参考になる特集・書籍



◆フリーランスはじめてみましたが… [きたみりゅうじ 技術評論社]

 著者は、ソフトウェア開発会社に7年勤務した後に、フリーになったイラストレーター兼ライター。本書は、独立した02年〜04年までの2年数ヶ月の体験を時系列につづったエッセイ。「自由は冷や汗とともにある」「時給とのタタカイ」「自由業は不自由業」などの全17章で構成されており、独立後に収入がなく、仕事もこない苦労などがリアルに語られている。

 著者は会社勤務時から趣味でWeb上に四コマまんがを連載して、それがキッカケでライターやイラストレーターの副業をするようになった。その後「三年で目途がたたないようなら素直にサラリーマンへ出戻るよ」と妻に約束して独立するが、なかなか仕事が入らない。。やっと入った編集の仕事では、担当者に「キミなんかがそんなの書いたってぜんぜん売れるわけないよ」、「え?なに?もし安かったらやんないの?だったらいいよやんなくて」と言われる経験をする。また、半年間で預金残高がどんどん減っていき、時給750円のコンビニのアルバイトを見て思わず考え込んでしまったり、以前勤務していたの会社の上司に仕事の依頼をして単発でSEの仕事をする様子などが描かれている。
 その後仕事は軌道にのるが、フリーランスでライターという仕事は、極端に人と会う機会が少なくなってしまうそうで、「孤独」について多くふれられている。家族と関わる時間は多く、「子煩悩でいることが許される」ことが幸せだと感じる一方で、「家族以外の人に会う機会が極端に減る寂しさに耐えること」が必要になってくると語っている。
  著者のように会社員時に準備をしていても、独立すれば様々なカベにぶつかり、生計を立てるには人から信用を得なければならないことなどがよみとれる。単に資格を取得して安易に退職するのでなく、今の会社で本当に自分らしい働き方ができないのかを見直すことも大切だ。また、孤独に耐えられるか、自分の適性も考えなければならない。


◆有効求人倍率を支える「請負社員」 [AERA 6/6号]

 「ITやハイテク企業の勢いで求人市場が活況を見せている」という。中でも「工場がある地域では数字上は引く手あまた」らしいが、その従業員の多くを占める請負社員の実態について3ページに渡り報告している。三重県亀山市の今年3月の有効求人倍率は1.53倍。「雇用バブル」といえる高い水準だが、「正社員としての求人は数えるほど」だそうだ。

 冒頭で事例として挙げられているのが、液晶テレビで業績が好調なシャープの亀山工場。そこで働く約2600人のうち、請負会社の従業員が1800人を占めるそうだ。請負会社の従業員として働いていた40代の女性は、「安定した大会社のハイテク工場だから楽ですよ」と説明されたという。だが、「10時間以上続」く「単調な作業」や昼勤と夜勤を交互に繰り返すシフトで「不眠にもなって、体が持たなくなって辞めた」そうだ。近隣の鈴鹿職業安定所の関連求人が一昨年の工場操業開始以来3000人前後で推移しているのは、「辞める人が後を絶たないため」常に欠員が出ているためらしい。
 記事によればシャープの事例は特別なものではないらしく、「生産規模に応じて労働者を簡単に増減できる請負会社は、今や電機産業の現場では当たり前の存在」となり、その従業員は「100万人いるともいわれている」。 「メーカーからの受注競争が厳しい」ため、「社会保険も払われないし、有給休暇も取らせないし、ボーナスも払わない」請負会社もあって、一部の請負会社の雇用条件は「働く人を保護する労働法すら侵食されている」状況にあるようだ。
 各種マスコミで報道されているように労働市場の活況を呈している。高い有効求人倍率の中には、自分の希望をかなえられる求人も、このような厳しい雇用環境の請負社員も含まれていることを忘れてはならない。自由に働き方を選ぶ時代だからこそ、決して表面上の待遇の良さなどだけではない、企業を見る目を養う必要を痛感させてくれる特集だ。


◆少子に挑む――はぐくむ覚悟 [日経新聞 5/25-31朝刊]

 
6回シリーズの連載企画。「少子のトンネルから抜け出す」方法を模索する企業や地域自治体の取り組みのほかに、主要企業・団塊ジュニア女性への豊富な調査結果などを掲載している。回ごとに、「胸張って『子育て中』」「『団塊3世』は幻か」「専業主婦も『SOS』」「育休?おれが取るの?」「産声増やす地域力」というキャッチコピーが付いている。

