京都企業の動き



◆ニッセン

 
通信販売大手のニッセン(京都市南区吉祥院、片山利雄社長)は15日、機能性食品や化粧品の研究開発を手がけるバイオベンチャーのファーマフーズ(京都市南区吉祥院、金武祚社長)と業務面、資本面のそれぞれにわたって提携に合意したと発表した。今回の提携でニッセンは、ファーマフーズの株式1000株を第3者割当増資で引き受けた。ニッセンは今後、同社が保有する市場調査のデータをもとにファーマフーズの商品を、通販で専用商品として独占販売するとしている。

 2社の業務提携の内容は、ファーマフーズが新しく開発する健康食品、化粧品を、ニッセンがカタログ通販事業などで展開していくというもの。ニッセンは、これまで蓄積した通販の顧客データベースやテレマーケティングなどで得た情報を活用。商品販売に関するアドバイスをファーマフーズに提供し、市場競争力のある商品開発につなげるとしている。
 ニッセンはこれまで、女性客に特化したサプリメントや食品、化粧品、衣料品を独自に開発・販売する「シェイプファンデ事業」を展開している。今回の提携を機に、同事業と通販事業での商品ラインナップ強化につなげていきたいとしている。共同開発する商品については現在、検討中としているが、開発した新商品に関しては、ニッセンの通信販売チャネルで独占的に取り扱うとしている。また、業務提携に関してニッセンは「ファーマフーズの商品開発力に着目した。ニッセンの顧客の志向にあった商品を提供する」(コーポレートセンター)としている。
 今回の提携は、ニッセンが今年6月から展開しているベンチャー投資事業の一環。今年5月、ニッセンは取締役会で、ベンチャーファンドを設立を決定。自社の経営資産である顧客データベースと、投資先のビジネスモデルとを融合して活用して事業拡大につなげる戦略を掲げ、ベンチャー投資と業務提携を矢継ぎ早に行っている。
 今回のファーマフーズとの資本提携では、第3者割当増資でファーマフーズの1000株をニッセンが取得。これによりニッセンがファーマフーズの発行済株式の2.4%を取得、第6位の大株主となった。両社とも取得金額については明らかにしていない。
 ファーマフーズは、今回の提携により研究開発事業を増強していきたいとしている。事業増強の詳細については未定としているが、機能性食品やサプリメント向けの新しい素材開発を手がける計画だという。
 ファーマフーズは1997年9月、バイオ系ベンチャー企業として金社長が設立した会社。食品などから特定の成分だけを抽出する技術を持っている。
 これまで、病気の感染から体を守る免疫抗体オボプロンや、血圧を下げる効果があるといわれるガンマアミノ酸のギャバなどの素材を取り込んだ商品開発で実績がある。具体的には、ギャバを多く含んだ漬け物などの商品。
 また、国内外の食品メーカーと提携して、成分抽出技術のライセンス事業を展開。海外での売り上げが事業収入の約50%を占めているという。同社は先月29日、社名をそれまでの「ファーマフーズ研究所」から「ファーマフーズ」に変更した。



◆立命館大学

 立命館大学(京都市北区等持院北町、長田豊臣学長)は1日、政府開発援助(ODA)や円借款事業に協力して、人材育成や国際貢献活動などに取り組む「国際協力事業センター」を新しく開設した。開設当日、同センターは最初の事業として中国・重慶市の教育委員会との協力協定を締結した。立命館大学によると、日本の大学で海外の教育委と協定を結ぶのは初めてという。

 立命館大学と関連校の立命館アジア太平洋銀行(APU、大分県別府市、モンテ・カセム学長)は、国際協力銀行(東京都千代田区、篠沢恭助総裁)の進める中国における円借款事業「内陸部・人材育成事業」に2002年から協力してきた。その流れを受けて今年3月、国際協力銀行と協定を締結。ODAや円借款事業に関する各種調査や開発協力講座の研修プログラム開発を手がけている。その一環として今年3月、重慶市にある10の大学から副学長クラスの幹部職員31人を招いて、9週間の管理運営研修を行っている。今後は、甘粛省や吉林省などからも研修生を受け入れる予定という。
 今回、重慶市の教育委と協定を結んだことで、@大学間の編入学や共同学位制度の開発、A留学生の派遣・受け入れ、B学術交流・共同研究の推進、などを相互に進めていく予定だという。
 「海外関連の事業は、これまでは国際課が対応してきた。しかし、事業が多角化してきたことから、政府や国際協力事業団(JICA)などの海外事業に協力する窓口として新しく国際協力事業センターを立ち上げた」(立命館大学広報課)としている。
 立命館大は、今後は他の途上国支援にも協力をしていきたいとしている。



ATR

 民間の研究機関、国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町、畚野信義社長)は1日、ベンチャー支援の子会社、ATR-Promotions(エイ・ティ・アール・プロモーションズ)を設立した。同社は、プロモーションズが立ち上げ支援する孫会社を通じて、自社の研究成果の事業展開を図る。

 今回設立されたプロモーションズはATRが全額出資。ATR技術リエゾンセンター部長の平川邦昭氏が社長に就任している。電気通信分野における市場調査を行い、ニーズが見込まれるものには、ATRから技術移転を受け、孫会社を通じて商用展開を進めていく。孫会社へは資金投入の他、マーケティング、コンサルティングなどの支援も行う。ATRを中心にグループを形成して、資金の流れ、技術の流れを確立する計画だ。
 孫会社への資金投入は、ベンチャーキャピタル(VC)と提携して進める予定。孫会社はベンチャー企業と位置付け、ATRの研究者が立ち上げの中心となるが、運営にはベンチャーキャピタル側も参加するとしている。
 ATRによると来年3月までに2つの孫会社を設立する計画。事業化可能な研究成果としては、アンテナ技術、電子カギ、ロボットなどを想定している。
 ATRは従来、電気通信分野の基礎研究を中核事業としており、成果を企業に提供してロイヤリティー収入を得てきた。
 「従来のビジネスモデルにとらわれず、研究成果を幅広く展開していく。ベンチャー企業を数十社設立して、シーズを展開していきたい」(ATR広報担当者)としている。
 これ以外にも、企業向けのセミナー、コンサルティングなどを実施。研究成果の普及を進めるとしている。



◆タカラバイオ

 宝ホールディングス(京都市下京区四条通烏丸東入ル、大宮久社長)のバイオ事業子会社、タカラバイオ(滋賀県大津市、加藤郁之進社長)は28日の取締役会で、12月7日に東証マザーズに上場することを決議した。調達した資金は、工場施設の整備、研究開発費にあてるとしている。宝ホールディングスの傘下企業で上場したのは、タカラバイオが初めて。

 タカラバイオは、上場に伴い40000株を新しく発行する。また、一般募集とは別に、需要状況に応じて証券会社が売り出すオーバーアロットメントで5000株を発行する。価格決定日は25日。29日から12月2日まで受け付ける。
 タカラバイオによると、上場により調達した資金は、9月に稼動を開始した三重県のホンシメジ工場の建設費の充当や実験施設の拡大にあてられる。また、遺伝子工学・医食品バイオの研究資金、中国にある2つの子会社の設備資金にもあてる予定だという。
 タカラバイオによると「(新株発行は)2008年3月期までに190億円調達する中期計画に沿った増資の一部」としている。

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