京都企業の動き



◆スポーツモーション研究所

 3次元動作解析を利用した映像コンテンツの制作・販売を手掛けるスポーツモーション研究所(京都市下京区中堂寺南町、宮田光幸社長)はこのほど、龍谷大学(京都市伏見区深草塚本町、神子上惠群学長)などと共同で、柔道の投げ技の教材用ビデオとDVDを制作した。10月1日にインターネットでの販売を開始する。従来、人体の動きを科学的に分析する手法は、プロ選手などに利用が限られていた。産学連携で商品化したことで、この手法の一般への普及を図る。

 今回発売される商品は、教材コンテンツ「You can do it!柔道シリーズ・背負い投げ編」。スポーツモーション研究所の第1号商品で、背負い投げを3次元動作解析で分析した40分間の教材用コンテンツだ。背負い投げをする選手の骨格の動きを映像で再現して、動作の構造や技のコツを解説する内容となっている。
 コンテンツの内容に関しては、京都教育大学の藪根敏和教授(柔道6段)と龍谷大学講師のコ田眞三氏(同6段)が監修している。価格は税込みで6000円。店頭での販売はせず、スポーツモーション研究所のホームページで注文を受け付ける。英語版とフランス語版も同時に制作しており、海外にも売り込んでいく。
 商品制作で利用されている3次元動作解析は、人体の動きを数値化、映像などで解剖学的に再現する手法だ。今回の映像コンテンツ制作では、龍谷大学の長谷川裕教授(スポーツサイエンスコース担当)が動作解析を手掛けた。
 背負い投げの動きを、複数の方角からビデオで撮影。専用ソフトを使って1フレーム(30分の1秒)ごとに間接の中心部分にコンピューター上で目印を置いて解析し、一連の動作を骨格モデルで正確に映像化した。
 スポーツモーション研究所の宮田社長は「今回の商品化を機に、これまでトップアスリートやプロ選手など限られた人しか利用できなかった3次元動作解析技術を、一般にも普及させていきたい」と話す。同時に、スポーツ指導の手法を変えたいとしている。
 「従来、スポーツ技術の習得は、練習経験や上級者の指導力に頼る部分が大きかった。しかし、科学的分析を加えた映像教材を使うことで、より効率的に習得できる」と宮田社長は話す。そのため、指導者が少ないマイナーなスポーツの教材用としての需要も見込むとしている。また、あらゆる人体の動きを解析できることから、高齢者介護やリハビリ訓練に関連した商品への応用も視野に入れている。
 コンテンツを制作したスポーツモーション研究所は、雑誌出版を手掛ける悠々社(京都市東山区五条橋東、宮田信子社長)と映像制作会社マース(島根県松江市、岡田多加秀社長)、そして長谷川教授の3者が今年2月、共同出資して設立した。3次元動作解析を利用した教材制作やスポーツ指導事業などを展開している。
 柔道シリーズは、来年3月に第2弾の商品化を予定している。来年度以降は、サッカーやテニスなどを扱ったコンテンツを制作する計画だ。
 当面は年間3〜5本のコンテンツを制作、国内市場で各3000〜5000本の販売を目指す。今年度2月期の売り上げは5000万円を見込んでおり、5年後には10〜20億円の事業規模を目標としている。


◆立命館大学

 立命館大学(京都市北区衣笠、長田豊臣学長)と日立製作所(東京都千代田区、庄山悦彦社長)は21日、大学で行う教育・研究の全般にわたり人や技術、情報を交流させる包括的な産学提携の協定を締結した。大学の教育現場に、日立の第一線で働く人材を招いて授業を行うほか、両社で教育システムを開発する。立命大はすでにオムロン、富士通などと包括提携を結んでおり、今回の日立は5社目となる。

 立命大はこの包括提携の第一弾の取り組みとして9月下旬、理工系学部があるびわこ・草津キャンパスで日立の人材を招いた講義を始める。この講義は、理工学部と情報理工学部の1回生後期を対象に行われるもの。日立の経営者や研究者、技術者が講師となり、キャリア開発を見据え、実際の仕事の現場について講義を行う。
 また、日立は同社が保有する情報機器などのハードを立命大に供給。立命大はこれまで培った教育実績をもとに、情報通信を活用した「e-Learningシステム」の開発を進める。開発した教育システムは、立命館アジア太平洋大や2006年4月に開講予定の立命館小学校(仮称)などへ応用する予定。
 両社はこれまで、半導体などの分野で個別の研究テーマごとに連携を進めていた。「連携分野が多岐に及んだことから組織対組織の横断的な関係作りをする必要があった」(立命大広報課)として包括連携を締結した。一方、日立製作所は、「大学が保有する最先端の研究情報を共有できる点がメリット。具体的な検討段階に入っているわけではないが、将来的にはe-Learningの教育システムで事業化が図れればいいと考えている」(広報担当者)としている。今後両者は、研究面でもロボティクスや情報通信、ライフサイエンスなどの分野で連携を深め、共同で官庁系研究プロジェクトの企画を進めるという。


◆月桂冠

 大手酒造メーカーの月桂冠(京都市伏見区南浜町、大倉治彦社長)はこのほど、日本酒や米ぬかのエキスを素材にしたスキンケア化粧品を開発、化粧品事業に参入する。10月1日から販売を開始する。3年後には、化粧品部門だけで3億円の事業規模を目指すとしている。主力である酒造以外の分野に参入して、事業の多角化を図るとしている。

 月桂冠は2年前、各部署からスタッフを募り、13名から成るプロジェクトチームを結成。日本酒作りの過程で発生する酵母や米ぬかの保湿成分に着目し、これらを利用した化粧品の研究開発に乗り出していた。
 2002年8月には、化粧品大手ノエビアの子会社で、OEM(相手先ブランドによる生産)メーカー、ボナンザ(兵庫県神戸市、阿南洋社長)と提携。ボナンザの持つ化粧品開発のノウハウと、月桂冠の日本酒に関する研究成果を活かし、共同で新商品開発を進めた。ようやく今年8月に「商品化へのメドがついた」(月桂冠広報室)という。
 月桂冠は今年1月、中堅の酒販会社、マルヤマ(京都市右京区西京極新明町、佐々木由美子社長)と共同で入浴剤の開発するなど、飲料・食品以外の分野で新商品を開発した経緯がある。今回の化粧品部門の立ち上げで、酒造以外の分野にも本格的に参入、多角的な事業展開に乗り出す。
 月桂冠によると化粧品事業の初年度(05年3月期)売り上げは、7000万円を目標としている。今後は、ユーザーの要望に対応してアイテム数も増やす予定だ。3年後には3億円の事業規模を目指している。
 月桂冠が第一弾として商品化するのは、「モイストムーン」と名づけるスキンケア化粧品。洗顔用の「ウォッシングフォーム」、水分補給用の化粧水「スキンローション」、乳液の「ミルクローション」、肌を保湿する「モイスチュアクリーム」の4品を10月1日に発売する。また、試供品としてミニサイズを4アイテムを詰め合わせた「トライアルセット」も同時に販売する。
 これらの商品の原料は、米の発酵液や酵母、米ぬかのエキスが中心となっている。これに植物から抽出した保湿系の素材を配合して製造した。
 月桂冠は21日、化粧品専用のホームページを開設した。商品の情報を提供すると同時に、注文も受け付ける。月桂冠によると、通信販売のみで対応し、店頭での販売はしない方針だ。ホームページ以外にもハガキや電話、ファクスで注文を受け付ける。

トップページに戻る
(c) 2003 WOOCA. All rights reserved.