京都企業の動き



◆シーシーエス

 
LED(発光ダイオード)を使った産業用照明機器の開発、製造を手がけるシーシーエス(京都市上京区、米田社長)が、LEDの照明機器を使ってレタスを栽培するプラント作りに乗り出した。これまで、社内で試験的に数個のレタス栽培に成功。来年6月にも千葉県でLEDを使ったレタス栽培のプラントを稼動する。早ければ、3年後にもLEDで作られたレタスを食べることができそうだ。

 シーシーエスはこれまでに、千葉県内にLEDを使った植物の育成を行う実験プラントを新設することを決めた。現在、複数の候補地を選定中で、年内にもプラントを着工し、来年6月にはプラントを稼動する予定。
 新設するプラントは、建設面積およそ850u。同社がLEDランプを使った野菜育成用の専用照明を開発。農業関連の企業と提携し、野菜の育成に関するノウハウの供与を受けながら栽培プラントを運用する。当初プラントに配する人員は7名を想定している。
 プラントでは、実験的にレタスの栽培を行う。LEDランプを並べたラインを10段ほど用意する。ランプの下をレタスが移動できるようにし、LEDの下にレタスを流しながら光を照射する仕組み。レタスはすべて無農薬、無菌状態で栽培する。日産で数千個規模の野菜生産を目指し、効率性と生育状態を保つ技術とノウハウを探る。
 来年6月のプラント稼動後、1年程度で研究を進め、2年目からは事業化に向けた技術・製品の開発に乗り出す。3年目にあたる2006年秋ごろには、食品メーカーや農業関連の企業を対象に、野菜栽培ができるLED照明機器の販売を開始し、事業化する計画。
 同社が農業関連へ照明機器の応用を始めたのは2001年。世界的なIT不況を背景に、電子部品検査関連の照明機器需要が落ち込んだことから、他分野への応用開発が必要になったという。同年、社内にプロジェクトチームを立ち上げ、これまで試験的にLEDで数個のレタス栽培に成功した。栽培したレタスは「食べるとシャキシャキした歯ごたえでおいしいレタスだった」(同社広報の上田和浩主任)という。
 今回の農業関連分野へのLED照明の応用には、同社がこれまで培ったLED照明のノウハウや実績を活用する。同社はこれまで、電子部品の検査を行う照明機器や、ペットボトルに入った飲料品の検品に使う照明機器などを開発し、およそ3万件以上の照射データを保有している。LEDを使うと、光の波長や照射時間、パルスなどを制御できるため、レタスの生育に最適な光を当てることができるという。
 同社は今後、農業関連分野のほかに、医療関連分野や一般家庭に用いられる照明機器としてもLED照明機器の応用を進める方針。
 同社は1993年10月、画像関連企業をスピンオフした米田社長が創業した会社。創業直後から、LEDで半導体や電子部品などの検査に用いられる照明機器を製造する事業を開始。大手電機メーカーや電子部品メーカーに販売し、連結売上高をおよそ33億円(2004年7月期)に拡大。今年6月には新興市場のジャスダック市場に上場した。



◆京都精華大学

 
京都市と京都精華大学(京都市左京区岩倉、中尾ハジメ学長)は20日、マンガ・アニメの収集や研究のための拠点施設「京都国際マンガミュージアム(仮称)」を共同で設立すると発表した。設置予定地は、97年に廃校となった龍池小学校(中京区両替町御池上ル)。両者は、2006年秋の開設を目指し、08年までに漫画に関する国際的なイベントを誘致するとしている。