 第1回では子どもがいることで就職先が決まらない女性の事例や、仕事と子育ての両立を支援する企業の姿が描かれている。日本IBMでは「簡単な申請で育児や介護のための在宅勤務をとれるようにした」ことで、利用者が300人から2000人にまで増えたという。第3回では、「親や親せきが近くに居なくなったり、地域でのつながりも希薄になった」ため、「専業主婦は孤独な子育てを迫られている」ことなどが取り上げられている。第4回では「政府から『優良企業』のお墨付き」をもらうために、「男性一人以上の育休実績」を出そうと躍起になっている企業が取り上げられている。その一方、労使で話し合い「育休よりまず短時間勤務」という組合側の意見を尊重する企業の様子も登場する。
 第5回では、少子化に前向きに取り組み成果を上げている鳥取県、兵庫県五色町などの地方自治体が登場。石川県輪島市長は市民からの手紙をキッカケに、保険がきかない不妊治療費を年間100万円までは「自己負担3割で済むように」したそうだ。東京都江戸川区では「私立の幼稚園へ通わせても公立と同じ費用で済むよう差額を負担している」らしい。連載は、省庁間の調整も少なく、「動きの鈍い国よりも、自治体が政策を背負う場面は増えるだろう」と示唆している。
 国や企業の制度は短期間に劇的には変わらない。それを待つよりも、夫婦間だけでなく親や親族などとも話し合い、町内会などの地域コミュニティとの繋がりを見直すことで、より良いの生き方・働き方がつかめるのかもしれない。


◆30代「人脈格差」を乗り越えろ! [CIRCUS 6月号]

 
現在は「人脈ブーム」であり、「人脈の有無による格差が顕在化」してきているそうだ。特集では、「人脈」のつくり方について、30歳前後の事例や著名人のインタビューを交えて10ページに渡って解説している。「勝ち組」になりたい人向けの人脈づくりを前提に編集されてはいるが、「サラリーマンの人脈観」という232人が回答したアンケートなどが興味深い。

 特集ではまず、「30代サラリーマンは、人脈に何を求めているのか?」を分析。全国の28〜35歳を対象に行ったアンケートで「キャリアアップしていく上で、最も必要だが、自分自身にかけていると思うもの」を聞くと、1位から順に「各種資格」18.1%、「コミュニケーション力」17.7%、「人脈」15.5%、「学歴」13.8%、「専門知識」12.9%と続いたそうだ。「人脈を広げるなら異業種と同業種のどちらを選ぶか」という質問では75.4%の人が「異業種」と回答したという。
 次に、「キャリアアップに成功したサラリーマンの人脈構築ヒストリー」で30歳の事例を紹介したり、首都大学准教授の宮台真司氏、作家・経営コンサルタントの後藤芳徳氏のインタビューなどを掲載。後藤氏は「自分の価値は気の合う仲間内だけにいると、何もわかりません。(中略)知らない世界で一生懸命何かをやることで、初めて自分を計測する物差しが生まれるもの」と警告している。ほかに、人脈をつくる手段として「ソーシャルネットワーキング」「異業種交流会・セミナー」「ビジネススクール・社会人大学」「地域コミュニティ」「同窓会」という5つの方法のメリット・デメリットなどを紹介している。
 自分の身近ではない人との交流を通して自分自身を客観視し、気づきを得ることは極めて重要だ。そのための「人脈」をつくるキッカケは自ら動かなければつかめない。しかし、自分のメリットばかりを求めるのではなく、知り合った人のためにどれだけ力になってあげられるかという姿勢こそが、本当の「人脈」を形成していくのではないだろうか。


◆20代、30代でやっておくべきこと [日経WOMAN 6月号]

 
「揺れ動く20代、リミット感高まる30代でしておくべきこと」を、「仕事」「お金」「恋愛、結婚」「出産」「家族」別に解説している41ページの特集。約1200人から回答を得たアンケートや「活躍する先輩13人のインタビュー、キャリアチャート」など様々な角度から楽しめる。20代・30代の女性それぞれに「一番の悩み」を聞くと、なんと1位は仕事だったという。

