移転する方針を固め、具体的な検討に入った。この土地は、京都市が土地区画整理事業を行っている二条駅地区で、日本郵政公社が保有するもの。すでに二条駅地区には、京都市が文化・商業の複合施設として、シネマコンプレックスを建設することが決まっている。立命館の大学院移転が正式に決まれば、二条駅地域が文化・学術の拠点として浮上することになりそうだ。

 
立命館大が法科大学院の移転先として検討を始めたのは、京都市中京区西ノ京栂尾町の8118平方メートルの土地。現在は日本郵政公社が保有しており、京都市が行う区画整理事業の実施地域に含まれている。JR二条駅、市営地下鉄二条駅からそれぞれ徒歩2〜3分ほどで、千本通りと三条通の面している。
 この土地は、もともと旧簡易保健福祉事業団が簡易保険事業の一環として健康増進のための施設を設置する予定だった。しかし、公社化による事業の見直しで全国的に新施設設置の計画が白紙化。京都市の土地についてもこの2月に、再利用計画が白紙になったことが京都市側に伝えられていた。
 立命館大は今年4月、新設した法科大学院の授業棟を、京都市北区等持院北町の衣笠キャンパスから北へおよそ500メートルほど離れた西園寺記念館(京都市北区衣笠氷室町)に開設した。しかし、同記念館への公共交通は、市バス以外にない状態。このため「社会人の比率が高い法科大学院にはもっと交通の便がいいところを探したほうがいい」(広報課)と判断。大学院が開設した今年4月から、代替地となる土地を探していたという。
 この中で、二条駅地区の土地が浮上。5月末に開いた理事会で、日本郵政公社に対して移転のための交渉を進めるとの基本方針が了承された。立命館側は、交渉がまとまり次第、北区衣笠の法科大学院を移転計画を開始する考え。また、当面は法科大学院のキャンパスとして運営するものの、「公共交通の便が非常によい立地であるため、さらに他の分野で高度職業人を育成するような専門大学院を同地に開設することも視野に入れている」(同)としている。
 二条駅地区の再開発は、JR山陰本線の立体交差事業に伴い、市が1990年度から土地区画整理事業をスタートさせた。二条駅付近にあった貨物ヤードの跡地を文化施設などの設置に活用する計画を策定。併せて二条駅西部の区画整理に着手した。
 市は駅西側に文化施設用地を確保。松竹も出資する第3セクターの事業会社「京都二条開発」を設立し、シネマコンプレックスの開設を目指した。しかし、資金不足などの問題から計画がとん挫。その後、外資系企業グループの進出などが計画されたが、二転三転しながらいずれも実現しなかった。昨年秋に市は、シネコンの整備・運営事業者を公募。現在は建築リース事業を手がける大和工商リース(大阪市中央区、梶本六夫社長)が2005年6月に建物を完成させ、東宝グループがシネコンを開設する予定となっている。


◆村田機械


 村田機械は6月1日、社内の研究開発体制を再編し、新組織として「研究開発本部」を設立、業務を開始した。同社は従来、1組織内に3つの機能を持たせ、各事業部と連携しながら新技術の研究開発に取り組んできた。今回の再編により、各事業部に共通して応用が可能な要素技術の開発と、具体的な製品開発の課題に応じる機能を組織的に分化。新しい市場に対応するマーケティング活動の部門を集約することで、研究開発のマネジメント力を強化するとしている。

 
村田機械が設置していた研究開発組織は、「R&Dセンター」。このセンター内に@新規事業の開拓、Aコア技術の開発、B事業部テーマの開発、の3つの機能を持たせていた。その上で、各事業部の技術開発部門と連携しながら製品開発に取り組んでいた。
 今回の再編で研究開発体制を「研究開発本部」に一元化。本部の下に中長期的な要素技術の研究開発を行う「R&Dセンター」、事業部と連携して製品開発を担う「犬山R&Dセンター」、市場分析やマーケティング活動を行う「マーケティング室」の3つを配置。要素技術開発の役割と、製品開発の役割を分けた。研究開発本部の責任者には進藤昇専務が就任した。
 今後、各事業部で独自に取り組んできた新市場に対するマーケティング活動を集約。マーケティング組織を研究開発部門に直結させ、新しい分野への開発活動を活発化させる。


◆京都大学

 
京都大学(京都市左京区吉田、尾池和夫総長)は8日、大学院教育学研究科の教員と学生が共同で、教育システムの研究開発を行う会社を立ち上げたと発表した。この新会社は、教育学や学校経営の研究から生まれた成果を、大学や高校を対象とした教育支援に事業化するもの。京大が本格的に支援する文科系の起業は初めてという。今後、教育学研究科内の事業シーズの掘り起こしを進めながら、高校の遠隔教育の支援事業などを手がける方針。初年度200万円、3年目で1000万円の売上高を目指す。

