参考になる特集・書籍



◆天職独立のススメ [アントレ 8月号]

 「独立の仕事は一生涯の仕事」だからこそ、「自分に合った仕事を選ぶには、経験と志向を生かすことが必要ではないだろうか」という観点から、脱サラ開業者300人へのアンケートや24人の事例を10Pに渡って掲載している特集。アンケートによると、「独立の仕事を選ぶときには経験を生かしたい?」に「はい」と答えた人が78.3%だったそうだ。

 今回のアンケート回答者は、約89%が「独立してよかった」と考えている人。「仕事を選ぶ際に重視すること」を聞いたところ、1位は「自分の好きなことを仕事にする」だったという。「独立はしたいが何をしていいかわからない」人が、「用意できる開業資金を基準に仕事を選んでしま」い、「やってみたら自分には合わず後悔した」などという状況に陥らないための一つの処方箋として、「自らの経験や志向を大切にした(中略)自分ならではの一生涯の仕事=『天職』」を選ぶことを提案している。そして、「営業・販売サービス業」「総務・経理・事務職」「技術・クリエイティブ職」「管理・経営職」「専門職」という5つの職種から「天職独立」を果たした人のデータや事例が紹介されている。
 営業・販売サービス職から独立した人のうち、以前の職種経験を生かした人は51%。その内容は「生命保険の営業→保険代理店」など分野が全く同じものから、「スーパーの鮮魚売り場→DVDの販売」といった異分野の場合もある。逆に、職種経験を捨てた人では、「趣味」や「志向」を生かして独立した人が多いらしい。なお総務・経理・事務職から職種経験を生かして独立した人は20%にすぎず、技術・クリエイティブ職の人は80%が職種経験を生かすという。
 決して安易に、大きなリスクの伴う独立をするべきではない。ただ、現在の仕事を将来的に自分のどんなチカラにしたいのか、いったい何が身についているのかをシッカリ考えるきっかけにしていただきたい特集である。


◆いつまでも大人の友情 [AERA 7/4号]

 「女性にはいくつもの選択肢」があり、それらで「迷うからこそ、友人に相談したい」ものだが、「進む道が違ってしまうと、仲良くし続けるのは本当に難しい」そうだ。「大人の友情」について、30〜40代女性222人に行ったアンケートや7人の事例、文化庁長官・河合隼雄氏と作家・吉本ばなな氏の対談「一心同体の友達なんて無理」などで検証した特集。

 「30代から40代の女性は、結婚や出産、仕事など環境の変化に伴い、友人関係が大きく変わる」という。アンケートによると、「友だち関係が変わった」キッカケとして結婚を挙げた人が49%、「出産」を挙げた人が63%だったそうだ。
 専業主婦のミカさん(32)は、出産後から同郷の友人と疎遠になってしまったらしい。近所でママ友だちを探しては、縁を途切れさせたくない不安を拭うために、気が合わなさそうでも必死で携帯メールを送りあうのだという。「いま一番、本音のおしゃべりができるのは、ネットの『2ちゃんねる』」だと語っている。高校教師のトモミさん(34)は、「学生時代や職場の友人と感覚がずれてきて悩んでいた」とき、「ネットで見た女性専用サイトの集まり」に出かけてみると、「本や面白いブログなど、話題がつきなかった」という。「自分が成長していけば、友だちって変わるもの」と感じているそうだ。
 対談では、「友だち」と「気楽な仲間」との違いを指摘。吉本氏にとって「友だち」とは、「一度煩わされることがお互いあったら、もうそれは友だちじゃないというぐらいの真剣勝負の中にいる」ものだという。河合氏は、いまの若い世代は友だちが一心同体でないと嫌なので、それが「無理だとわかったらギューッと一人で引っ込む」と警告している。
 特集では、「気楽な仲間」でしかない人を「友だち」として頼りすぎてしまうことの危険性が読み取れる。それでも、決して一人で閉じこもることなく、本当にお互いの力となり合える「友だち」との出会いを作っていくことの大切さもわかる。


◆辞める会社 辞めない会社 [AERA 7/4号]

 「大卒の新入社員が3年で3割辞める」現在、「どの企業も離職を減らそうと知恵を絞る」なかで、「ひとりも『辞めない』会社も」あるそうだ。「採用から入社後ケアまで」、「入社後ミスマッチ」を防ぐためにバラエティ豊かな対策を行って低離職率を維持す8社が登場する。三井不動産では「ここ5年間で、ひとりも新入社員が辞めていない」という。