 
20代後半は、「30歳を目前にして、『このままでいいの?』と強い迷いや焦りが生まれてくる」時期だそうだ。そして「30代前半は、まだ経験不足なところもあるのに仕事でまとめ役を求められ力不足を感じたり、私生活では出産を強く意識し公私のバランスに悩んだり」する時期だという。特集では、その「30歳、35歳前に自分を『棚卸し』」して、「自分の長所や欠点を客観的に判断して、しっかりとした自己認識を持つ」ことを提案している。
 アンケートによると、「30代が20代で『これだけはやっておくべきだった』と思うこと」については、1位「仕事で専門性を身につける」、2位「資格取得」となったそうだ。しかし、「仕事編」では、「今の仕事と全く別の道を探すよりも」、「日々の仕事に向き合うこと」の方が、「専門性を深める第一歩」となることを指摘。また、「『やりたいこと』に目を奪われて、今『できること』を追求しない」読者に、今できることから始めれば「そこから、やりたいことが見えてくる」と提案している。
 特集では、「仕事編」における「30歳までにしておくべきこと」の一つに、「ひとりだけで考えず、5人は相談できる人を持つ」ことが挙げられ、「35歳までにしておくべきこと」の一つに、「メンター・師匠を見つけておく」という項目を掲載している。「自分を『棚卸し』」することは大切だが、実はそれをひとりで行うことは難しい。特集の提案にあるように、多くの人と繋がりを大切にして協力してもらいながら、年齢の節目に「棚卸し」を実践してみてはどうだろうか。


◆バブル入社組の遠吠え [AERA 5/23号]

 
多くの企業で、団塊の世代とともに「年次構成上」の人数の多さが突出している「バブル期入社世代」の「淘汰」が始まっているそうだ。特集は「不況で採用が少なかった団塊ジュニア、就職氷河期の世代」との比較も交えてその現状を紹介。ある調査によると、「管理職への第一選抜が始まる年齢は34.1歳」と、「5年前より3歳ほど若返っていた」という。

 特集ではまず、バブル期入社世代の辿ってきた背景を解説している。彼らが「就職したころは、企業は終身雇用や年功序列を前提として回っていた」が、「ただちに不況が来て社会の価値観が」成果主義へと変わってしまったという。しかも、「組織のスリム化でポストは」なく、「人数の多いこの世代がこのまま持ち上がれば、人件費が経営を圧迫する」ために、各企業は様々な改革を進めているらしい。自治体の技術職員(38歳)は、「職場のキャリア研修は自由応募」だが「35歳以下が対象」で、「年齢制限のない研修」は「係長以上対象」でどちらも受けられず、「ちょうどはざまに落ち込んで取り残された感じがしています」とコメントしている。他にもバブル期入社8名の生々しい事例が登場する。
 読者アンケートによると、「今の会社にずっといたいと思う」と考えているのは、バブル期入社世代23%、団塊ジュニア世代34%、氷河期世代18%。一方、「どちらともいえない」と答えたのはバブル期入社世代53%、団塊ジュニア世代19%、氷河期世代45%と、バブル期入社世代の「揺れ惑う心理」が読み取れる。さらに、「多くはすでに家庭も抱え、自分だけの勉強時間が取りづらい。転職を考えるには、微妙な年齢だ」と、「ライフステージの違い」も指摘している。
 仕事上の接点も多いバブル期入社世代の現状を理解するためにも、やがて訪れる今後のライフステージ上の様々な面を学ぶためにも、身近にいる先輩たちに自ら進んでコミュニケーションを仕掛けるキッカケになる特集だ。


◆「Over35フリーター」の肖像 [SPA! 5/24号]

 
「完全な売り手市場にもかかわらず、あえて正社員にならなかったフリーター第一世代」である“Over35フリーター”。66人から回答を得たアンケートや「夢追いフリーター」「親元フリーター」「子持ちフリーター」といった5人の事例を通して彼らの実態を紹介している特集。山田さん(39歳)は正社員として7社を転々とした後にフリーターになったそうだ。

 山田さんは節約に励み、33歳でマイホームを購入したが、その「直後から年齢制限にひっかかるようになり、正社員として採用」されなくなってしまい、「現在の単発バイトが定着した」という。「お金と時間と体力を使ってあるかわからない定職を探すより、日銭を稼いだほうがいい、という発想に落ち着いた」とコメントしている。
 「夢追いフリーター」のギブ・大久保さん(40歳)は、お笑い芸人としてのブレイクを目指し、「十数種のバイトをしながら突っ走って」きたそうだ。数年前に母親を病気で亡くしたそうだが、「サラリーマンだったら有給取って母の世話に通えた」「葬式代や墓石代が十分に出せなかったのは、本当に情けなかった」と感じているという。「親元フリーター」の田中さん(37歳)は、郵便局で「深夜に荷物の仕分け作業を行っている」が、「やりがいはなく、惰性」だそうだ。「もともとは信用金庫の正社員だった」が、「異様に無口だったので浮いてしまい、(中略)3年で退職して」しまったらしい。「どうにかしなきゃとは思いますが、答えは出ませんから、先のことは考えないようにしています」とコメントしている。
 事例などから、「『日銭さえ稼げればいい』という考え方」を多く見て取れるが、つまりそれは親や自分自身の病気など将来を見越した決断をしきれていないということ。専門家の「年齢を理由に正社員の道を諦めるべきではない」というコメントの通り、求人が豊富な今のうちに将来を見通した自分が望む働き方へ向けて行動に移してみるべきだろう。