 精華大学は2000年、日本で初めてのマンガ学科を設立。資料収蔵の設置を求める声の高まりを受け、2年前、漫画を幅広く研究できる施設づくりを京都市に提案した。これにより共同でミュージアムの整備を進めることになったという。
 今回の拠点作りは、漫画資料の所蔵と研究施設を確保したい精華大学と、中心市街地に生涯学習や観光・産業振興の拠点設置を考える京都市側との思惑が一致した形だ。
 構想によると、地上3階、地下1階の龍池小学校舎の延べ4500平方メートルのうち、約3000平方メートルを改修。漫画に関する総合施設として使用する。国内外から収集した20万点の収蔵資料が閲覧できる図書館、漫画の歴史資料を展示する博物館の機能を併設する。また、市民や子ども向けの講座を開設する計画だ。将来的には、収蔵資料数を40万点にまで増やすほか、人材育成や新産業を創出する機能の整備も進める。
 このプロジェクトでは、京都市が土地・建物を提供し、ミュージアムの整備を進める。精華大学側は、市民講座への教員や学生を派遣する。また、人材育成のノウハウや研究成果を提供する。
 精華大学ミュージアム設置準備室によると「事業費の問題もあり、単独よりも行政機関などとの共同で設置する方針だった。オープンな施設にすることで、漫画やアニメに対する幅広い理解を得たい」としている。



◆オムロン

 
オムロン(京都市下京区塩小路通堀川東入、作田久男社長)は18日、折りたたみ式(クラムシェル型)携帯電話の2つの液晶画面を、1枚の液晶ディスプレイで表示するリバーシブルライトを開発した。これにより、画面部分の厚みと製造コストを従来の半分にすることが可能となる。携帯電話向けのリバーシブルライトの開発は世界で初めてだという。

 今回、オムロンが開発したリバーシブルライトは、同社の持つ超微細複製加工技術を応用して開発されたもの。1枚の導光板に、フロントライトとバックライトの機能を集約している。これにより、開いた状態での画面表示はバックライトとして、閉じた時の画面表示はフロントライトとして使用することができる。これにより、両方の画面で、同質の鮮明な画像を映し出すことが可能となる。
 従来の折りたたみ式携帯電話の表示部は、開いた時の画面と閉じた時の画面ごとに、1枚づつのバックライトで構成されていた。そのため、薄型化には限界があるとされていた。
 リバーシブルライトの開発を手がけたオムロン先端デバイス研究所は、バックライトから出る光の指向性を狭めることで、輝度を高める技術の開発に成功。また、導光板上の表裏に100ナノメートルと3ナノメートルの微細な溝を設けて、反射光を低減。反射光により画面が白けるという、従来の課題を解決した。
 今回開発では、1枚のリバーシブルライトと1枚の液晶ディスプレイの組み合わせで、両方の画面を表示する仕組みとなっている。これにより、表示部分を構成する部品を削減することができるため、約50%の薄型化とコストの削減が可能となる。
 リバーシブルライトが対応しているクラムシェル型携帯電話は、データ通信の多機能化と小型化を同時に実現できる形状であることから、今後、世界的な普及が見込まれているという。
 オムロンによると、製品価格や事業規模の詳細については、まだ未定としている。だが、中国を中心としたアジアでの需要の高まりを見込んで、マーケティング活動を強化していきたいとしている。


◆ホテルプリンセス京都

 京セラグループでホテルプリンセス京都(京都市下京区烏丸高辻東入ル)を所有・経営する京セラ興産(東京都渋谷区、松下岩根社長)は1日、同ホテルの名称を「ホテル日航プリンセス京都」としてリニューアルオープンした。この名称変更は、日航グループでホテル事業を手がけるJALホテルズ(東京都品川区、町田彰佑社長)との提携によるもの。ホテル内の全面回収も終え今後、JALホテルズから運営面での支援を得るほか、顧客獲得などでも協力を得ていくとしている。

 同ホテルは1994年に開業。JALホテルズが、以前にホテルを経営していた会社から運営を受託していた。2002年にJALホテルズが運営から撤退したため、前経営会社が自主運営に乗り出した。しかし、経営不振に陥ったことから経営が破たん。今年2月民事再生法の適用を受けながら、京セラグループが経営の再建を引き受けていた。
 今回、両社は9月27日に技術援助契約を締結。JALホテルズの商標を貸与するほか、チェーンサービスの提供、運営に対する協力、支配人1名の派遣などを盛り込んだ。
今後、京セラ興産は所有・運営会社として、JALホテルズとの相乗効果を高める方針。特に、JALホテルズが培ったノウハウを元に、実際の業務支援を受け、海外からの顧客獲得も活発化させるとしている。
 リニューアルオープンした「ホテル日航プリンセス京都」は、地下2階地上14階、延べ床面積2万1800u、総客室通は216室。宴会場の一部にチャペルを新設したほか、直営のジュエリーショップ、物産ショップを開設した。
 京セラは1995年、鹿児島県姶良郡に「ホテル京セラ」を開業。2002年には薩摩郡に「インターナショナルゴルフリゾート京セラ」を開業し、それぞれ運営している。