 
今回設立された会社は、「関西教育考学」。3月30日に資本金300万円の有限会社として設立された。今後、京大の吉田キャンパス内にある京大ベンチャー・ビジネス・ラボラトリーに入居する予定という。
 この会社は、京大大学院教育学研究科の高見茂教授の研究成果をもとに起業化が進められた。2002年3月、高見教授が学内で産学連携の窓口となっている国際融合創造センター(松重和美センター長)へ起業化に向けた支援を要請。当時の国立大の制度や、運用・手続き上の課題などについて調査を始めた。
 2003年7月に、名古屋市に本社を置くベンチャーキャピタルからの資金提供を受け、受託研究として起業を支援する制度に応募。しかし、採択されなかったことから独自に起業することを模索し始めた。その後、商標や特許出願のコンサルティングなどを受けながら今年3月に会社登記を行った。
 社長には、高見教授の下で大学院生として学ぶ津田昌宏氏が就任する。津田氏は、大鵬薬品工業で非常勤監査役を務めている。
 「関西教育考学」は教材作成用のシステム開発を行う。このシステムは、大学や高校などで、授業を行いながら同時に教育コンテンツを作成できるもの。社会人学生や遠隔地の学生向けの教育コンテンツ制作に需要があると見込んでいる。
 同社は当面、このシステム開発に並行して、高校と大学が連携して行う教育活動の支援事業に取り組む方針。これまでに兵庫県の私立高校で、遠隔地教育のプログラム開発を行う。また、大学職員向けの職能レベルを向上させるプログラム実施について、一部の私立大学と交渉中という。
 このほか、大学や高校向けに教育システムの開発にあたってコンサルティング事業なども行う予定。3年後に売上高1000万円を目指すとしている。


◆パールトーン

 きものへの撥水加工を手がけるパールトーン(京都市右京区西院、國松照朗)は、住宅のインテリアや外装材、和紙など衣類・繊維以外への撥水加工事業を立ち上げる。同社はこのほど、本格的な事業化の第一弾として岡山県倉敷市の畳表メーカーと提携。畳表の撥水加工を開始した。現在、収益の9割以上がきものへの撥水加工サービス。今後3年程度をメドに、衣類・繊維以外への撥水加工事業を、収益構成の中で3割程度に引き上げる方針だ。

 
このほどパールトーンが提携したのは、畳表製造・畳資材卸を手がけるイシダ(岡山県倉敷市、石田秀夫社長)。パールトーンが畳表の撥水加工を施し、イシダが商品名を「安心たたみ」として畳製造と卸販売を行う。両社はこれまでに、畳表向けの撥水加工技術を確立。撥水効果とともに、防ダニ、防カビ効果も付加したという。
 この畳商品は、しょうゆや水をこぼしても、布巾などで拭くだけで、シミなどをつくらないもの。油性の汚れは、別売りのスプレーを吹き付ければふき取ることができるという。料亭や旅館、ホテルなど集客施設向けに初年度1万畳から1万5000畳分の畳を供給する。需要動向を見ながら、数年程度で最大15万畳分の畳を供給する体制を整える予定としている。
 パールトーンはこれまで、放送用カメラに使われる風防スポンジへの撥水加工など、一部で衣類・繊維以外への撥水加工を探っていた。2002年、競合メーカーが撥水加工商品の供給を中止。パールトーンへ衣類・繊維以外の撥水加工の依頼が相次いだという。このため衣類・繊維以外の撥水加工を本格的に事業化することを決めた。同年には、需要開拓と商品開発を行う新市場開発部を新設した。
 この新需要開拓の過程で、まずはきもの以外の衣類へ撥水加工技術を応用を模索。昨年9月には、繊維製造卸のリーフ(京都市下京区柳馬場通四条下ル、宮嶋勇幸社長)と共同で撥水加工を施したカシミヤ商品群を開発。商品ブランドを「ZAHOJUN(ザオジン)」として10月から京都、大阪、福岡の百貨店などで発売した。
 このカシミヤ商品への撥水加工と平行して、和紙への撥水加工も模索。表具に用いられる和紙向けに撥水加工技術を開発したほか、ビルや商業施設に設置される和紙製の内装材やオブジェなどに撥水加工と難燃加工を施す技術を開発した。
 また、住宅・建材メーカーからの要望をもとに住宅向け外装材への撥水・難燃加工にも取り組み始めている。現在、自社の試験データとして撥水性を保たせつつ発火しても5分以内に燃焼が広がらない木材を開発。今後、公的な試験評価機関に申請し、試験データを得たうえで木材の撥水・難燃加工事業にも乗り出す方針。
 パールトーンの国松社長は「きものへの撥水加工を大黒柱に、新需要の開拓を進める。事業の売り上げ規模を拡大させながら、きもの関連の撥水加工が収益構成の7割程度、それ以外で3割程度となるようにしていきたい」と話している。