◆技の断絶 現場は大丈夫か [週刊東洋経済 5/21号]

 
2007年に迫った「団塊の世代」の定年退職を目前に、「ベテラン世代が培ってきた技術の継承は大丈夫なのか」という危機感が多くの企業で高まっているそうだ。特集では、その対策に急ピッチで取り組む製造業・IT業界を中心とした十数社の様子を16ページに渡って掲載しているが、「技能の伝承は、一朝一夕にできるものではない」のだという。

 特集では、「技能塾や個人指導で後進への伝承を急ぐ」「巨大システムが止まる! IT業界が直面する課題」「熱気を帯びる新卒採用 高齢者再雇用も本格化へ」という3コーナーに分けて、多面的に企業の取り組みを解説している。
 日本総合研究所の山田主任研究員によると、「日本の強さを支えているのはいまだに製造業」なのだという。ところが、「2〜3年前までは、経営改革が最優先課題」で、「企業は現場の人材教育を怠ってきた」ために、「技能伝承」の問題に直面しているそうだ。三菱重工業では、01年から「28歳前後の中堅技能者」を対象に、「団塊の世代の技能者を講師とする『技能塾』」を始めているという。同社の武藤氏は「一人前の技能者となるには10〜15年かかるが、(中略)若手にも自分が作った製品だという誇りを味わってもらおうと思い」、技能塾を開いたらしい。川崎重工業の小川氏は「やはりOJT。現場でベテランと若い人が見よう見まね、口伝えで伝承していくことになる」とコメントしている。
 特集では「国や地方自治体、経済・産業界」などがフリーターなどの若者問題にも取り組み始めたことも触れている。今月下旬には、日本経団連の奥田会長を議長に、「若者の人間力を高める国民会議」が発足するそうで、「協賛企業によるインターンシップの推進などを予定」していて、いよいよ技の伝承にも本腰が入ってきた。逆に、今から技術を学ぶ側にこそ、根気強く地道な努力を積み重ねていく心構えが必要になることを読み取れる特集だ。


◆働くということ2005「それぞれの闘い」 [日経新聞 4/28-5/3朝刊]

 
書籍にもなった好評連載の新シリーズ第一部。「失業率の改善や新卒採用の拡大など、回復に向かう日本の雇用」のもとで、「試練の時を超え、新しい働き方、生き方をどう確立するか」を奮闘する30代を中心とした人々の事例が取り上げられている。毎回「私は逃げない」「迷う前に走れ」「成功より成長」といったタイトルに沿って関連データも提示されている。

 記事には、40代の先輩の事例も多く掲載されており、様々な気づきを得て前進している姿が読み取れる。津村さん(45歳)は「過去10年で8回の転職」を経験し、古巣の新光証券に戻ったそうだ。「役職も部下もないが、『だからこそ組織にこびずに発言できる』」「会社を渡り歩いた外の視点で、会社を強くする。そこに自分の働く意味がある」と感じるという。靴職人の山口さん(44歳)は、日本画家になることが夢だったが、高校卒業後「着物に絵を描く仕事を得たものの、これでは食べていけないと靴会社に転職した」そうだ。「自分の思いを形にして世の中の人に見てもらうという点では、絵と変わらない」と気づいて始めた仕事に、思いのほか熱中し、「靴作りを極めた」らしい。
 松下電器産業グループの畠中さん(46歳)は、「空気を通すだけで高濃度酸素を取り出せる特殊な膜」の開発に入社時から携わってきた。しかし当時は「バブルの絶頂期」で、「焼却炉の燃焼効率を上げる省エネ技術」として打ち出した「特殊膜」への関心は薄く、事業化は打ち切られたそうだ。「それでもめげずに細々と研究を続けた」ところ、3年前に「特殊膜を使った家庭用エアコンの試作品」が社長の目に留まって好機をつかんだという。
 予想もしない出来事の連続の中で35歳以降は様々な役割・責任がのしかかり、決断を迫られる場面も増えてくる。そんなときに自分の思いだけで突っ走るのではなく、あらかじめ身近な先輩たちに話を聞いておく姿勢が重要なことがわかる特集だ。

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