◆ニチコン

 
ニチコン(京都市中京区御池通烏丸東入ル、武田一平社長)は1日、中国・天津市に設立した100%子会社でタンタルコンデンサの生産を始めた。この事業は、今年3月に松下電子部品から買収することを合意したもの。ニチコンが新たに設立した子会社を通じて、松下電子部品の保有する資産を買収した。今後、コンデンサの月あたりの生産能力を700万個に維持しながら、中国マーケットを中心に需要に応える。

 タンタルコンデンサの生産を始めたのは、「尼吉康電子(天津)有限公司」(ニチコン天津)。今回のタンタルコンデンサの生産稼動により、ニチコングループは、アルミ電解コンデンサと回路製品を合わせた3部門で中国での生産体制を整えた。
 タンタルコンデンサは、携帯電話やデジタルカメラ、DVDなどに用いられるコンデンサ。デジタル家電の世界的な需要増に伴い、タンタルコンデンサ自体の需要も拡大しているという。今回の生産開始により、同社が手がけるタンタルコンデンサ事業は、世界市場でトップクラスに達する見込みという。中国の生産拠点を足がかりに中国国内の市場に加え、世界市場へ製品供給を拡大させる方針としている。


◆アドルック

 
広告代理店のアドルック(京都市中京区夷川油小路西入ル、山本拓宏社長)は、ホームページ経由で企画書作成や企画のサンプルを提供し、広告営業を支援する新しいサービスを11月から開始する。社員数10人以下の小規模な広告代理店向けに販売するとしており、3年以内に300社の顧客獲得を目指す。

 アドルックが新しく開始するサービスの名前は「媒体部」。メディアへの広告掲載やイベント、販売促進活動など、広告展開のパターンを想定した企画書のヒナ型をあらかじめ作成し、専用ホームページに掲載する。顧客となった広告代理店は、必要とする企画書のヒナ型を「媒体部」のホームページからダウンロードして、内容を変更したり、社名やロゴマークを書き換えるなどして自社の企画書に仕上げることが可能。ホームページでは企画書のヒナ型以外にも、画像サンプルや文字フォントなど、企画書作成に必要な素材を提供する。
 入会費は25万円、サービス料金は月額5万円となっている。入会登録した顧客には、ID番号とパスワードが渡され、専用ホームページへのアクセスが可能になる。顧客は自由に素材をダウンロードすることが可能。
 「媒体部」の責任者であるアドルックの山本剛也常務は、「広告の世界では、仕事を獲得するには企画書が必要。だが、小規模な広告代理店では、企画書の作成は大きな負担となっている」という。その負担を軽減するサービスとして提供していきたいとしている。単に企画書の作成を代行するのではなく、素材やノウハウを提供して「企画書の完成形は、顧客が作成するシステム」(山本常務)の構築を目指している。ソフトウェアの設計図を提供し、それをもとにしてユーザーが自由にソフトの改良・転用が自由に行える「リナックス」の構造に似たシステムだ。
 アドルックは当面、20社の顧客を確保を目標に据え、3年後には300社の顧客確保を目指す。また、来年度をメドに、アドルック本体から分社化して、広告代理店向けのコンサルティング専門の会社を設立するとしている。
 「広告業界は独立が容易なため、小規模な広告代理店は多い。しかし、経験やノウハウの不足に悩んでいる業者が多いことから、需要が見込める」と山本常務は意気込む。
 11月1日のサービス開始後は、顧客数の伸びを見ながら、企画書作成や企画サンプル提供以外に、媒体資料や媒体のデータ、販売促進やデザインのノウハウを提供していきたいとしている。

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