◆のぞみ

 
インターネットサイトの企画制作、出版物の企画制作を手がけるのぞみ(京都市下京区烏丸仏光寺、藤田功博社長)はこのほど、書籍の出版事業に乗り出した。自社で取材執筆を手がけた書籍を、京阪神地区で5月29日に発売した。同社の収益は、雑誌の編集受託が主な柱。書籍出版を始めることで自前の収益構造を確立するのが狙いという。今後、初年度は4冊の書籍を出版する。3年後には年間に6冊を出版する体制を整え、出版事業単体で売上高4500万円を目指す。

 
のぞみが出版したのは、「京都らしいものの現在」という書籍。今回の本では、第1号として京都のものづくりに関わる事柄をテーマ化した上で編集。具体的には「和菓子」「お茶」「着物」「化粧」の4ジャンルを題材として取り上げた。
 各ジャンルの京都で作られる品々の歴史的な経緯や作り方、店舗の情報などを掲載。本は、A5判フルカラー132ページで定価1050円。今回、初版として8000部を発行。のぞみが独自に開拓した京阪神地区の主要書店50店舗と直接取引の形で発売している。
 同社は、京阪神地区の情報雑誌の編集受託が収益の柱となっている。「受託ビジネスでは収益の季節変動が大きい」(藤田社長)ことから、フリーペーパーの発行による広告などのビジネスモデルを模索していた。その中で、広告営業体制などに課題があるため、書籍出版事業にシフトしたという。
 出版事業では、出版する本を「京都の歴史や文化を知ることのできる本」と位置付けた。店舗や観光名所のガイドだけでなく、歴史や文化の情報を掲載することで他のガイド本との差別化を狙うとしている。
 初版8000部のうち、京阪神地区にはまず1000冊を配本。売れ行きを見ながらまた1000冊の配本を行う予定。また、6月上旬にも東京の書店への販路構築に乗り出す。このほか、北陸地域や九州地域への販路構築を行う予定。
 今後、今年度中に今回出版した本以外に3冊の書籍を出版する。来年度には、年間で6冊を出版する体制を整え、年間売上高4500万円の事業規模を目指すという。
 のぞみの藤田社長は「店舗紹介のガイド本に加え、京都の深層を知るための2冊目の本になればいいと思う。ゆくゆくは、出版事業にファンドの仕組みを活用するようなプロジェクトにも取り組んでみたい」と話している。


◆日新電機

 
発電所や工場向け重電機器の製造・販売を手掛ける日新電機(京都市右京区梅津高畝町、位高光司社長)は5月31日、生産設備などの制御盤の結露を防ぐ小型除湿機4機種を新たに発売すると発表した。そのうち2機種は従来品に比べ半分のサイズで、同社製品としては最小タイプ。15日に販売開始する予定で、初年度は2000台を販売、2億円の売上を目指している。
 発売される商品名は「バンロムキュート」。今回発表された4機種のうち、「SA-21」と「SM-21」の2機種は高さ110ミリ、幅75ミリ、奥行き45ミリの大きさ。重さも400グラムで、手のひらに乗るサイズ。同社がこれまで開発した中では最小サイズとなる。従来品では内蔵されていた電源部分を外部に出すことで、小型化を実現した。
 同製品は、2種類の半導体に電流を流すことで、熱くなる部分と冷たくなる部分を生み出す「ぺルチェ効果」と呼ばれる現象を利用している。これにより空気中の水分を水滴に変えて排出する仕組み。また、省エネにも配慮した設計となっており、24時間連続運転した場合の電気代は7円程度という。
 新機種のうち「SA-21」はファンを取り付けておらず、自然対流で吸排気を行う方式を採用。これにより定期的なメンテナンスの必要もなくなる。他の3機種はファンを利用した強制対流方式を採用している。
 販路開拓は、本社営業チームと子会社である日新電機商事が担当。制御盤が湿気の多い環境にさらされる食品加工工場を主な顧客として開拓していきたいとしている。
 また同社広報部によると、工場設備向けだけではなく、家庭のげた箱やクローゼットにも応用可能としている。 日新電機は1985年に制御盤向けの「バンロム電子除湿機」シリーズを発表。これまでに6万台以上を販売している。

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