 同社には、「入社10年目までの社員がほぼ全員紹介されている」社員訪問予約サイトがあり、「ウェブエントリーしている学生」がそこで紹介されている社員に「会って話をしたいと思えば」、ウェブ上で個別に待ち合わせ場所まで設定できるらしい。このシステムの他にも「仕事の内容が学生にはなじみが薄」く、入社後はどの部署に配属されるかわからない点に関しても面接段階でシッカリ釘を刺し、「入社前に誤解やイメージのギャップがないように」しているという。
 「レストランや結婚式を手がけるベンチャー企業『プラン・ドゥ・シー』」では、「内定を出すまでに8.9回も面接を」して、「事業の本質である『人を喜ばせたい』という志望動機を持った人材を見極めようと努めて」いるそうだ。同社の採用担当者は「うちで成長して外でも通用する人材になる。そんな人材に一生うちで働いてほしい」と話しているという。
 損保ジャパンでは「営業部門などで抜群の成績をあげた社員に」、「異動の際に必ず希望がかなう」という「ドリームチケット」を渡す制度を導入。人事コンサルティング会社「リンクアンドモチベーション」では、「1、2週間程度、希望部署で働ける社内留学制度を設けている」そうだ。特集では他にも30社以上の企業の取り組みと離職率を紹介している。
 特集に登場する企業はどれも、目先の対策ではなく、働く人の意欲に真剣に応えるシクミを導入することで低離職率を維持している。働く側もそんな視点で企業を見る目を養っていく力をつけていかなければならない。


◆結婚スタイル、十番勝負 [日経WOMAN 7月号]

 「『家事は分担』婚VS『家事は妻中心』婚」「専業主婦妻VSキャリア妻」など「10の結婚スタイルの違いを徹底調査」した特集。既婚とシングル女性それぞれに行ったアンケートや50以上の事例を41ページに渡って掲載している。既婚女性へのアンケートによると、83.2%の人が「結婚後、仕事をしている女性はきれいでいられる」と答えたそうだ。

 特集ではまず「私たちが、結婚に踏み切れないワケ」と題して、「シングル女性の結婚イメージと現実」のギャップをアンケートから検証している。そして「結婚に踏み切れない」女性の「迷いから抜け出すヒント」として、既婚女性の体験談をもとに「10の結婚スタイルの違い」を提示するほかに、離婚問題や男性側の結婚観などについても取り上げている。
 「専業主婦妻VSキャリア妻」では、「子育てと仕事の両立」に悩むケースの多いキャリア妻の中でも、「家事・育児に協力してくれる『同志』とも言うべき夫」がいる人は満足度が高いことがわかったという。一方、識者の専業主婦に対するアラームが興味深い。駒澤大学助教授の松信さんは、専業主婦は「家庭内の役割の固定化によって夫とのコミュニケーションが分断される」と指摘。神戸学院大学教授の神原さんも、子どもに手がかからなくなったときに「再就職したいと思っても難しいのが現状。(中略)長期的に自分のキャリアを考える視点が必要」とアドバイスしている。
 「3年以内で離婚する人たち」というコーナーでは、離婚経験者4人の事例が登場するが、「二人で向き合い、時にケンカしたりしてコミュニケーションを取りながら」夫婦関係をつくり上げていくことの大切さを読み取ることができる。
 自分の望むキャリアや家庭づくりにおいて、将来を見通したパートナーとのコミュニケーションが重要であることが端々からわかるとともに、金銭的・再就職の面などから結婚しても働き続けることの大切さがわかる特集だ。


◆「金持ち」家族、「貧乏」家族 [PRESIDENT 7/4特別増大号]

 会社が社員の生活を守ってくれていた年功型から成果主義型へ「給与制度が変わりつつある」現在では、サラリーマン自らが「家父長として戦略的に家計を守らなくてはならない」そうだ。漫画家の弘兼憲史氏や元マイクロソフト日本法人社長の成毛眞氏などの著名人からのアドバイスや様々なシミュレーションが50ページに渡って掲載された特集。

 慶應義塾大学の樋口教授は「今やサラリーマンも自営業者並みに所得が大きく変動し、雇用や能力開発にも自己責任が求められる社会、一億総自営業者時代に近づいてきている」と指摘。そのため、個人が「消費についても、貯蓄についても戦略性を持たなければならない」そうだ。しかし、ある調査では多くの人が「収入が下がっても生活レベルを下げ」ず、「貯蓄を取り崩している」ことがわかったらしい。この特集では転職・独立・共働き・持ち家・離婚など、さまざまな人生の転機における収支の変化を、図表を使ってシミュレーションするとともに、著名人のアドバイスも掲載している。
 元マイクロソフト日本法人社長の成毛氏は、給料が上がっても30代前半までは「7割が本代、あとの2割がパソコン関係、最後1割が生活費」という生活を続けたそうだ。年収が上がったからといって「生活レベルを上げるのは愚の骨頂(中略)。本業が忙しかったらそんなことにうつつを抜かしている時間はないはず」とコメントしている。税理士の岡本氏は「徹底した節約生活を実践してきた」わけでもないのに、「無借金で100坪の家」を建てたという。「資本主義の世の中では、多くの人が欲しがるものほど値段が高い。人と少し違う価値観を持つだけで非常に生きやすくなる」そうだ。
 生き方・働き方が多様化するということは、お金の使い方も多様になるということ。そんな中で、お金に関する知識を身につけることが重要であり、一人で考えていてもわからない問題だ。この特集を勉強の第一歩にしてはどうだろうか。


◆働くということ2005「壁に挑む」 [日経新聞 6/8-12朝刊]

 「日本の職の未来を紡ぐ先駆者たちの挑戦」を追った5回の連載シリーズ。「新たな波 地方から」「先頭走者の誇り」「『権威』の衣 捨てて」などのタイトルに沿って「常識異変」と題したデータも毎回紹介されている。新入社員に行ったある調査によると、「海外または外国人が多い職場で働きたい」人は35%と、前年比12ポイントも低下したそうだ。

 第2回に登場する大賀公子さんは現在51歳。他の大企業に先がけて女性総合職の採用を始めていたNTTに新卒入社してからは「睡眠は一日2〜3時間でも平気、休日出勤も当然」で、ときにストレスが原因の「パニック障害」になりながらも「『モーレツ社員』を演じてきた」そうだ。「自分がくじけたら後の女性たちに迷惑がかかる」という思いで、「日本社会の先頭走者として男の世界の壁と戦ってきた」彼女たち。しかし、そのような「自己犠牲の気持ち」はなく、転職したり育休を取らずに退職してしまう後輩たちの姿を目の当たりにしてしまうと、もどかしさも感じているそうだ。
 先述の新入社員調査は社会経済生産性本部によるもので、第3回に掲載。リクルートの就職人気ランキングでも、「海外勤務志望の学生が目指す企業の代表格だった大手商社が」6年前から上位20社に入っていないという。第4回では、国民生活金融公庫総合研究所の「2004年度新規開業実態調査」を掲載。新規開業全体に占める年齢比率は60歳以上がここ数年上昇傾向にある反面、「29歳以下の比率が1997−98年の15%をピークに低下傾向にある」そうだ。
 この特集では、主に40代以上の人々が様々な壁を乗り越えて道を切り開く姿が描かれている。しかし、それと同時に若い世代からチャレンジ精神が薄れていることをにおわす面もうかがえる。せっかく先輩たちが開いてくれた道なのに、将来不安の拭えないこの社会のなかとはいえ、堅実になりすぎてはいないだろうか?と考えさせられる特集である。


◆ジェネレーションY [日本経済新聞社編 日本経済新聞社]

 ジェネレーションY(Y世代)とは、1975年以降に生まれた世代のことをいう。義務教育終了時にはバブルが崩壊していた世代でもあり、「日本で経済成長を体験していない最初の世代」なのだそうだ。多数の事例を紹介することで新たな若者像を描き、その力をより良い方向に持っていこうと、日経新聞に連載された記事に加筆修正してまとめた書籍だ。

 Y世代の特徴は、両親がともに戦後生まれ、経済成長を経験していない、デジタル環境下で育った、と3つのポイントから生まれているという。ITの普及により「多くの情報に囲まれ」、「『自分らしさ』や『個性』を学校でも家庭でも求められ続け、さらに父親が長年勤めた企業から切り捨てられるのを見てきた」という。豊富な選択肢から目標や生き方を自由に選べる環境のもとで、迷い、とまどっている人も、のびやかに社会で生きる人も紹介されている。
 Y世代とは75年以降の生まれの人を指すが、本書で取り挙げられているのは20代前半の人がほとんどで、その、ありがちな「若者論」に対して8章に分けて事例研究がされている。例えば第1章では、会社を「すぐに辞める」のは、忍耐力がないからではなく仕事を選ぶ上で「重要なのは得るものが多いかどうか」だからだという。「生の議論を通じ、自分の価値を伝たり、考えを検証したい思い」は強く、「会話、嫌いなわけじゃない」。「本当にやりたいことや社会的ニーズを考え、専門的な技能を身につけようという意識」もあり、「学ぶ力は持っている」など。第6章「動かすツボ」では、各界の著名人がそれぞれの経験をもとにY世代を分析し、その対策を述べているのも参考になるだろう。
 企業が採用を増やし、職場に増えてきた20代前半の若者たちの意識を学ぶためには格好の書籍である。そして、働くことについて、時代が変わっても変わらないものを伝える役割が、30歳前後にこれから生まれてくる。


◆U35世代 [サントリー次世代研究所編 日本経済新聞社]

 18人の25〜35歳のサラリーマンの「仕事の現状や思いだけでなく、そこに至った過程」などを生々しくまとめた書籍。「出世より自分成長を感じたい」「とりあえず飽きるまでは働く」「転職するなら『職人』」などのキャッチが並ぶ。「同じ世代の働き方や、仕事へのスタンスを知ることで仕事を面白くするってどういうことなのかを考えよう」と提案している。

  旅行代理店で法人営業をしている中村さん(26歳)は、今の業務に対して「団体旅行の市場がないんだから、頑張っても仕方がない」というスタンスなのだという。「労働時間は長い」のに「あまり給料は良くない」が、「親元だから、生活に困るわけじゃないし、外回りの時に適当にサボって相殺してるから、自分の中では納得している」そうだ。
 家電メーカーの研究職として入社10年目を迎える田中さん(34歳)は、「長期計画のもと、課題が与えられても、研究自体が暗礁に乗り上げたり棚上げになったり、成果がモノにならない」そうだ。数年前に成果主義が導入されたものの、「モノになるものを作っていない」ために、自分の頑張りに対する正当な評価がされていないと感じているという。大手通信会社勤務の大木さん(28歳)は、異動願が受理されて、法人営業から経理、そして経営企画と、自分の思い描いた理想的なコースを歩んできたという。しかし、社内の「年功序列とは別に設けられた、特別なエリートコース」という「努力だけでは乗り越えることのできない壁の存在」を知ってから、「いつかは起業したい」と考えるようになったという。
 目の前の仕事に夢中になりきれない多くの登場人物。そのそれぞれの悩みの内容に共感できる部分も多いだろう。バブル崩壊後に社会に出た現在の30歳前後世代は、親や会社の誰からも明確な指針を与えてもらえないことも読みとれる。そして、様々な人の経験談などを通じて自ら進むべき道を決断していかなければならないことを気づかせてくれる書籍だ。


◆変種成果主義に負けない [AERA 6/13増大号]

 一度導入された成果主義が節操なく変化を重ねていくなかで、「あちらこちらの企業で軋轢を生んでもいる」そうだ。特集ではそんな「漂流する日本企業の人事・賃金制度」に翻弄される人を中心とした7人の事例や、「成果主義」に捉われない企業の新たな動きを紹介。主要企業30社に行った成果主義に関するアンケート結果も掲載している。

 「成果主義を導入している企業は1000人以上の企業で約7割に達し、3年以内に導入予定まで含めると9割を超える」そうだ。「よほど好業績を続けない限りは年功で給与が上がっていく仕組みは維持できないし、成果主義の旗を完全に降ろすと、優秀な人材が流出する恐れもある」ので辞められないらしい。30代のミユキさんはNTTグループ企業の開発職。98年に成果主義賃金制度が導入され、見直しが繰り返されたそうだ。しかし、「もし年功制が維持されていたら、今より給料は多かったはずだ」「たまたま担当した商品がバカ売れした社員は評価され、商品化できなければゼロというのも、評価が偶然に左右されるようで納得いかない」と感じるらしい。大手企業勤務の40歳の男性は「同僚同士で疑心暗鬼になり、職場環境について腹を割って語り合う雰囲気がなくなってしまった」とコメントしている。
 一方で「『成果主義』という言葉を避け」、「自社の身の丈や社風に合った制度」を導入する企業も出始めているという。「結果を出すプロセスで発揮された能力を評価する」人事制度であるトヨタ自動車ほか数社の試みや、「やる気を持って働く社員が多い企業は、長期的な視点で成果を評価している」ことが判った調査などにも触れている。
 結局のところ制度がどう変わろうと、人が人を評価する以上は100%の満足感を得るのは難しい。短期的な目先の評価に左右されることなく、自分で自分の役割を見極め、能力を高める努力を続けることが大切であることがわかる特集だ。

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